異世界に召喚されたからって、何で俺を従者に指名するんだよ!?

オフィス景

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4 手合わせ

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「ここで一番強いヤツは誰だ?」

 空気がざわついた。

 不遜なヤツと思われただろうが、それはそれでいい。

 その場にいた皆の視線が一点に集中する。

 ああ、やっぱりそうだよな。

 最初にこいつだろうなとアタリをつけていたヤツで正解だった。

「あんたの腕、見せてくんねえか?」

 玉座に続く階の一番たもとに控えた巨漢に目を据え、挑発的に言った。

「あんたたちだって、俺がどれくらいできるかは知っといた方がいいだろう。大切な勇者様を預けるに足りるかどうか、気になるだろう?」

「それはその通りだな」

 巨漢が一歩進み出る。

「で、どうやる?」

「俺、剣とか扱ったことないんで、素手でいいすか?」

「ああ、それでいこう」

 場所を闘技場に替え、騎士団長のオルソンさんと向かい合う。この人、二メートル近い長身とそれに見合う厚みをもっている。それでいて、挙措を見る限り鈍さはまったく感じない。

 普通に強いんだろうなと思う。非常に楽しみだ。

「始めるか」

「いきますよ」

 宣言して、自分から間を詰めた。軽いジャブを放つ。

 オルソンさんの捌きは的確だった。これは期待が持てる。

 今度は向こうが打ってきた。こちらの世界にもボクシングに似た技術があるようで、かなり鋭いジャブだった。

 ボクサーに対する常套手段として、足を狙ったローキックを放つ。

 自信のある蹴りだったのだが、上げた足できれいに受けられた。

 かなりできる人だな。

 嬉しくなってきた。

 強い相手と戦えるのは、俺にとって無上の喜びである。強い相手とやりあってこそ自分の力も計れるし、成長も望めるというものだ。

 オルソンさんはぶっとい笑みを浮かべているが、多分俺も似たような顔してるんだろうな。

「しゃっ」

 どちらからともなく間を詰め、ガッチリと組み合う。

 体格差で上から来られる分不利だが、何とか対抗できている。

 が、見かけ倒しではない筋肉から生み出されるパワーは本物で、このままパワー勝負を続けたらちょっと分が悪そうだ。

 となればーー

 瞬間的にパワーを絞り出し、オルソンさんを押し返す。

 押し負けまいとオルソンさんが更に力を加えた瞬間、俺はわずかに腰を落とした。

「!?」

 自分の想定よりも深く押し込む形になって、オルソンさんはほんの少し前のめりに崩れた。

 もう一段深く腰を沈めるのと同時に、右足の裏をオルソンさんの腹に当てる。

「そいっ!」

 そのまま後ろに倒れこみ、右足を跳ね上げる。

 完璧な巴投げ。柔道の試合なら間違いなく一本を取れる形だ。

 ただ、これは柔道の試合ではないので続きがある。

 動きを止めることなく、マウントポジションをとる。誰の目にもわかりやすい決着だ。

「俺の負けだ」

 オルソンさんは、拍子抜けするくらい潔く負けを認めた。

 こういう態度をとられると、こっちも勝ち誇ってばかりはいられなくなる。

「初見だったからこそですね。次はこうはいかないでしょう」

 半分以上本音だ。このスパーリングは楽しかった。ここまでできる人がいるなら、退屈はしないで済みそうだ。

「またやろう。君との仕合は得るものが多そうだ」

「ぜひ」

 オルソンさんは、王様に向かって一礼した。

「彼は勇者様の従者として相応しいと思います」

 どこからも異論は出ず、俺のポジションは舞子の従者として落ち着いた。

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