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第32話 鉢合わせ?

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 ジュリエットお姉様に癒やしてもらった日から1週間が経ちました。あれからジュリエットお姉様は、聖女の活動の合間を縫ってわたしに会いに来るようになりました。温室でお茶をしたり、図書館で神学を教わったり、突然来ることが多いですが、それでもジュリエットお姉様に会える機会が増えて嬉しく思っています。



「遅い!そんな速さじゃ三回は斬られているぞ!」

「はい!」

 まだまだ猛暑が続く中、わたしは自分の戦闘スタイルを身につける為に訓練していました。フェリクスお兄様のような大きな体躯と力で斬り倒すパワー型ではなく、小さな体躯と俊敏さで相手を斬り裂くスピード型の戦闘です。

 この戦闘スタイルがわたしの合っているとフェリクスお兄様は言いましたが、合っているだけですぐに使えるわけではありません。今までは剣術の基礎と実戦向けの動き——力と俊敏さの両方が必要なバランス型でしたので、今まで以上に素早く動く必要があります。

「まだまだだ!今のシエルは盗賊のすばしっこさにも劣るぞ!もっと地面を蹴ろ!剣で風を斬るように素早く振れ!」

 夏の日差しのように、お兄様の剣技と指南も熱いです。教わり始めた頃に比べるとその熱量の差に驚いてしまいます。それだけわたしの訓練に真剣だと思うととても嬉し——

「痛っ!」

「何してる!集中しろ!」

「は、はい!」

 気は決して抜けませんね。反省です。




「よし、今日はここまで!」

「ありがとうございました!」

 お兄様の掛け声で剣術の訓練が終わりを迎えました。この後は身体を綺麗にして、昼食をとってから学問の時間になります。

「そうだシエル!今日は一緒に昼食を食べないか?」

「えっ、フェリクスお兄様と?」

 いつもなら訓練が終わるとすぐ殿下の護衛に戻っているはずですが……

「ああ、今日の護衛は午後からつくことになっているだ!だから今日はシエルと昼食をとろうと思ってな!シエルはどうだ?何か不都合はないか?」

「だ、大丈夫です!わたしも……フェリクスお兄様と一緒に昼食を食べれると思うと嬉しいです!」

「はっはっはっ!そうか!嬉しいか!」

 フェリクスお兄様は大きな声で笑いながら、わたしの頭を撫でました。一番上のお兄様だからなのか、なんだお兄様に撫で方が似ています。

「それじゃあ俺も湯浴みをしてからダイニングに向かうとしよう!また後でな!」

「はい!」

 フェリクスお兄様が屋敷に向かったところを見送ってから、わたしもパメラと共に屋敷へ戻り、体を綺麗にしてダイニングルームへ向かいました。

 向かったのですが……

「……………………」

「……………………」

 ダイニングルームでフェリクスお兄様とヴィヴィアンヌお姉様が睨み合っていました。ど、どうしてですか!?
 
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