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03 迷惑はおかけしません
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「まず先に言っておくけど、僕はここに座りたかったから、ここに座った訳ではなくて、君と話したかったから、ここに座ったんだ。それで、納得して貰える?」
「え? あ……はい」
私は正直言うと、ポカンとした。クラウスが私に興味を持つなんて、絶対おかしい……何故? あ! もしかして……。
「今日のことですか? 本当に、ごめんなさい。恥ずかしかったですよね」
私のせいで巻き込まれ彼まで恥をかかせてしまったことを、お説教するつもりなのかもしれない……。
「いやいや、あの程度のこと……別に、構わないよ。この顔で良ければ、好きに見てくれ」
「え……あ。はい……」
クラウスは面白そうに微笑み、私の手元を見て、ノートに書かれた数式を指さした。
「ここ……これは、数式を間違えているよ。多分、今日習ったものを、すぐに使ったんだろうけど、これは古いやり方のままなんだ。けど、これは良く間違うことで、引っかけ問題のようなものだから、気にしなくても良い」
「え? あ……すごい。クラウス……ディケイド様は、本当に頭が良いですね」
「僕のことは、クラウスで良いよ。アドリアナ。君って真面目なんだね。文字に表れているよ」
これまでにも、心の中で彼をクラウスと呼び捨てていたこともお見通しなのか、彼は嬉しそうに笑った。
「……ちゃんとやらないと、間に合わなくて。クラウスが羨ましいです。どうして、あんなにも点数が良いんですか?」
この学園では学年上位百人の名前が、廊下に張り出される。だから、クラウスの名前が今まで三位内から、転落したことがないことも知っている。
「僕はテスト勉強しかしないから、ちゃんと予習復習していて偉いと思う」
「それで出来るから、良いんです。きっと、頭の出来が全然違うんですよ」
あまりにも高低のある学力差を感じ、私がいじいじとしてそう言うと、彼は余裕の笑顔で微笑んだ。
「テストなんて、過去問を持ってたら楽勝なのに……日々の積み重ねをしていて、本当に偉いよ」
「え?」
「……僕は実際のところ、勉強はあまりしないし君と頭の出来は変わらないと思う。けど、アドリアナより、少しだけ要領は良いかもしれないね……テスト勉強する時は、過去問しか解かないよ。大体、その辺の派生の問題しか出ない。だから、こんな風に教科書全般を網羅しているなんて、アドリアナは偉いねって言ったんだ」
「そっ……そうなんですか!」
思わず声を上げてしまった私に、周囲の学生は私を見たし、クラウスは苦笑して唇の上に人差し指を当てた。
「……君って、可愛いね。アドリアナ。ねえ。もしかして、僕のことが好きなの?」
「え? そんな! ……めめめめ、めっそうもない!!」
色気ある表情で私に聞いたクラウスに、両手をぶんぶん振った。そんな訳ないそんな訳ない。
「え? あ……はい」
私は正直言うと、ポカンとした。クラウスが私に興味を持つなんて、絶対おかしい……何故? あ! もしかして……。
「今日のことですか? 本当に、ごめんなさい。恥ずかしかったですよね」
私のせいで巻き込まれ彼まで恥をかかせてしまったことを、お説教するつもりなのかもしれない……。
「いやいや、あの程度のこと……別に、構わないよ。この顔で良ければ、好きに見てくれ」
「え……あ。はい……」
クラウスは面白そうに微笑み、私の手元を見て、ノートに書かれた数式を指さした。
「ここ……これは、数式を間違えているよ。多分、今日習ったものを、すぐに使ったんだろうけど、これは古いやり方のままなんだ。けど、これは良く間違うことで、引っかけ問題のようなものだから、気にしなくても良い」
「え? あ……すごい。クラウス……ディケイド様は、本当に頭が良いですね」
「僕のことは、クラウスで良いよ。アドリアナ。君って真面目なんだね。文字に表れているよ」
これまでにも、心の中で彼をクラウスと呼び捨てていたこともお見通しなのか、彼は嬉しそうに笑った。
「……ちゃんとやらないと、間に合わなくて。クラウスが羨ましいです。どうして、あんなにも点数が良いんですか?」
この学園では学年上位百人の名前が、廊下に張り出される。だから、クラウスの名前が今まで三位内から、転落したことがないことも知っている。
「僕はテスト勉強しかしないから、ちゃんと予習復習していて偉いと思う」
「それで出来るから、良いんです。きっと、頭の出来が全然違うんですよ」
あまりにも高低のある学力差を感じ、私がいじいじとしてそう言うと、彼は余裕の笑顔で微笑んだ。
「テストなんて、過去問を持ってたら楽勝なのに……日々の積み重ねをしていて、本当に偉いよ」
「え?」
「……僕は実際のところ、勉強はあまりしないし君と頭の出来は変わらないと思う。けど、アドリアナより、少しだけ要領は良いかもしれないね……テスト勉強する時は、過去問しか解かないよ。大体、その辺の派生の問題しか出ない。だから、こんな風に教科書全般を網羅しているなんて、アドリアナは偉いねって言ったんだ」
「そっ……そうなんですか!」
思わず声を上げてしまった私に、周囲の学生は私を見たし、クラウスは苦笑して唇の上に人差し指を当てた。
「……君って、可愛いね。アドリアナ。ねえ。もしかして、僕のことが好きなの?」
「え? そんな! ……めめめめ、めっそうもない!!」
色気ある表情で私に聞いたクラウスに、両手をぶんぶん振った。そんな訳ないそんな訳ない。
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