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Ⅲ:姫と従者と王子様
03
しおりを挟む私がプルメリア王国の王子、アレクシオのボディーガードになって早一週間。
ようやく色々な事に慣れてきた頃だ。
(それにしても…私って護衛だよね?何かレストさんに従者の仕事まで押し付けられているような気がするんだけど…)
気のせい?
首を傾げながらもユリフィアは現在、アレクシオに出す紅茶を用意していた。
(お菓子は先ほどメイドさんに頂いたクッキーでいいかな)
それらを綺麗に盛り付け、そして主の元もへと急いだ。
「アレク、紅茶を持ってきたよ。少し休憩にしよう」
アレクシオは自室で資料の整理をしていた。
どうやら王子の署名が必要な物らしく、何百枚という紙が机の上を占領している。
元々身体を動かす事が好きでデスクワークを苦手としているアレクシオはすでにゲンナリとしていた。
「…ありがとう」
ふぅと息を吐いて私の運んだ紅茶に手を伸ばした。
ゴクリと唾を飲み込み、私は彼の反応を静かに見守る。
「……うん。ま、合格だな」
「やったぁ!!」
飛び上がらんばかりの喜び様にアレクシオは苦笑する。
ユリフィアの気持ちも分からなくはない。
ここ数日、アレクシオに散々紅茶の淹れ方についてボロクソに言われていたのだ。
紅茶は水の量、蒸らし時間によって味がカナリ変わってしまう。
ユリフィアは城にいた頃はよく自分で入れていたが、本格的なものではなくティーパックのお手軽に作れるものだった。
けれど、どうやらアレクシオには強いこだわりがあるようで…何度も淹れなおし、レストに彼の好みを聞いたりと努力した結果ーーやっとでもぎ取った合格なのだ。
「もう、紅茶一つでアレクはうるさすぎるんだよ。飲めればいいじゃん」
「どうせなら美味しく飲みたいと、お前でも思うだろ?」
「まぁ。不味いよりは美味しくがいいけど…」
それでもアレクシオの注文は相当面倒くさいものだった。
やれ、茶葉が0.01グラム多いだの、蒸らし時間が0.1秒早いだの本当に細かかった。
しみじみとしながらユリフィアはハタと我にかえる。
(あれ?こういう仕事はレストさんのじゃないのかな?)
レストはと言えば、朝一番に顔を見せたきりどこかに行ってしまった。
最近はアレクシオの側にいることも少なく、従者とは名ばかりになっている。
「ユリフィア」
ふと名前を呼ばれ、飛ばしていた意識を戻す。
「どうしたの??」
「この後の予定は何かあるか?」
「私?私ならアレクの護衛以外の予定はないよ。あ、アレクの予定のこと?」
さすがに王子の予定まではちゃんと把握していない。
今度からレストさんに聞いておこうかな、と思うユリフィアだった。
「いや、お前ので合っているぞ。そうか…なら、俺に付き合え」
「仕事はいいの?」
「集中が切れたし、たまには気分転換も必要だろう」
悪戯っぽく笑い、アレクシオは着替えてくるからお前も出かける準備をしろと言った。
「どこか行くの!?」
キラリとユリフィアの瞳が輝く。
ここに来てから城外に出た事がなかった。
つまり、プルメリアの街を歩いたのは初日だけなのだ。
「きちんと街の案内もしていなかったからな。視察も兼ねて行こうと思うが…嫌か?」
「絶対行くっ!!」
ユリフィアの食いつき様に満足したようで、頷きそれから「レストには内緒の方向で。バレると面倒くさいからな」と小声で耳打ちしたのだった。
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・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
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