30 / 56
私、とりあえず自分のできることをやってみます(全8話)
3
しおりを挟む
───冷たい風が、吹いた。
「さむ……」
……え、寒い?
ばっと空を見ると、もう暗くなり始めている。帽子を被っていたから気付かなかった。
え?今何時?
慌てて時計を確認すると、8時。
夢中で草をむしっているうちにこんな時間になっていたのか。
……えぇ?!
「リーシュ!あなたこんなところにいたの?!」
急に後ろから声がかけられた。
「あ、アナベル」
アナベルにお屋敷の中に連れ戻された。
「夕食の時間なのに戻ってこないなんて……探したわよ」
「ごめんなさい……つい、夢中で」
「そうね、あれだけの雑草を今日だけで……」
アナベルな感心したように顎に手を当てた。
「明日からはちゃんと時計を見るのよ」
「はい……」
それから、遅れてメイドが食事をする部屋に入り、食事を食べた。
わぁ……美味しい。
今の今まで忘れていたが、昼食を摂っていなかった。
まぁ今まで1日一食食べられれば良い方だったのでそこまでの危機感は無かった。食べた瞬間思い出す空腹感。
こんなに美味しいものが食べられて私は幸せだ。
食事を終え、お風呂に入ったらすぐに眠くなってしまった。
ふかふかの布団に入って、目を瞑れば、容易く眠ってしまう。私にとっては、こんな日々が訪れるなんて、思ってもみなかったことだ。
*
それから数日間、庭の草をむしり続けた。
その間に首の痕はすっかり治った。
いつもと同じように、掃除を終えすぐに庭へ出て草をむしる。今日はお屋敷の裏側からスタートだ。
雑草が生えていて分からなかったが、実は奥に手押し井戸ポンプがあったようだ。
最近使ったような痕跡は無い。水は出るのだろうか。
……使い方も分からないし、気になるけれどひとまず置いておこう。
セレナが管理している畑には手を加えないように。
表は全てむしりとられていて、綺麗。
鍬を持ってきて、とりあえず花壇の土を耕してみる。うん。土自体は悪くない。
今ではすっかり荒れ果ててしまっているが、きっと、昔誰かが花壇で何か育てていたんだろう。
その人は、一体どこへ行ってしまったのか。なんて。
「リーシュ!」
草をむしったことで裏口から表へ庭伝いに行けるようになった。
そこを通って、セレナが驚いた様子で私に駆け寄った。
「どうしたんですか?セレナ」
朝以来……かな。
私としてはちょっと気まずいんだけど。だかセレナにそんな素振りはない。
「草が全部無くなってるわ!あなたが全部?」
「そう……ですけど。あとは裏だけです」
「すごいわ!こんなところに花壇があったのね……!こんなに広範囲の雑草を……大変だったでしょう?」
「そんなこと無いですよ」
私としては単純作業が楽しかった。
「あの……!お願いがあるのだけど……」
連れてこられたのは裏の畑。
「もっと広くしたいのだけど……お願いできないかしら?」
「お安いご用ですよ」
鍬で元々あった畝の隣にもう一列、畝を作る。
「ありがとう!」
「いえ」
セレナは……今、何を考えているのだろう。
まぁ
所詮他人は他人。分かりっこない。
当たり障りなく、付き合っていけばいい。
「さむ……」
……え、寒い?
ばっと空を見ると、もう暗くなり始めている。帽子を被っていたから気付かなかった。
え?今何時?
慌てて時計を確認すると、8時。
夢中で草をむしっているうちにこんな時間になっていたのか。
……えぇ?!
「リーシュ!あなたこんなところにいたの?!」
急に後ろから声がかけられた。
「あ、アナベル」
アナベルにお屋敷の中に連れ戻された。
「夕食の時間なのに戻ってこないなんて……探したわよ」
「ごめんなさい……つい、夢中で」
「そうね、あれだけの雑草を今日だけで……」
アナベルな感心したように顎に手を当てた。
「明日からはちゃんと時計を見るのよ」
「はい……」
それから、遅れてメイドが食事をする部屋に入り、食事を食べた。
わぁ……美味しい。
今の今まで忘れていたが、昼食を摂っていなかった。
まぁ今まで1日一食食べられれば良い方だったのでそこまでの危機感は無かった。食べた瞬間思い出す空腹感。
こんなに美味しいものが食べられて私は幸せだ。
食事を終え、お風呂に入ったらすぐに眠くなってしまった。
ふかふかの布団に入って、目を瞑れば、容易く眠ってしまう。私にとっては、こんな日々が訪れるなんて、思ってもみなかったことだ。
*
それから数日間、庭の草をむしり続けた。
その間に首の痕はすっかり治った。
いつもと同じように、掃除を終えすぐに庭へ出て草をむしる。今日はお屋敷の裏側からスタートだ。
雑草が生えていて分からなかったが、実は奥に手押し井戸ポンプがあったようだ。
最近使ったような痕跡は無い。水は出るのだろうか。
……使い方も分からないし、気になるけれどひとまず置いておこう。
セレナが管理している畑には手を加えないように。
表は全てむしりとられていて、綺麗。
鍬を持ってきて、とりあえず花壇の土を耕してみる。うん。土自体は悪くない。
今ではすっかり荒れ果ててしまっているが、きっと、昔誰かが花壇で何か育てていたんだろう。
その人は、一体どこへ行ってしまったのか。なんて。
「リーシュ!」
草をむしったことで裏口から表へ庭伝いに行けるようになった。
そこを通って、セレナが驚いた様子で私に駆け寄った。
「どうしたんですか?セレナ」
朝以来……かな。
私としてはちょっと気まずいんだけど。だかセレナにそんな素振りはない。
「草が全部無くなってるわ!あなたが全部?」
「そう……ですけど。あとは裏だけです」
「すごいわ!こんなところに花壇があったのね……!こんなに広範囲の雑草を……大変だったでしょう?」
「そんなこと無いですよ」
私としては単純作業が楽しかった。
「あの……!お願いがあるのだけど……」
連れてこられたのは裏の畑。
「もっと広くしたいのだけど……お願いできないかしら?」
「お安いご用ですよ」
鍬で元々あった畝の隣にもう一列、畝を作る。
「ありがとう!」
「いえ」
セレナは……今、何を考えているのだろう。
まぁ
所詮他人は他人。分かりっこない。
当たり障りなく、付き合っていけばいい。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
氷のメイドが辞職を伝えたらご主人様が何度も一緒にお出かけするようになりました
まさかの
恋愛
「結婚しようかと思います」
あまり表情に出ない氷のメイドとして噂されるサラサの一言が家族団欒としていた空気をぶち壊した。
ただそれは田舎に戻って結婚相手を探すというだけのことだった。
それに安心した伯爵の奥様が伯爵家の一人息子のオックスが成人するまでの一年間は残ってほしいという頼みを受け、いつものようにオックスのお世話をするサラサ。
するとどうしてかオックスは真面目に勉強を始め、社会勉強と評してサラサと一緒に何度もお出かけをするようになった。
好みの宝石を聞かれたり、ドレスを着せられたり、さらには何度も自分の好きな料理を食べさせてもらったりしながらも、あくまでも社会勉強と言い続けるオックス。
二人の甘酸っぱい日々と夫婦になるまでの物語。
魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました
iru
恋愛
小説家になろうですでに完結済みの作品です。よければお気に入りブックマークなどお願いします。
両親と旅をしている途中、魔物に襲われているところを、魔法師団に助けられたティナ。
両親は亡くなってしまったが、両親が命をかけて守ってくれた自分の命を無駄にせず強く生きていこうと決めた。
しかし、肉親も家もないティナが途方に暮れていると、魔物から助けてくれ、怪我の入院まで面倒を見てくれた魔法師団の団長レオニスから彼の家政婦として住み込みで働かないと誘われた。
魔物から助けられた時から、ひどく憧れていたレオニスの誘いを、ティナはありがたく受ける事にした。
自分はただの家政婦だと強く言い聞かせて、日に日に膨らむ恋心を抑え込むティナだった。
一方、レオニスもティナにどんどん惹かれていっていた。
初めはなくなった妹のようで放っては置けないと家政婦として雇ったが、その健気な様子に強く惹かれていった。
恋人になりたいが、年上で雇い主。
もしティナも同じ気持ちでないなら仕事まで奪ってしまうのではないか。
そんな思いで一歩踏み出せないレオニスだった。
そんな中ある噂から、ティナはレオニスの家政婦を辞めて家を出る決意をする。
レオニスは思いを伝えてティナを引き止めることができるのか?
両片思いのすれ違いのお話です。
神様の手違いで、おまけの転生?!お詫びにチートと無口な騎士団長もらっちゃいました?!
カヨワイさつき
恋愛
最初は、日本人で受験の日に何かにぶつかり死亡。次は、何かの討伐中に、死亡。次に目覚めたら、見知らぬ聖女のそばに、ポツンとおまけの召喚?あまりにも、不細工な為にその場から追い出されてしまった。
前世の記憶はあるものの、どれをとっても短命、不幸な出来事ばかりだった。
全てはドジで少し変なナルシストの神様の手違いだっ。おまけの転生?お詫びにチートと無口で不器用な騎士団長もらっちゃいました。今度こそ、幸せになるかもしれません?!
【完結】モブのメイドが腹黒公爵様に捕まりました
ベル
恋愛
皆さまお久しぶりです。メイドAです。
名前をつけられもしなかった私が主人公になるなんて誰が思ったでしょうか。
ええ。私は今非常に困惑しております。
私はザーグ公爵家に仕えるメイド。そして奥様のソフィア様のもと、楽しく時に生温かい微笑みを浮かべながら日々仕事に励んでおり、平和な生活を送らせていただいておりました。
...あの腹黒が現れるまでは。
『無口な旦那様は妻が可愛くて仕方ない』のサイドストーリーです。
個人的に好きだった二人を今回は主役にしてみました。
【完結】お見合いに現れたのは、昨日一緒に食事をした上司でした
楠結衣
恋愛
王立医務局の調剤師として働くローズ。自分の仕事にやりがいを持っているが、行き遅れになることを家族から心配されて休日はお見合いする日々を過ごしている。
仕事量が多い連休明けは、なぜか上司のレオナルド様と二人きりで仕事をすることを不思議に思ったローズはレオナルドに質問しようとするとはぐらかされてしまう。さらに夕食を一緒にしようと誘われて……。
◇表紙のイラストは、ありま氷炎さまに描いていただきました♪
◇全三話予約投稿済みです
『身長185cmの私が異世界転移したら、「ちっちゃくて可愛い」って言われました!? 〜女神ルミエール様の気まぐれ〜』
透子(とおるこ)
恋愛
身長185cmの女子大生・三浦ヨウコ。
「ちっちゃくて可愛い女の子に、私もなってみたい……」
そんな密かな願望を抱えながら、今日もバイト帰りにクタクタになっていた――はずが!
突然現れたテンションMAXの女神ルミエールに「今度はこの子に決〜めた☆」と宣言され、理由もなく異世界に強制転移!?
気づけば、森の中で虫に囲まれ、何もわからずパニック状態!
けれど、そこは“3メートル超えの巨人たち”が暮らす世界で――
「なんて可憐な子なんだ……!」
……え、私が“ちっちゃくて可愛い”枠!?
これは、背が高すぎて自信が持てなかった女子大生が、異世界でまさかのモテ無双(?)!?
ちょっと変わった視点で描く、逆転系・異世界ラブコメ、ここに開幕☆
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる