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Ⅰ:始まりは姫の旅
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しおりを挟む「ちょ、嘘でしょ!?」
ユリフィアは今、長い廊下を全力疾走していた。
理由は…背後から迫る馬鹿デカイ球にある。
廊下にはこの球に限らず、先ほどから数えきれないほどの罠が仕掛けられていた。
ちょっと前は足を踏み出した途端、地面がなくなるという地帯もあったし、両壁から槍が飛び出すなんていうのもザラ(すでに数回体験済み)だった。
そう、まるで宝探しの洞窟にありがちな罠がてんこ盛りなのだ。
アトラクションとしてなら楽しめただろうが、しばしば本気で命の危機があり、これが決して遊びではないと知った。
「…この廊下はいつまで続くの!?」
かれこれ15分は走っている。
一本道に見えて、実は円形になっており、同じところをぐるぐる回っているのではないだろうか。
ふと、その考えが頭をよぎる。
「……こうなったら……」
やるしか無い!
「聖なる清き水よ、槍となりて敵を穿ち給え!」
唱え終わると水の槍が三本現れ、球へと放たれる。
土で出来た球は呆気なく崩れた。
「最初からこうすれば良かったかも…」
ふぅ、と一息つくとどこからか子猫の鳴き声が聞こえた気がした。
「…ニャー……」
「気のせいじゃないよね」
キョロキョロと辺りを見渡す。
すると、前方の柱の上に猫影があった。
「いた!」
どうしてここにとか、そんな事を思うよりも先に行動していた。
壁の飾りを足場に上まで登りジャンプと同時に柱へと手を伸ばす。
温かな茶毛の塊を腕に抱き、そのまま着地する。
そっと腕の中を見ると子猫が元気よく「ニャー」と鳴いた。
「よかったぁ。ケガもなさそうだし、大丈夫かな。それにしても何であんな所にいたんだろう」
子猫に聞いても答えがあるはずもなく…仕方がないので、その子を連れたままゴールを目指すことにしたのだった。
しばらく歩くと数メートル先に「GOAL」と書かれた看板が見えた。
光の溢れるアーチをくぐると広場のような開けた場所に出る。
途端、
「予選突破おめでとうございます!」
私を待ち構えていたのはあの受付案内のお姉さんだった。
「え??」
突然の事に間抜けな返事をしてしまう。
(予選?)
「あれ、覚えていませんか?受付時に説明致しましたが…」
そう言われて思い返す。
テントでは名前と歳、それから試合の時に使用する武器を登録して…そう言えば大会についての説明もあったっけ。
確か、今回の武術大会は国ではなく王都セレッソ主催であり、そこまで大きいものではないこと。
それでも参加者は100人を超えるため、それを16人まで絞る予選を行い、無事通過した精鋭たちのトーナメントバトルを本戦とすること。
その本戦で見事優勝者すれば賞金を授与されるが、スペシャルゲストとの強制バトルがあること。
また予選は独自の方法で行うので、予選落ちでも抗議は受け付けないなどなど。
てっきり今から予選だと思っていた。
まさかあの廊下が試練だったとは…!
「あそこは現在、予選用に特別仕様にしているのです。脱落する事なく、ここに辿り着けた方の中からさらに、怪我の有無やクリア時間も考慮して予選通過者を決めるのですよ」
にっこりと笑いながら説明してくれる。
「あれ?それならどうして私は予選突破決定なの??」
その話が本当なら、これから本戦に進める者を決めるのではないか。
「…ここには一攫千金を狙う方や己の実力を見せつけたい方など、様々な理由から実に多種多様の方が集まります。そんな中、子猫を助けようとするお人好しは一握りしかいません」
まぁ、そうだよね。
バトルしに来ているのに、猫になんか構っていられないよね。
「そんなお人好し…いえ、その優しさも戦士には必要です。と理由から子猫を助けた方は問答無用で予選突破決定なのです」
たまたま取った行動がまさかそこに繋がるとは…予想外なことばかりで驚きだ。
「ユリフィアさん、頑張って下さいね。本戦では猛者ばかりです。女性である貴女は不利かもしれませんが…期待しています」
そう言ってお姉さんは去って行った。
…とりあえず、無事本戦に出られるみたいで良かったと胸をなで下ろす。
(これからが本番、だね!)
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・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
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