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第一部
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入学した日の翌日から授業が始められた。始めの数ヶ月で行われる授業では、貴族として必要な科目に励み、事前に知っている者は復習の面で受けることが義務付けられている。
それ以降の授業では、選択式で選ぶことができる。授業を受け持つ担当講師から承認を受けた一定数を取得すれば、その年に受ける授業は免除される。更に深めようと授業を取ったとしても来年以降の取得数に加算されないため、その場合は知的好奇心のある者が残るのみである。
日々を学んでいれば年の半分ほどで取得数を達成するが、授業によっては承認される過程が難しい科目が存在することもあり、現実的に見れば一年を通して受けるのが適切とされている。
授業が終わったメリシャのもとに、複数人の令嬢が集まってくる。それぞれは同じクラスにいる女生徒がいたが、先頭にいる女生徒は明らかに上位貴族と見られる風貌をしている。
「メリシャ男爵令嬢で合っているかしら?」
「は、はい。そうですが、私に何の御用でしょうか。」
その時、メリシャの肩に乗っていた小鳥の姿になっているネリが念話でルーに問いかけていた。その声音には少しだけ殺意が含まれていた。
(ルー。この女生徒、メリシャ様に敵意を持っておるぞ!滅するか?)
(少し待て。ここで事を起こしてはメリシャ様に迷惑を掛けてしまう。せめて不安を取り除いてあげてほしい。)
(むぅ。…分かった。今は従おう。)
今は子犬の姿のルーから受けた鋭い指摘にネリは渋々従う姿勢を見せていたが、そのルーの内心では怒気を抑える努力をしていた。周囲に見えないように後ろ足へ力を分散していたが、地面が耐えられず罅が走っていた。
そんな会話が開かれているとも知らない女生徒の会話が続く。
「貴女は彼の御方の婚約者なのですよね?」
「誰の事でしょうか。確かに婚約者はいますが、貴女に答える必要がありますか?」
「これだから下級貴族は嫌いなんですの。礼儀がなっておりませんわ。このような方が彼の御方に選ばれるなんて可笑しいわ。覚悟しなさい!」
女生徒は踵を返すと、従えてきた女生徒を引き連れて立ち去っていく。その後ろ姿を眺めながら、メリシャは一人困惑する他なかった。
それ以降の授業では、選択式で選ぶことができる。授業を受け持つ担当講師から承認を受けた一定数を取得すれば、その年に受ける授業は免除される。更に深めようと授業を取ったとしても来年以降の取得数に加算されないため、その場合は知的好奇心のある者が残るのみである。
日々を学んでいれば年の半分ほどで取得数を達成するが、授業によっては承認される過程が難しい科目が存在することもあり、現実的に見れば一年を通して受けるのが適切とされている。
授業が終わったメリシャのもとに、複数人の令嬢が集まってくる。それぞれは同じクラスにいる女生徒がいたが、先頭にいる女生徒は明らかに上位貴族と見られる風貌をしている。
「メリシャ男爵令嬢で合っているかしら?」
「は、はい。そうですが、私に何の御用でしょうか。」
その時、メリシャの肩に乗っていた小鳥の姿になっているネリが念話でルーに問いかけていた。その声音には少しだけ殺意が含まれていた。
(ルー。この女生徒、メリシャ様に敵意を持っておるぞ!滅するか?)
(少し待て。ここで事を起こしてはメリシャ様に迷惑を掛けてしまう。せめて不安を取り除いてあげてほしい。)
(むぅ。…分かった。今は従おう。)
今は子犬の姿のルーから受けた鋭い指摘にネリは渋々従う姿勢を見せていたが、そのルーの内心では怒気を抑える努力をしていた。周囲に見えないように後ろ足へ力を分散していたが、地面が耐えられず罅が走っていた。
そんな会話が開かれているとも知らない女生徒の会話が続く。
「貴女は彼の御方の婚約者なのですよね?」
「誰の事でしょうか。確かに婚約者はいますが、貴女に答える必要がありますか?」
「これだから下級貴族は嫌いなんですの。礼儀がなっておりませんわ。このような方が彼の御方に選ばれるなんて可笑しいわ。覚悟しなさい!」
女生徒は踵を返すと、従えてきた女生徒を引き連れて立ち去っていく。その後ろ姿を眺めながら、メリシャは一人困惑する他なかった。
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