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Ⅲ:姫と従者と王子様
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しおりを挟む「アレク、あれは何!?あ、あれは??あ、そっちはーー」
「お前…ちょっとは落ち着け!」
2人が街へ訪れて1時間。
好奇心一杯のユリフィアに引っ張られ、アレクシオはこんな筈ではなかったと後悔の念に駆られていた。
彼の予定ではゆっくり街を見て回り、ティータイムを過ごすという癒しを求めるものだった。
しかしそれはユリフィアによって打ち砕かれる。
彼女はここ数年、外出していなかった事もあるがそもそも「街」という存在に触れる機会があまりなかったのだ。
田舎から出て来た子供が初めて都会を見た時のようなはしゃぎっぷりになるのは仕方ないだろう。
「アレク見て!あのお店の商品とても綺麗だよ」
ユリフィアは護衛という立場を忘れたように主の腕を引っ張り、興味を引いた出店へと連行する。
「分かったから。少しは落ち着けって!初めての買い物って訳じゃあるまいし……」
アレクシオの言葉に思わず立ち止まり、私はやっとで浮かれていたと自覚した。
(…珍しいからってアレクに迷惑かけちゃったかも。私はアレクの護衛なんだし、自重しなきゃ)
「ご、ごめんね。私、久しぶりの外出だからって浮かれちゃってた」
笑って誤魔化したつもりだったが、アレクシオは一瞬ユリフィアが悲しそうな顔をしたのを見逃さなかった。
彼女の事はまだまだ謎が多い。
思いのほか博識で、腕がたって、それに貴族流のマナーもきちんと身についていて、かと思えば子供のように無邪気で…コロコロと変わる表情に毎回驚かされる。
あまり自分の事を語ろうとしないユリフィアに、アレクシオは少なからず複雑な柵があるだろうとは踏んでいた。
しゅんと落ち込んだ様子の彼女に苦笑し、それから覚悟を決めて口を開く。
「ユリフィア。今日はお前にとことん付き合ってやるよ」
元よりそのつもりもあって連れ出したのだ。
いきなりの宮仕え、しかも半ば強引だった上に数日でプルメリアについて叩き込まれ、しかも王子の専属護衛という肩書き付き。
城の者からは当然好奇の目ので見られ、中には酷い中傷を言う者もいた。
(まぁ、ユリフィアは全く気にせず他の衛兵に混じって訓練を受けてはその実力を見せつけ…さらにメイドたちとはいつの間にか打ち解けていたが)
心配することはないと思う反面、やはり息抜きはさせた方がいいだろと結論付けた。
結果=ユリフィア大はしゃぎ、と。
間違ってはいなかった。
予想外の展開ではあったが、とりあえず成功と言えよう。
「本当!?」
アレクシオの言葉に一転して眩しい笑顔を向ける。
「ああ。どこか行きたいところはあるか?」
「う~ん…アレクのおすすめスポットとか気になるかも。王子御用達はあるのかなとか」
「御用達って程ではないが、この先のカフェテリアはお気に入りだな。味もそうだが、静かな空間が好きだ」
「じゃあそこで!」
ユリフィアは即決し、アレクシオお気に入りのお店へと歩を進めたのだった。
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