異世界に召喚されたからって、何で俺を従者に指名するんだよ!?

オフィス景

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2 事情説明

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「…ごめんなさい……」

 申し訳なさといたたまれなさを全身で表現しながら、舞子はひたすら謝り続けた。

「だから、謝るのはもういいって。それよりも事情を説明してくれよ」

 何かよっぽどのことをやらかしたんだろう、というのは想像がつく。が、内容がさっぱり想像できん。

「…こ、ここは、異世界なの……」

 異世界?

 普通に日常生活を送る分には、一生聞くことがなくても、何の支障もない言葉だ。

「あたし、勇者として異世界召喚されたの」

「……」

 この時点で俺の理解力は限界を超えていた。それでも一通り話だけは聞いてみようと続きを促した。

「召喚先で、一人だけ従者を喚んでいいって言われたの。でもどうしていいか、誰を頼っていいかわからなくて……あたしの知っている人の中で一番頼りになる人って考えたら、哲平くんしか思いつかなかったの」

 そう言って舞子は、ここまで縮むか、というくらい身を縮こまらせた。

「ごめんなさい」

「わかったよ」

 完全に理解したとは言えないが、大筋はわかった、と思う…多分……

「ひとつだけ確認ーーその召喚ってのは、おまえが望んでのことなのか?」

 舞子は千切れそうな勢いで首を振る。

「それならいい。おまえも被害者ってことじゃねえか」

「…許して、くれるの……?」

「許すも何も、おまえは俺の意思を確認しただろ」

 正直訳のわからない確認ではあったが、確認には違いない。俺が自分の意思でそれを受けたんだ。それを舞子のせいにしたら、男が廃るってもんだ。

「よくわからんかったが、もしおまえが困ってるんなら助けたいと思ったのは本当だ。だから、これ以上気に病む必要はない」

「…哲平くぅん……」

「これ以上泣いたら助けない」

 ぶしゃ

 人の顔から出たものとは思えない音が聞こえた。

 見ると、舞子の顔が盛大に鼻水まみれになっている。無理に涙を堪えようとしたら逆流した?

 そんなことが本当に起きるのかどうかわからなかったが、舞子が恨めしげに見上げてきてるので、俺のせいなのは間違いないみたいだ。

「…ひ、酷いよ、哲平くん……」

「…あー、その、何だ…悪ィ……」

 元はかなり可愛い舞子の顔は、思わず写真に残したくなるような惨状を呈している。笑ってしまいそうなのだが、笑ったら色々と取り返しがつかなくなりそうなので、頑張って堪える。

「マイコ様、よろしいでしょうか」

 部屋の外から声がかかった。

「皆様がお待ちです。ご案内いたします」

 白い鎧で身を包んだ若い男が現れた。これはあれか、騎士ってやつか?

「哲平くん、一緒に来てもらえる?」

「はいよ」

 部屋から出ると、鎧姿の男が値踏みするような目を向けてきた。

 何だこいつ、味方と違うのか?

 どう見ても敵に対する視線だろう、それは。

 そっちがその気ならーー

 視線に殺気を込めたら、いきなり狼狽え始めた。

 ダメだ、こりゃ。話にならん。

 自分から喧嘩売るような真似しといて、ちょっと返されたくらいで腰砕けって…どんだけヘタレなんだよ……

 こんなんばっかりの中に勇者として喚ばれて、何させられるんだ?

 きっと舞子じゃ言われるがままに流されちまうんだろうなぁ……

 この時点で、気分は半分以上保護者だった。
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