妹の結婚を邪魔するために姉は婚約破棄される

こうやさい

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こうして神話は歪む

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 創世神話の話をしよう。

 とはいえ事細かく語るのは教会か研究者に任せるとして、この世界を作った神は最後にこの国に降り立ち、この国の初代王になったという、どう考えても箔付けのための戯言の部分がこの場合問題になる。
 創世王陛下は王位こそ子々孫々に譲ったものの、今も生きており、時折花嫁を求めるという。
 その花嫁になれる血筋が貴族なのだそうだ。

 そんなものもちろん特に働いても能力もないのに特権をむさぼるための建前……となるはずだったが。
 ある時代にとても酷い災害に見舞われ民の生活がまともに成り立たなくなったことがあったらしい。
 その時のその騒ぎは恐らく権威が落ちてきた教会辺りが先導したのではないかと思っているが真実は知らない。
 分かっているのは、花嫁がきちんと嫁がなかったので創世王陛下がお怒りになったのではないかという噂がたったということだ。
 当時の王はきちんと花嫁は嫁いだと堂々と嘘をついたが、それでは民衆が納得しなかった。
 それでしかたなく、特例でまた一人嫁がせると一人の娘を民衆が見守る中、死んでいないはずなのに建てられている霊廟の中に置き去りにしたらしい。
 翌日様子を見に行くと娘の姿は消えていたそうだが、恐らく最初からどうにか誤魔化し入れていなかったが、逃げたか逃がされたかどこかから入り込んだ獣にでも持って行かれたのだろう。

 その娘が本当に貴族だったのかどうかも伝わっていない。
 それでも災害は収まった。収まってしまった。
 たまたまそんな時機だったのかもしれないし、原因がなんとかなっても結果までがなんとかなるわけではなかったが、それでも花嫁が嫁いだから収まったように見える。
 誰がどう考えても生け贄だと分かる、建前だけのはずだった慣習が継続することが決まった瞬間だった。
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