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61 in the forest★(3)

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 はあはあと荒い息が響く、それはミルドレッド本人だけではなくて目の前の彼からも聞こえてくる。辺りは薄闇に包まれて、もうすぐ本格的な夜が来てしまう時間のようだった。

「……え……ロミオ……?」

 間近に迫っているロミオの整った顔は、まるで全力で長い距離を走って来たかのように必死だった。媚薬の効果がようやく切れて、ミルドレッドがやっと正気に返ったと気がつきほっとしたのか彼は大きく深呼吸をした。

「はーっ……良かった、気がついた? 俺も……そろそろ、限界……」

「んっ……限界……?」

 足の付け根の蜜口あたりからどろりと液体が流れて、大きくなっていた彼が体内から出て行った。身体はもうくたくたと言えるくらいまで疲労している。だが、それは肉体労働で酷使されたというより心地良い疲れだった。

「媚薬……媚薬は危険だ。俺もいつかは使ってみたいと思っていたけど、これは本当に危険物だった……」

 ロミオはどさっと音を立てて隣に寝転び、はーっと大きく息をついた。

 本格的に夜が来る前の紫色の空を見上げて、ミルドレッドはぼんやりとしていた視界が段々とはっきりとしていくのを感じ両手を上げた。自分が置かれていた状況が朧げに思い出されて、口に両手を当てた。

「そっか……私……触手に……」

「うん。まあ、あれ……体液目当てだから、殺される訳じゃないんだけどね……あれが、病みつきになって自ら餌になりに来る人も居るくらいだから……」

 屈強な肉体を持っているはずのロミオが、こんなにぐったりしているのは初めて見る。媚薬に侵された恋人相手にせがまれるままに、行為を重ねてくれたのだろう。けれど、そういえば彼だって昨日自分と初体験したばかりだったとミルドレッドは顔を青くした。

 媚薬成分のある粘液に塗れた触手が、捕らえていたミルドレッドの身体を這い回ったのは撫でるような感触でそこまでの効果を齎すことになるなんて思わなかった。

(もし、あれが体内に入っていたら……)

 恐ろしい想像にぞくっとした寒気が、背中を駆け抜けた。そうなってしまう前にロミオに助けて貰ったことには、感謝しかない。あんな植物があるのなら、彼らのような腕に覚えのある人たちと一緒でないと、森の中を歩くのは常人ならひとたまりもなく犠牲になっていたはずだ。

 そういえば、自分は裸だしロミオも下半身を露出したまま。二人共にとんでもない姿になっていて、人目はないとは言えここは外だった。先ほど彼に借りたはずのシャツは、二人の体液でどろどろになってしまっている。その事実に気がついてミルドレッドは、横に居るロミオに顔を向けた。

「あのっ……何か着るもの……あの?」

 彼の目がこちらをじっと見ていたことに気がついて、言葉を止めた。

「うん。別に変態だと思ってくれて良いんだけど、外でするのって……解放感あって良いよね……ミルドレッドが許してくれるなら、またしたいんだけど……」

 甘く囁くような、その言葉に心は揺れた。それに、先ほどまで自分を見失ってしまうほどのミルドレッドの欲を受け止めてくれたのは彼自身だ。その要望を断ることも出来なくて、ただ頷くしかなかった。
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