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158話目 旅行②
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行きに乗ったバスとは反対方面、つまり小川町駅へと向かうバスに乗って小川町駅まで戻って来た。
ここから次の目的地である長瀞までは、東武東上線で寄居駅まで行き、そこから秩父鉄道に乗って長瀞駅まで向かうというルートだ。
都会ではまず見ることのできない単線の区間を揺られながらゆっくりと進み、乗換駅の寄居駅に到着した。
寄居駅の外には出ず、そのまま駅構内を歩いて秩父鉄道へと乗り換える。
山の合間から、川を沿うようにして進んでいくため、車窓は非常に美しい。
目の前を流れている荒川は、埼玉、山梨、長野の3県に接している甲武信ヶ岳から始まって東京湾にそそぐ一級河川だ。
この美しい様子からは想像できないが、“荒川”という名前の通り、幾度となく荒れ、地域に水害をもたらしているらしい。
ゆっくりと外を眺めながら座っているだけで、目的地である長瀞駅へと到着した。
長瀞と言えばライン下りが有名だ。
だが、今回は夕日が病み上がりということもあり、ライン下りのようなアクティビティはせず、ゆったりとこの美しい自然を堪能することにした。
電車から降り、辺りを見渡すが、どこを見ても山が広がっている。
東京にいたら絶対に見ることのできない景色、テレビで見たことのあるような美しい景色が目の前に広がっている。
「すごい……」
先ほどのアニメの聖地を見た時とはまた違う感動が夕日の中に湧き出てくる。
「とりあえず岩畳に向かおうか。」
長瀞と言えば、ライン下りのほかに岩畳が有名だ。
その岩畳に向かうまでの道中には、400mほど商店街が広がっている。
その昔ながらの雰囲気を残したままの商店街を通り抜けると、すぐに岩畳に到着する。
少し長めの階段を降り、砂利の広がっているところから岩畳へと足を踏み入れる。
「おお!これはすごい!」
岩畳は本物の畳のように四角くなっているわけではなく、どちらかというとパイ生地のような形をしている。
ぺりぺりとはがれる雲母を想像するような感じだ。
「足元、気を付けてね。」
もちろん自然にできているものなので平らになっているわけはなく、岩畳の上は凸凹としている。
少しでも気を抜けば転んでしまいそうな感じで、少し高めの階段のように高低差もある。
「へぇ、川から離れているのに池があるのね。」
夕日たちが今いる岩畳は、川の本流の水面から5mほどの崖の上にある。
そんな岩畳の上に小さいながらも池が広がっているのが目に入り、その池の周りには草も茂っている。
「この水ってどこから来るんだろう。」
「雨が降ったときに溜まったんじゃない?」
川から少し離れたところにあるため、おそらく本流から流れてきているわけではないはずだが、そこら辺の知識が皆無に等しい彼女たちにはそのわけはわからなかった。
「まあ、知識なくても楽しめるからいいね。」
「そうだね!」
岩畳の入り口付近にはそこそこの人がいて、あまりゆっくりとくつろげるような様子ではなかった。
そのため、もう少し奥の方へと進むことにした。
あまり人がいなかったので進んではいけないのかと不安にはなったものの、奥の方をよく見ると緑色のフェンスでふさがれている部分があった為、おそらくそこら辺までは進むことができるのだろう。
途中には屋根のある建物もあり、その下にはベンチや机が置いてある。
基本的に川ギリギリのところにも柵はなく、落ちるのは怖いために少し内側を歩くことにした。
「鳥の鳴き声が気持ちいいね。」
「そうだね!」
ざわめく山の木々の中に混じる鳥の声は、都会で聞くより何となく優雅な感じがする。
さらに、川のせせらぎがそこに混じり、青い空に浮かぶ白い雲、広がる岩畳の灰色に草木の緑色など、この空間に存在するすべてが非常に心地いい。
「あれだね、ASMRみたいだね。」
「確かにそうだけど、それはたとえとしてどうなんだろうか……」
どうやら夏海は最近自然音のASMRにハマっているようで、またまた独特な感想を出してきた。
爽やかな風に当てられながら、小一時間ほど過ごして引き返すことにした。
たった1時間その場にいただけだが、体の毒素がすべて抜けたように感じ、何となく体も軽い。
気分の良い2人は大きく手を振りながら商店街の方へと引き返していく。
「お!この鮎美味しそうだよ!」
商店街に入ってすぐのところに、鮎の塩焼きを売っているところがあった。
「すみません、2ついただけますか?」
「あいよ!」
すぐさま購入をして、近くのベンチに座って早速いただく。
鮎はキュウリウオ目に分類される魚で、スイカのような爽やかなにおいを発している。
「感じる?」
「う~ん、なんとなく?」
残念ながらスイカをあまり食べない2人にはわからないようであったが……。
じっくりと炭火で火が通されている鮎は、頭や骨ごとバリバリ食べれるようだ。
背中の美味しいところを一口かじると、肉厚で、ふわふわジューシーとした身から出るうまみが口いっぱいに広がる。
塩加減もちょうどよく、油もしっかりと乗っていて非常においしい。
続いておなかの部分にもかじりつくと、内臓のほろ苦さがそれに加わり、またアクセントになって非常においしい。
「これは、日本酒が飲みたくなる。」
「おお!ちゃんと骨まで食べれる!」
頭の方はバリバリと、身はふわふわで尻尾はカリカリ。
3段階の食感が大変面白く、大満足の結果であった。
その後、近くのお食事処で軽く食事をとると、時刻はあっという間に午後3時を回っていた。
少し良いホテルを予約しているため、今日は早めに観光を切り上げてホテルでゆっくりする予定だ。
長瀞に来て岩畳を見るだけというのもなかなか寂しいが、ここら辺は案外近場で、来ようと思えばいつでも来れる範囲だ。
そのため、気にせずホテルのある秩父へと向かうことにした。
ここから次の目的地である長瀞までは、東武東上線で寄居駅まで行き、そこから秩父鉄道に乗って長瀞駅まで向かうというルートだ。
都会ではまず見ることのできない単線の区間を揺られながらゆっくりと進み、乗換駅の寄居駅に到着した。
寄居駅の外には出ず、そのまま駅構内を歩いて秩父鉄道へと乗り換える。
山の合間から、川を沿うようにして進んでいくため、車窓は非常に美しい。
目の前を流れている荒川は、埼玉、山梨、長野の3県に接している甲武信ヶ岳から始まって東京湾にそそぐ一級河川だ。
この美しい様子からは想像できないが、“荒川”という名前の通り、幾度となく荒れ、地域に水害をもたらしているらしい。
ゆっくりと外を眺めながら座っているだけで、目的地である長瀞駅へと到着した。
長瀞と言えばライン下りが有名だ。
だが、今回は夕日が病み上がりということもあり、ライン下りのようなアクティビティはせず、ゆったりとこの美しい自然を堪能することにした。
電車から降り、辺りを見渡すが、どこを見ても山が広がっている。
東京にいたら絶対に見ることのできない景色、テレビで見たことのあるような美しい景色が目の前に広がっている。
「すごい……」
先ほどのアニメの聖地を見た時とはまた違う感動が夕日の中に湧き出てくる。
「とりあえず岩畳に向かおうか。」
長瀞と言えば、ライン下りのほかに岩畳が有名だ。
その岩畳に向かうまでの道中には、400mほど商店街が広がっている。
その昔ながらの雰囲気を残したままの商店街を通り抜けると、すぐに岩畳に到着する。
少し長めの階段を降り、砂利の広がっているところから岩畳へと足を踏み入れる。
「おお!これはすごい!」
岩畳は本物の畳のように四角くなっているわけではなく、どちらかというとパイ生地のような形をしている。
ぺりぺりとはがれる雲母を想像するような感じだ。
「足元、気を付けてね。」
もちろん自然にできているものなので平らになっているわけはなく、岩畳の上は凸凹としている。
少しでも気を抜けば転んでしまいそうな感じで、少し高めの階段のように高低差もある。
「へぇ、川から離れているのに池があるのね。」
夕日たちが今いる岩畳は、川の本流の水面から5mほどの崖の上にある。
そんな岩畳の上に小さいながらも池が広がっているのが目に入り、その池の周りには草も茂っている。
「この水ってどこから来るんだろう。」
「雨が降ったときに溜まったんじゃない?」
川から少し離れたところにあるため、おそらく本流から流れてきているわけではないはずだが、そこら辺の知識が皆無に等しい彼女たちにはそのわけはわからなかった。
「まあ、知識なくても楽しめるからいいね。」
「そうだね!」
岩畳の入り口付近にはそこそこの人がいて、あまりゆっくりとくつろげるような様子ではなかった。
そのため、もう少し奥の方へと進むことにした。
あまり人がいなかったので進んではいけないのかと不安にはなったものの、奥の方をよく見ると緑色のフェンスでふさがれている部分があった為、おそらくそこら辺までは進むことができるのだろう。
途中には屋根のある建物もあり、その下にはベンチや机が置いてある。
基本的に川ギリギリのところにも柵はなく、落ちるのは怖いために少し内側を歩くことにした。
「鳥の鳴き声が気持ちいいね。」
「そうだね!」
ざわめく山の木々の中に混じる鳥の声は、都会で聞くより何となく優雅な感じがする。
さらに、川のせせらぎがそこに混じり、青い空に浮かぶ白い雲、広がる岩畳の灰色に草木の緑色など、この空間に存在するすべてが非常に心地いい。
「あれだね、ASMRみたいだね。」
「確かにそうだけど、それはたとえとしてどうなんだろうか……」
どうやら夏海は最近自然音のASMRにハマっているようで、またまた独特な感想を出してきた。
爽やかな風に当てられながら、小一時間ほど過ごして引き返すことにした。
たった1時間その場にいただけだが、体の毒素がすべて抜けたように感じ、何となく体も軽い。
気分の良い2人は大きく手を振りながら商店街の方へと引き返していく。
「お!この鮎美味しそうだよ!」
商店街に入ってすぐのところに、鮎の塩焼きを売っているところがあった。
「すみません、2ついただけますか?」
「あいよ!」
すぐさま購入をして、近くのベンチに座って早速いただく。
鮎はキュウリウオ目に分類される魚で、スイカのような爽やかなにおいを発している。
「感じる?」
「う~ん、なんとなく?」
残念ながらスイカをあまり食べない2人にはわからないようであったが……。
じっくりと炭火で火が通されている鮎は、頭や骨ごとバリバリ食べれるようだ。
背中の美味しいところを一口かじると、肉厚で、ふわふわジューシーとした身から出るうまみが口いっぱいに広がる。
塩加減もちょうどよく、油もしっかりと乗っていて非常においしい。
続いておなかの部分にもかじりつくと、内臓のほろ苦さがそれに加わり、またアクセントになって非常においしい。
「これは、日本酒が飲みたくなる。」
「おお!ちゃんと骨まで食べれる!」
頭の方はバリバリと、身はふわふわで尻尾はカリカリ。
3段階の食感が大変面白く、大満足の結果であった。
その後、近くのお食事処で軽く食事をとると、時刻はあっという間に午後3時を回っていた。
少し良いホテルを予約しているため、今日は早めに観光を切り上げてホテルでゆっくりする予定だ。
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そのため、気にせずホテルのある秩父へと向かうことにした。
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