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後編
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実家と彼に迷惑がかからなかっただろうかと心配したあたしは、その令嬢の生まれ変わりだった。いやもしかしたら思い出してないだけで間に誰か挟んでるかもしれないけど。
場所が違うのか、あたしが知らないだけなのか、前世の領地に心当たりはなく、あったとしても彼がどうなったまでは分からないだろう。
今度のあたしは町娘だった。ちなみに記憶は物心ついたときには既に戻っていた。
ものすごい時代が進んでると感じた訳ではないので、場所が離れていないと仮定するならば、それでもあまり前世から時間が経っていないか、技術が市井まで降りてきていないかのどっちかだろう。
それでも元貴族令嬢であるあたしが耐えられないほどの不自由を感じなかったのだから、豊かな時代なんだろう。
彼とも再会出来たわけだし……またかなり年下だったけど。
今度は隣のうちの男の子だった。
当然世話を焼いた。構いまくった。ほっぺにチューとかもしちゃった。
今度は身分差はないし、昔から知り合いだから仲いいし、「大きくなったら結婚して」って二度目の求婚の言葉ももらったし。
……いやうん、子供の言うことだったけど。
ここしばらく会えないなー、忙しいのかなー、と思いながら暇を見て訪ねていってたんだけど。
ある日女の子と一緒に歩いてるとこにはちあって。
母や姉のように思っている人だと紹介された時には、いろんな意味でキツかったね。
失恋に加えて、姉はまだしも母って……完全に恋愛対象外じゃないか。確かに彼の死んでしまった母親とそんな年齢離れてないけどさ。
家族のようなとかじゃなくわざわざはっきり言うって、もしかしてうざがられてた?
ご近所にもひそひそ言われてたしなぁ。
人間って失意で死ねるんだなぁと思ったのは、また生まれ変わったあたしだった。
正確にいうと生きる気力をなくして寝付いてねー。
両親は既に死んでて一人暮らしでさー。
……彼がまるで様子を見に来なかったのはそこまで気が回らなかっただけだと信じたい。
で、今いる町はそんな事件があったとは聞いていないので、また別のところなんだろう、そもそも名前とか違うし。
福祉や管理が凄く充実してるとかじゃないから、行き倒れとか自体は町の隅の方で偶にあったりはするんだけどね。
今度の彼はその行き倒れて死んだ女の人が連れていた赤子だった。
うん、今回はさすがに速攻結婚は諦めた。年齢差もさることながら、そんな思惑を持ってる人に赤子から育てられるなんて自分が彼の立場でも嫌だと思う。
気持ち悪いとか思われたら耐えられない。
それでも出会ってしまった以上、どうしても方法がない訳でもないのに彼と離れることは出来ない。
で、何をしたかといえば出家した。そして彼の入れられた教会がやってる孤児院で働かせてもらった。
養子として引き取るには結婚してなきゃならないし、お金だってそこそこ要る。
お金持ってる愛のない結婚の出来るちょうどいい相手を探している時間はなかっし、彼以外と結婚なんてしたくない。
いい加減周りのお節介も邪推もうっとうしかったし、そういう意味でもちょうどよかったわけで。
神の花嫁にふさわしくなくちょっと彼をひいきしたりはしたけど、それくらいは許して欲しい。
ある意味で幸せな人生だったなー、と考えるのはやっぱり生まれ変わったあたし。今度は彼に看取ってもらえたしね。
けど死因が老衰って……病気とかで死んだときに比べたら充分過ぎるほどいい死因だったけど、改めて突きつけられた年齢差にへこんだのは秘密だ。
今度生まれ変わったのは農村の娘だった。
彼はやっぱり年下だったけど、今度はさすがに母親扱いされるほどじゃない。
何より過疎化のせいで同世代が少なかったので、これくらいの年の差はぎりぎり許容してくれそうな雰囲気があった。
今度は家族認定されないように距離感に気をつけたつもりだった。
けれど過剰に気をつけすぎたのかもしれない。
彼が選んだ相手は年上ではあったけれど、あたしではなかった。
家族認定はされなかったけれど、恋愛対象にも見られなかった。
この時の死因は事故だったなー、と思うのはまた生まれ変わったあたし。
失恋でぼーっとしながら牛の世話とかしてたらそうなる。
すこしは彼は悲しんでくれただろうか?
けどなんかこー、だんだんと結婚から離れてきている気がする。前回はちょっとある意味では惜しかったけど……押したらいけたのかなぁ?
やっぱり年齢差がある上あたしが年上なのが悪いんだろうか?
世話をされても同世代なら恋愛に発展する余地あると思うんだけど。
年上過ぎると下手に近づくと母親扱いだし。
幼い頃から近づきすぎるのがいけない?
けれど出会ってしまえば止まるのは難しい。
会いたいと魂が叫ぶ。
近くにいるか遠くからこっそり見るかの違いになるので、今度も男児偏愛者扱いだろう。
男の子だから好きなんじゃなくて彼だから好きだから成長しても変わらないと思うんだけど。
なんか今までも多かれ少なかれ誤解されてた気もするけど。
それを彼にまで誤解されるのは嫌だ。
けれどこの年齢差はどうすれば解消されるのだろう?
彼より先にあたしが死ぬから、あたしが先に生まれてしまうのだろうか?
だとしたら。
目の前の男の子を見つめる。
ここであたしが彼を殺したら、次は彼が年上になって生まれてくるのだろうか?
けれどそんな事をして、次もあたしは彼に出会うことが出来るのだろうか?
何一つ思い出さない彼を、初めて憎らしいと思った。
場所が違うのか、あたしが知らないだけなのか、前世の領地に心当たりはなく、あったとしても彼がどうなったまでは分からないだろう。
今度のあたしは町娘だった。ちなみに記憶は物心ついたときには既に戻っていた。
ものすごい時代が進んでると感じた訳ではないので、場所が離れていないと仮定するならば、それでもあまり前世から時間が経っていないか、技術が市井まで降りてきていないかのどっちかだろう。
それでも元貴族令嬢であるあたしが耐えられないほどの不自由を感じなかったのだから、豊かな時代なんだろう。
彼とも再会出来たわけだし……またかなり年下だったけど。
今度は隣のうちの男の子だった。
当然世話を焼いた。構いまくった。ほっぺにチューとかもしちゃった。
今度は身分差はないし、昔から知り合いだから仲いいし、「大きくなったら結婚して」って二度目の求婚の言葉ももらったし。
……いやうん、子供の言うことだったけど。
ここしばらく会えないなー、忙しいのかなー、と思いながら暇を見て訪ねていってたんだけど。
ある日女の子と一緒に歩いてるとこにはちあって。
母や姉のように思っている人だと紹介された時には、いろんな意味でキツかったね。
失恋に加えて、姉はまだしも母って……完全に恋愛対象外じゃないか。確かに彼の死んでしまった母親とそんな年齢離れてないけどさ。
家族のようなとかじゃなくわざわざはっきり言うって、もしかしてうざがられてた?
ご近所にもひそひそ言われてたしなぁ。
人間って失意で死ねるんだなぁと思ったのは、また生まれ変わったあたしだった。
正確にいうと生きる気力をなくして寝付いてねー。
両親は既に死んでて一人暮らしでさー。
……彼がまるで様子を見に来なかったのはそこまで気が回らなかっただけだと信じたい。
で、今いる町はそんな事件があったとは聞いていないので、また別のところなんだろう、そもそも名前とか違うし。
福祉や管理が凄く充実してるとかじゃないから、行き倒れとか自体は町の隅の方で偶にあったりはするんだけどね。
今度の彼はその行き倒れて死んだ女の人が連れていた赤子だった。
うん、今回はさすがに速攻結婚は諦めた。年齢差もさることながら、そんな思惑を持ってる人に赤子から育てられるなんて自分が彼の立場でも嫌だと思う。
気持ち悪いとか思われたら耐えられない。
それでも出会ってしまった以上、どうしても方法がない訳でもないのに彼と離れることは出来ない。
で、何をしたかといえば出家した。そして彼の入れられた教会がやってる孤児院で働かせてもらった。
養子として引き取るには結婚してなきゃならないし、お金だってそこそこ要る。
お金持ってる愛のない結婚の出来るちょうどいい相手を探している時間はなかっし、彼以外と結婚なんてしたくない。
いい加減周りのお節介も邪推もうっとうしかったし、そういう意味でもちょうどよかったわけで。
神の花嫁にふさわしくなくちょっと彼をひいきしたりはしたけど、それくらいは許して欲しい。
ある意味で幸せな人生だったなー、と考えるのはやっぱり生まれ変わったあたし。今度は彼に看取ってもらえたしね。
けど死因が老衰って……病気とかで死んだときに比べたら充分過ぎるほどいい死因だったけど、改めて突きつけられた年齢差にへこんだのは秘密だ。
今度生まれ変わったのは農村の娘だった。
彼はやっぱり年下だったけど、今度はさすがに母親扱いされるほどじゃない。
何より過疎化のせいで同世代が少なかったので、これくらいの年の差はぎりぎり許容してくれそうな雰囲気があった。
今度は家族認定されないように距離感に気をつけたつもりだった。
けれど過剰に気をつけすぎたのかもしれない。
彼が選んだ相手は年上ではあったけれど、あたしではなかった。
家族認定はされなかったけれど、恋愛対象にも見られなかった。
この時の死因は事故だったなー、と思うのはまた生まれ変わったあたし。
失恋でぼーっとしながら牛の世話とかしてたらそうなる。
すこしは彼は悲しんでくれただろうか?
けどなんかこー、だんだんと結婚から離れてきている気がする。前回はちょっとある意味では惜しかったけど……押したらいけたのかなぁ?
やっぱり年齢差がある上あたしが年上なのが悪いんだろうか?
世話をされても同世代なら恋愛に発展する余地あると思うんだけど。
年上過ぎると下手に近づくと母親扱いだし。
幼い頃から近づきすぎるのがいけない?
けれど出会ってしまえば止まるのは難しい。
会いたいと魂が叫ぶ。
近くにいるか遠くからこっそり見るかの違いになるので、今度も男児偏愛者扱いだろう。
男の子だから好きなんじゃなくて彼だから好きだから成長しても変わらないと思うんだけど。
なんか今までも多かれ少なかれ誤解されてた気もするけど。
それを彼にまで誤解されるのは嫌だ。
けれどこの年齢差はどうすれば解消されるのだろう?
彼より先にあたしが死ぬから、あたしが先に生まれてしまうのだろうか?
だとしたら。
目の前の男の子を見つめる。
ここであたしが彼を殺したら、次は彼が年上になって生まれてくるのだろうか?
けれどそんな事をして、次もあたしは彼に出会うことが出来るのだろうか?
何一つ思い出さない彼を、初めて憎らしいと思った。
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