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【小話】とある二人の秘密の情事
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「……兄上の元へ、戻ってください」
部屋に入ったものの、ドアの前から動けずにいる皇后に言い放った。
「このような形で、貴女の体を弄ぶようなことをしたくないのです」
それに
「貴女も、望んでいないでしょう?」
兄である皇帝は、皇后の産む子供が欲しいと望んでいる。
自分の体が不妊であると、血統を残すには弟であるお前の協力が必要だと訴える兄の目は冗談を言っている眼差しではなかった。
だけど、皇后は?皇后の気持ちはそれを望んでいるだろうか。
夫以外の男に抱かれること。まして病に侵された、みすぼらしい格好の、ひ弱な男に。
抱かれたいなんて、思うはずがない。
「……してください」
微かに聞こえた声に、皇后から逸していた視線を戻すと、そこに衣服を脱いだ女性が立っていた。
「……!」
恥じらいもなく、裸体を見せつける。
初めて見る女性の体は、自分と変わらないほど細いけど、腰がしなやかな曲線を描いていた。胸の膨らみとそこにある桃色の蕾……そして。
「ここに、あなたの子種を……ください」
手で腹を撫でて、静かに涙を流しながら微笑む彼女が、とてもきれいだと思った。
瞬間、疼いた下半身に笑いが出た。
「……ははっ」
病に侵されて、なんのために生きているのか、わからないまま毎日が過ぎていった。
ここは本当に現実なのか?地獄ではなくて?
苦しいだけの人生。未来がない、つまらない人生。
生きた心地なんて、しない。
ぼんやり生きているだけだった。
だけど今、体が興奮している。込み上げる熱が、生きていることを実感させてくれた。
それだけで、嬉しかった。嬉しくて、笑いが出た。
「来てください」
自分はベッドから出られないから、彼女を呼んだ。
ためらいもなく歩を進めてこちらへ向かう彼女の胸が上下に揺れた。
近づいてくる彼女から漂う香りが鼻先をくすぐった。
目に映る全てが、美しく思えた。
側に来た彼女の手を取って、その手の甲に口付けをした。
「貴女が望むなら、思う存分搾り取ってください」
もっと生きていることを実感させてほしい。
そして、命を繋いで、生きた証を残して欲しい。
願いを込めた瞳で見つめて、彼女を自分の懐に引き込んだ。
部屋に入ったものの、ドアの前から動けずにいる皇后に言い放った。
「このような形で、貴女の体を弄ぶようなことをしたくないのです」
それに
「貴女も、望んでいないでしょう?」
兄である皇帝は、皇后の産む子供が欲しいと望んでいる。
自分の体が不妊であると、血統を残すには弟であるお前の協力が必要だと訴える兄の目は冗談を言っている眼差しではなかった。
だけど、皇后は?皇后の気持ちはそれを望んでいるだろうか。
夫以外の男に抱かれること。まして病に侵された、みすぼらしい格好の、ひ弱な男に。
抱かれたいなんて、思うはずがない。
「……してください」
微かに聞こえた声に、皇后から逸していた視線を戻すと、そこに衣服を脱いだ女性が立っていた。
「……!」
恥じらいもなく、裸体を見せつける。
初めて見る女性の体は、自分と変わらないほど細いけど、腰がしなやかな曲線を描いていた。胸の膨らみとそこにある桃色の蕾……そして。
「ここに、あなたの子種を……ください」
手で腹を撫でて、静かに涙を流しながら微笑む彼女が、とてもきれいだと思った。
瞬間、疼いた下半身に笑いが出た。
「……ははっ」
病に侵されて、なんのために生きているのか、わからないまま毎日が過ぎていった。
ここは本当に現実なのか?地獄ではなくて?
苦しいだけの人生。未来がない、つまらない人生。
生きた心地なんて、しない。
ぼんやり生きているだけだった。
だけど今、体が興奮している。込み上げる熱が、生きていることを実感させてくれた。
それだけで、嬉しかった。嬉しくて、笑いが出た。
「来てください」
自分はベッドから出られないから、彼女を呼んだ。
ためらいもなく歩を進めてこちらへ向かう彼女の胸が上下に揺れた。
近づいてくる彼女から漂う香りが鼻先をくすぐった。
目に映る全てが、美しく思えた。
側に来た彼女の手を取って、その手の甲に口付けをした。
「貴女が望むなら、思う存分搾り取ってください」
もっと生きていることを実感させてほしい。
そして、命を繋いで、生きた証を残して欲しい。
願いを込めた瞳で見つめて、彼女を自分の懐に引き込んだ。
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