Sランクパーティを引退したおっさんは故郷でスローライフがしたい。~王都に残した仲間が事あるごとに呼び出してくる~

味のないお茶

文字の大きさ
10 / 59
第1章

第十話 ~謁見の間でリーベルト国王の前で愛妻の紹介をすることになった~

しおりを挟む
 第十話




 扉を開けて謁見の間に入ると、王座には国王のリーベルト様が鎮座していた。そして、その隣には王妃のサファイア様が寄り添っていた。

 夫婦仲は良好との話の通り。仲睦まじい距離感だと思えた。

 リーベルト国王は非常にやり手の人間で、彼がその座に着いてからの国の景気は非常に良好。
 また、関係が悪化していた隣国との関係も改善するなど、功績を数えたらキリのないレベルの人だ。

 そんな国王からの呼び出し。
 一体何を話されるんだろうな。

 まずは『世間話』から始めるとするかな。

 国王の前まで歩いて行った俺は、軽く一礼だけした。

 堅苦しい挨拶や、礼を嫌う国王。この程度の済ませて欲しいとは兼ねてより言われていたからだ。

 俺はそういった行為は全て省いた上で彼にそう話しかけた。

「リーベルト国王におかれましては、壮健そうで何よりです。夫婦仲も相も変わらずで安心しました」
「ははは。ありがとうベルフォード。それと、突然呼び出して悪かったな」
「いえ、お気になさらずに。冒険者を引退した身でございますので時間だけは持て余しております」

 俺が軽く冗談を交えてそう言うと、リーベルト国王は笑ってくれた。
 そして、俺は以前国王から頂いた緑茶のお礼をすることにした。

「以前頂いた隣国特産の緑茶は美味しく頂いておりますよ。ありがとうございます」

「そうか。それは良かったよ。ちなみに私が君に渡した緑茶を使って女性を口説いていた。という話が耳に入ってきているが、それは本当かなベルフォード?」

『今の話はどういう意味ですか?ベルフォード。詳しく話をしてください!!私は今冷静さを欠こうとしていますよ!!』
『ははは。そんな変な話じゃないから安心してくれよ、ツキ。自宅に来たミソラとリーファにお茶を出しただけだよ』

 頭の中でかなり声を荒らげているツキに、俺は少しだけ苦笑い混じりに言葉を返す。
 ただ、俺は冗談で国王がそう言ったというのがわかっていたので、こちらもその意思で言葉を返すことにした。

「そうですね。リーベルト国王から頂いた緑茶のお陰で結婚活動が上手くいったと言っても過言ではありませんね」
「ははは!!婚活のために冒険者を引退した。と聞いているが、どうやらそれは本当のようだ」

 まぁ……それだけが目的じゃないんだけどな……

 そう思っている俺に、リーベルト国王は言葉を続けた。

「それで、ベルフォード。結婚相手は決まったのかね?」
「はい。お陰様で『二人の女性』から結婚の打診を頂くことが出来ました。ガルム王国では重婚を認めていただいている。そのことを感謝したのは、三十五年の人生の中で初めての経験ですね」

 俺がそう答えると、リーベルト国王は軽く目を見開いた。
 ……国王がこうして感情を表に出すのは非常に珍しい。

「……二人の女性。一人は君のパーティメンバーで、秒読みとも言われていたリーフレット・アストレアで間違いないだろうね」
「そうですね。秒読みという話は初めて聞きましたが。昨日。彼女と結婚を決意しました」

 俺がそう答えると、リーベルト国王は少しだけ思案しながらもう一人の名前を口に出した。

「そうすると……もう一人はうちの娘のスフィアが勇気を出したのかね?」
「スフィア王女ですか?いえ、違いますよ」

 なんで彼女の名前が出るのだろうか?

 嫌われてはいないとは思っている。
 そう、兄のように慕われているという感じだろうな。
 俺にとってもスフィは『可愛い妹』のような感じだからだ。

 ……手のかかる妹の間違いかもしれないが。

「そ、そうだったのか。そうすると相手がわからないな。ベルフォードよ。差支えが無いなら教えてくれないか?堅物の君を落としたもう一人の女性を」

 なるほど。ここまで言われたのなら仕方ないな。
 リーベルト国王の人柄なら、ツキの事を言いふらすようなことも無いだろうし。

『なぁ、ツキ。人としての姿になってくれないか?お前を俺の『妻』として紹介したい』

『婚約者』では無く『妻』と表現したのは意図的だ。
 彼女はきっとそう呼ばないと拗ねてしまうと思ったからだ。
 それに、俺としてもツキと結婚することは確定事項だしな。

『はい!!私はベルフォードの妻ですからね!!夫の為なら何でもします!!』
『ははは……ありがとうツキ』

 そんなやり取りを経て、ツキは人の姿になることを了承してくれた。

「もう一人の妻ですが、もう既にここに連れて来ています」
「ど、どういう意味かね、ベルフォード?」

 俺の言葉に、リーベルト国王は驚いた表情を浮かべる。
 ははは。国王には悪いけど、もう少し驚いてもらおうかな。

「ツキ、出ておいで」
『はい!!』

 ツキはそう返事をすると、刀の姿から人の姿へと変えた。

「お初にお目にかかりますリーベルト国王。ベルフォード・ラドクリフの妻のツキと申します。以後よろしくお願いします」

 ツキはそう言うと、目を見開いているリーベルト国王に向かって恭しく礼をした。

 さぁ、どうやって説明していこうかな。

 俺は心の中でそう思いながら、この後のことを考えていった。
しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

扱いの悪い勇者パーティを啖呵切って離脱した俺、辺境で美女たちと国を作ったらいつの間にか国もハーレムも大陸最強になっていた。

みにぶた🐽
ファンタジー
いいねありがとうございます!反応あるも励みになります。 勇者パーティから“手柄横取り”でパーティ離脱した俺に残ったのは、地球の本を召喚し、読み終えた物語を魔法として再現できるチートスキル《幻想書庫》だけ。  辺境の獣人少女を助けた俺は、物語魔法で水を引き、結界を張り、知恵と技術で開拓村を発展させていく。やがてエルフや元貴族も加わり、村は多種族共和国へ――そして、旧王国と勇者が再び迫る。  だが俺には『三国志』も『孫子』も『トロイの木馬』もある。折伏し、仲間に変える――物語で世界をひっくり返す成り上がり建国譚、開幕!

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

第2の人生は、『男』が希少種の世界で

赤金武蔵
ファンタジー
 日本の高校生、久我一颯(くがいぶき)は、気が付くと見知らぬ土地で、女山賊たちから貞操を奪われる危機に直面していた。  あと一歩で襲われかけた、その時。白銀の鎧を纏った女騎士・ミューレンに救われる。  ミューレンの話から、この世界は地球ではなく、別の世界だということを知る。  しかも──『男』という存在が、超希少な世界だった。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

【鑑定不能】と捨てられた俺、実は《概念創造》スキルで万物創成!辺境で最強領主に成り上がる。

夏見ナイ
ファンタジー
伯爵家の三男リアムは【鑑定不能】スキル故に「無能」と追放され、辺境に捨てられた。だが、彼が覚醒させたのは神すら解析不能なユニークスキル《概念創造》! 認識した「概念」を現実に創造できる規格外の力で、リアムは快適な拠点、豊かな食料、忠実なゴーレムを生み出す。傷ついたエルフの少女ルナを救い、彼女と共に未開の地を開拓。やがて獣人ミリア、元貴族令嬢セレスなど訳ありの仲間が集い、小さな村は驚異的に発展していく。一方、リアムを捨てた王国や実家は衰退し、彼の力を奪おうと画策するが…? 無能と蔑まれた少年が最強スキルで理想郷を築き、自分を陥れた者たちに鉄槌を下す、爽快成り上がりファンタジー!

痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~

ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。 食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。 最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。 それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。 ※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。 カクヨムで先行投稿中!

最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)

みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。 在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。

ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜

平明神
ファンタジー
 ユーゴ・タカトー。  それは、女神の「推し」になった男。  見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。  彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。  彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。  その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!  女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!  さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?  英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───  なんでもありの異世界アベンジャーズ!  女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕! ※不定期更新。最低週1回は投稿出来るように頑張ります。 ※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。

処理中です...