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「ここで一番強いヤツは誰だ?」
空気がざわついた。
不遜なヤツと思われただろうが、それはそれでいい。
その場にいた皆の視線が一点に集中する。
ああ、やっぱりそうだよな。
最初にこいつだろうなとアタリをつけていたヤツで正解だった。
「あんたの腕、見せてくんねえか?」
玉座に続く階の一番たもとに控えた巨漢に目を据え、挑発的に言った。
「あんたたちだって、俺がどれくらいできるかは知っといた方がいいだろう。大切な勇者様を預けるに足りるかどうか、気になるだろう?」
「それはその通りだな」
巨漢が一歩進み出る。
「で、どうやる?」
「俺、剣とか扱ったことないんで、素手でいいすか?」
「ああ、それでいこう」
場所を闘技場に替え、騎士団長のオルソンさんと向かい合う。この人、二メートル近い長身とそれに見合う厚みをもっている。それでいて、挙措を見る限り鈍さはまったく感じない。
普通に強いんだろうなと思う。非常に楽しみだ。
「始めるか」
「いきますよ」
宣言して、自分から間を詰めた。軽いジャブを放つ。
オルソンさんの捌きは的確だった。これは期待が持てる。
今度は向こうが打ってきた。こちらの世界にもボクシングに似た技術があるようで、かなり鋭いジャブだった。
ボクサーに対する常套手段として、足を狙ったローキックを放つ。
自信のある蹴りだったのだが、上げた足できれいに受けられた。
かなりできる人だな。
嬉しくなってきた。
強い相手と戦えるのは、俺にとって無上の喜びである。強い相手とやりあってこそ自分の力も計れるし、成長も望めるというものだ。
オルソンさんはぶっとい笑みを浮かべているが、多分俺も似たような顔してるんだろうな。
「しゃっ」
どちらからともなく間を詰め、ガッチリと組み合う。
体格差で上から来られる分不利だが、何とか対抗できている。
が、見かけ倒しではない筋肉から生み出されるパワーは本物で、このままパワー勝負を続けたらちょっと分が悪そうだ。
となればーー
瞬間的にパワーを絞り出し、オルソンさんを押し返す。
押し負けまいとオルソンさんが更に力を加えた瞬間、俺はわずかに腰を落とした。
「!?」
自分の想定よりも深く押し込む形になって、オルソンさんはほんの少し前のめりに崩れた。
もう一段深く腰を沈めるのと同時に、右足の裏をオルソンさんの腹に当てる。
「そいっ!」
そのまま後ろに倒れこみ、右足を跳ね上げる。
完璧な巴投げ。柔道の試合なら間違いなく一本を取れる形だ。
ただ、これは柔道の試合ではないので続きがある。
動きを止めることなく、マウントポジションをとる。誰の目にもわかりやすい決着だ。
「俺の負けだ」
オルソンさんは、拍子抜けするくらい潔く負けを認めた。
こういう態度をとられると、こっちも勝ち誇ってばかりはいられなくなる。
「初見だったからこそですね。次はこうはいかないでしょう」
半分以上本音だ。このスパーリングは楽しかった。ここまでできる人がいるなら、退屈はしないで済みそうだ。
「またやろう。君との仕合は得るものが多そうだ」
「ぜひ」
オルソンさんは、王様に向かって一礼した。
「彼は勇者様の従者として相応しいと思います」
どこからも異論は出ず、俺のポジションは舞子の従者として落ち着いた。
空気がざわついた。
不遜なヤツと思われただろうが、それはそれでいい。
その場にいた皆の視線が一点に集中する。
ああ、やっぱりそうだよな。
最初にこいつだろうなとアタリをつけていたヤツで正解だった。
「あんたの腕、見せてくんねえか?」
玉座に続く階の一番たもとに控えた巨漢に目を据え、挑発的に言った。
「あんたたちだって、俺がどれくらいできるかは知っといた方がいいだろう。大切な勇者様を預けるに足りるかどうか、気になるだろう?」
「それはその通りだな」
巨漢が一歩進み出る。
「で、どうやる?」
「俺、剣とか扱ったことないんで、素手でいいすか?」
「ああ、それでいこう」
場所を闘技場に替え、騎士団長のオルソンさんと向かい合う。この人、二メートル近い長身とそれに見合う厚みをもっている。それでいて、挙措を見る限り鈍さはまったく感じない。
普通に強いんだろうなと思う。非常に楽しみだ。
「始めるか」
「いきますよ」
宣言して、自分から間を詰めた。軽いジャブを放つ。
オルソンさんの捌きは的確だった。これは期待が持てる。
今度は向こうが打ってきた。こちらの世界にもボクシングに似た技術があるようで、かなり鋭いジャブだった。
ボクサーに対する常套手段として、足を狙ったローキックを放つ。
自信のある蹴りだったのだが、上げた足できれいに受けられた。
かなりできる人だな。
嬉しくなってきた。
強い相手と戦えるのは、俺にとって無上の喜びである。強い相手とやりあってこそ自分の力も計れるし、成長も望めるというものだ。
オルソンさんはぶっとい笑みを浮かべているが、多分俺も似たような顔してるんだろうな。
「しゃっ」
どちらからともなく間を詰め、ガッチリと組み合う。
体格差で上から来られる分不利だが、何とか対抗できている。
が、見かけ倒しではない筋肉から生み出されるパワーは本物で、このままパワー勝負を続けたらちょっと分が悪そうだ。
となればーー
瞬間的にパワーを絞り出し、オルソンさんを押し返す。
押し負けまいとオルソンさんが更に力を加えた瞬間、俺はわずかに腰を落とした。
「!?」
自分の想定よりも深く押し込む形になって、オルソンさんはほんの少し前のめりに崩れた。
もう一段深く腰を沈めるのと同時に、右足の裏をオルソンさんの腹に当てる。
「そいっ!」
そのまま後ろに倒れこみ、右足を跳ね上げる。
完璧な巴投げ。柔道の試合なら間違いなく一本を取れる形だ。
ただ、これは柔道の試合ではないので続きがある。
動きを止めることなく、マウントポジションをとる。誰の目にもわかりやすい決着だ。
「俺の負けだ」
オルソンさんは、拍子抜けするくらい潔く負けを認めた。
こういう態度をとられると、こっちも勝ち誇ってばかりはいられなくなる。
「初見だったからこそですね。次はこうはいかないでしょう」
半分以上本音だ。このスパーリングは楽しかった。ここまでできる人がいるなら、退屈はしないで済みそうだ。
「またやろう。君との仕合は得るものが多そうだ」
「ぜひ」
オルソンさんは、王様に向かって一礼した。
「彼は勇者様の従者として相応しいと思います」
どこからも異論は出ず、俺のポジションは舞子の従者として落ち着いた。
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