姫様従者と王子様

花夜

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Ⅰ:始まりは姫の旅

05

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 数日後。

 ユリフィアは無事にプルメリアの王都、セレッソを訪れていた。

 花と緑と人々に溢れ、お祭り状態の街の様子に思わず感嘆する。

(スゴイ…皆んな笑顔でとっても楽しそう)

 見ているだけでワクワクし、ユリフィアは子供の様にはしゃいだ。

(あれは何かな?あ、あっちのお店は…)

 様々な露店にオシャレなカフェ、妖しい道具を扱っているお店などでごった返し、ユリフィアを誘惑した。

(ここがプルメリアの中心。なんて素敵な所なんだろう)

 一通り商店街を周り、一息つく。

 さすが、魔術の国と名高いだけはある。

 本格的な魔道具や術式に使用する特殊な石に薬草を扱っているお店がそこかしらにあった。

 フリージアでも魔法を使用する人はいるが、そこまでポピュラーではない。

 どちらかと言えば武術の方が専門である。

 そもそも魔法とは、火・水・木・風・光・闇の自然の力を借りて発動させる特殊能力のことだ。

 魔力があれば誰にでも使える力だが、相性によって得意な技が別れる。

 魔法の力は多岐に渡り、攻撃や防御から身体を強化するもの、物に付加させるものなど様々で、魔法技術を高めた者は「魔術師」として特殊な職業に就くこともあった。

 そして、このプルメリア王国は魔術師が活躍する魔法国家だった。

 ちなみに、厳密には「魔法」と「魔術」は異なるものだが ウィンダリアここでは同種の扱いである。

(古書とかで知識はあったけど、実際に見てみると壮大)

 ユリフィアは広場のベンチに座り休憩がてら街の様子を見て微笑んだ。

 でも、これからどうしようか?

 当初の家出計画は、とりあえず隣国に逃げ込み、なるべく見つかりにくいように人の多い街まで行く、という所までだった。

 正直その後の事は何も考えていない。

 むしろ無計画と言っても良い。

(もう少し作戦を練ればよかったかも…)

 この向こう見ずさもユリフィアの魅力なのだが…今は仇となっていた。

 途方に暮れていた時、ユリフィアの瞳にとある貼り紙が映る。

『セレッソ武術大会本日開催!
  剣術・体術・魔術なんでも使用OK!
 腕に自信のある方の出場を心からお待ちしております♪
  受付は午前11時まで。
 予選を通過し、本戦での優勝者にはなんと、1000000E プレゼント!!!』

 ひゃ、100万イリス!?

 E=イリスとはこのウィンダリア大陸での共通通貨のこと。

 補足すると1イリス1円換算である。

(これは、是非とも出場しなきゃ!)

 この旅の終止符は考えていないが、この先もお金は必要となってくる。

 よし、決めた!

 即断即決したユリフィアはその受付窓口を探すため立ち上がった。

 ただいまの時刻は10時45分。

 急げばまだ間に合う!

 辺りを見渡すと一際大きい建物が見える。

(あれは確か…コロッセオだったはず)

 武術大会ならばそういった場所で開催されるだろう。

 そう見当をつけて、ユリフィアはコロッセオを目指して走り出した。






 数分後。

 石造りの建物に到着する。
 
そして、彼女の予想通りそこが大会の会場であり、どうやら正面のテントで受付を行っているようだ。

 けれどさすがと言うべきか、武術大会と言うだけあってテントの周りには屈強な男で溢れ、中には明らかにガラの悪い集団までたむろしていた。

(あそこが受付…)

 ごくりと唾を飲み、意を決して踏み出したのだがーー

「おい、そこのお前!」

 突然背後から声をかけられ、その歩みを止めて振り返った。

「私のこと?」

 視線の先には1人の青年が立っている。

 年の頃は17、8といったところか。

 夜を思わせる漆黒の髪に、燃える紅玉のような瞳を持つ男だった。

 二重の大きな瞳、鼻梁は高く、口元は少々ムッツリとしているが、精悍な顔立ちのいわゆるイケメンと呼ばれる部類の青年だ。

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