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反逆
因縁のある男達
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法王城の内部は昼も夜も騎士が反逆者カイの捜索を行っていた。
ハルトやアドルもそれに加わり、法王城内部はもちろん、敷地内のいたるところにまで鼠一匹とて潜めないほどの念入りな捜索が行われたが、カイが潜んでいるという痕跡すら見つけることは出来なかった。
「もしやカイはここには潜んでいないのでは」
決して少なくない数の人間がそう考えるようになった。
「いや、奴は必ず潜んでいるはずだ。奴はどこかに巧妙に隠れ、我々の捜索の手が緩むのを待っているのだ」
アドルはそう言って捜索を続けるべきだと主張する。
彼はサンクレア聖騎士団長ではあるが、神殿騎士は組織が違うために彼らの指揮権は持っていない。むしろ神殿騎士からすると、アドル達騎士団は見下す相手ですらある。
「しかし、実際どこをどう探しても見つかりませんぞ」
「潜んでいると考えるほうに無理があるのでは」
「そうお考えであるならば、騎士団長どのがご自分ですればよろしいのでは」
法王城に絶対魔法障壁が展開され二日が経過すると、カイの捜索隊の熱はみるみるうちに下がっていった。法王城は巨大な建築物だが、それでも城内に残った神殿騎士が総出で探せば半日ほどで捜索は完了する。
敷地内を含めたところで、それが大して変わるわけでもなかった。
二日探して何一つ手がかりがないのであれば、もはやそこには存在していないと考えるが自然と言えた。むしろ根拠もなく捜索すべしと言っているアドルやハルトこそが異端である。
「・・・くっ」
既に熱意が失せ、解散ムードになっている神殿騎士達を見据え、ハルトは悔しそうに顔を歪めた。
捜索するべきだと叫びたいが、実際のところ確かにカイがいるという確証がない。カイが法王城に潜んでいると考えているのは、あくまでハルトやアドルの勘によるものでしかないのだ。
「もうよろしいかと思われます」
神殿騎士団長であるミカエルが穏やかな声でそう言いながら、ハルト達の前に姿を見せた。
ミカエルは顔面に火傷を負い眼光の鋭い野性味を帯びたアドルとは対照的に、穏やかな笑みを浮かべ優しい眼差しを持つ美丈夫であった。
サンクレアでも有名な、因縁のある二人である。
ハルトやアドルもそれに加わり、法王城内部はもちろん、敷地内のいたるところにまで鼠一匹とて潜めないほどの念入りな捜索が行われたが、カイが潜んでいるという痕跡すら見つけることは出来なかった。
「もしやカイはここには潜んでいないのでは」
決して少なくない数の人間がそう考えるようになった。
「いや、奴は必ず潜んでいるはずだ。奴はどこかに巧妙に隠れ、我々の捜索の手が緩むのを待っているのだ」
アドルはそう言って捜索を続けるべきだと主張する。
彼はサンクレア聖騎士団長ではあるが、神殿騎士は組織が違うために彼らの指揮権は持っていない。むしろ神殿騎士からすると、アドル達騎士団は見下す相手ですらある。
「しかし、実際どこをどう探しても見つかりませんぞ」
「潜んでいると考えるほうに無理があるのでは」
「そうお考えであるならば、騎士団長どのがご自分ですればよろしいのでは」
法王城に絶対魔法障壁が展開され二日が経過すると、カイの捜索隊の熱はみるみるうちに下がっていった。法王城は巨大な建築物だが、それでも城内に残った神殿騎士が総出で探せば半日ほどで捜索は完了する。
敷地内を含めたところで、それが大して変わるわけでもなかった。
二日探して何一つ手がかりがないのであれば、もはやそこには存在していないと考えるが自然と言えた。むしろ根拠もなく捜索すべしと言っているアドルやハルトこそが異端である。
「・・・くっ」
既に熱意が失せ、解散ムードになっている神殿騎士達を見据え、ハルトは悔しそうに顔を歪めた。
捜索するべきだと叫びたいが、実際のところ確かにカイがいるという確証がない。カイが法王城に潜んでいると考えているのは、あくまでハルトやアドルの勘によるものでしかないのだ。
「もうよろしいかと思われます」
神殿騎士団長であるミカエルが穏やかな声でそう言いながら、ハルト達の前に姿を見せた。
ミカエルは顔面に火傷を負い眼光の鋭い野性味を帯びたアドルとは対照的に、穏やかな笑みを浮かべ優しい眼差しを持つ美丈夫であった。
サンクレアでも有名な、因縁のある二人である。
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