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「……そう言えば、私たちこの指輪借りたままで良いの? ロナン家の家宝ではないの?」
ジークと私はアルベールに借りた、あの魔除けの指輪を付けていた。もうあの男は捕まった後とは言え、何かあればいけないと慎重な考えを見せたアルベールに、私とジークは借りたままだったのだ。
「うん。どうせ、兄も僕も机に仕舞ったままだったからね。今回、それが大活躍をしたが……使われない道具など、悲しいものだ。役に立つところにあった方が、指輪も幸せだろう。あの男が完全に息を引き取ったと確認出来るまで、君たちか付けていた方が良い」
「僕も、アルベールの意見に賛成だ。黒魔法には、今ではわからないことも多い。あいつは、魔封じの塔に入っていると聞くが……万が一という場合も、あるからな」
二人は目配せをして、頷いた。別に仲間外れをされた訳ではないんだけど、たまにジークとアルベールは二人の世界に入ることがあって、残された私はやきもきしたりするのだ。
「ねえ。アルベールって、恋人は作らないの? 私のお友達、紹介しましょうか?」
アルベール・ロナンに紹介して貰えるとなれば、私の知っている婚約者のいない令嬢は全員にわかに色めき立つはずだ。
なんせ、彼は見た目は本当に天下一品なので。付け加えておくとジークの方が、素敵だけど。
「……アルベール? どうした?」
私とジークは、いきなりティーカップの取っ手を持つ手が震えているアルベールを見て、思わず息を呑んでしまった
だって、その時のアルベールの様子は、ジークがやり直しに戻ってきた時とても良く似ていたから。
だから、隣に居たジークも、私と同じことを思ったのだと思う。
きっと……彼は、この先にあった何かの悲劇のやり直しのために、ここに戻って来たのだ。
「……何回目だ?」
ジークは表情を変えずに、冷静にそう聞いた。問われたアルベールはというと顔を歪めて苦笑して、私たち二人を交互に見て、そうして大きく息をついた。
「ああ……話が早くて、とても助かる。これで、二回目だ。そちらの、結婚を控えた幸せな恋人たち。とても良い友人の僕の幸せのために、君たちもこれから尽力してくれるよね?」
私とジークは顔を見合わせてから、微笑み合った。アルベールは私たちの恩人であることは、間違いない。彼の幸せのために、これから力になれるなら、何よりのことだった。
「もちろんよ。アルベール。一体、貴方には何があったの?」
「話は長くなるが、聞いてくれ。実は……」
Fin
ジークと私はアルベールに借りた、あの魔除けの指輪を付けていた。もうあの男は捕まった後とは言え、何かあればいけないと慎重な考えを見せたアルベールに、私とジークは借りたままだったのだ。
「うん。どうせ、兄も僕も机に仕舞ったままだったからね。今回、それが大活躍をしたが……使われない道具など、悲しいものだ。役に立つところにあった方が、指輪も幸せだろう。あの男が完全に息を引き取ったと確認出来るまで、君たちか付けていた方が良い」
「僕も、アルベールの意見に賛成だ。黒魔法には、今ではわからないことも多い。あいつは、魔封じの塔に入っていると聞くが……万が一という場合も、あるからな」
二人は目配せをして、頷いた。別に仲間外れをされた訳ではないんだけど、たまにジークとアルベールは二人の世界に入ることがあって、残された私はやきもきしたりするのだ。
「ねえ。アルベールって、恋人は作らないの? 私のお友達、紹介しましょうか?」
アルベール・ロナンに紹介して貰えるとなれば、私の知っている婚約者のいない令嬢は全員にわかに色めき立つはずだ。
なんせ、彼は見た目は本当に天下一品なので。付け加えておくとジークの方が、素敵だけど。
「……アルベール? どうした?」
私とジークは、いきなりティーカップの取っ手を持つ手が震えているアルベールを見て、思わず息を呑んでしまった
だって、その時のアルベールの様子は、ジークがやり直しに戻ってきた時とても良く似ていたから。
だから、隣に居たジークも、私と同じことを思ったのだと思う。
きっと……彼は、この先にあった何かの悲劇のやり直しのために、ここに戻って来たのだ。
「……何回目だ?」
ジークは表情を変えずに、冷静にそう聞いた。問われたアルベールはというと顔を歪めて苦笑して、私たち二人を交互に見て、そうして大きく息をついた。
「ああ……話が早くて、とても助かる。これで、二回目だ。そちらの、結婚を控えた幸せな恋人たち。とても良い友人の僕の幸せのために、君たちもこれから尽力してくれるよね?」
私とジークは顔を見合わせてから、微笑み合った。アルベールは私たちの恩人であることは、間違いない。彼の幸せのために、これから力になれるなら、何よりのことだった。
「もちろんよ。アルベール。一体、貴方には何があったの?」
「話は長くなるが、聞いてくれ。実は……」
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