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嘘窓の瞳2
しおりを挟む羊皮紙の獣臭さが窓の外へとさらわれてゆく。
代わりに入り込むのは秋深い澄んだ空気。
鼻を鳴らせば、身体のなかが清い気配で満たされた。
そんな移ろいに想いを馳せていると、隣からガタガタと物音が聞こえてきた。
目をやれば「あれ?」と首をひねりながら窓と格闘する少年の姿が。
「コリー、そっちの窓は持ち上げながら横に引くんだよ」
「ん、こうか。書庫なんてめったに来ないから、勝手がわかんねぇや」
昨日もやったはずだけど……。
喉から出かかった言葉を飲み干して、僕は椅子へと腰をおろした。
エイミーからとりあえずの回答をもらった翌日の朝。
食事を済ませた僕は畑へ行こうとする彼を捕まえて、書庫へとやってきたのだった。
「――で、どうだった?」
「あふ……え? どうって?」
席についてから数秒後。
あくびを浮かべた僕に、コリーが神妙な顔で聞いてきた。
何を聞きたいかなんてもちろんわかってる。
だからこれは、ただの悪ふざけ。
昨日、僕の心臓を酷使させた遠因である彼への意趣返しだ。
「ぐ……意地悪すんなよ。デンテルが聞いてくれるって言ったんだろ?」
うめき声を飾るは、たくさんの恥ずかしさと少しの悔しさ。
特徴的な耳をピンと立て、彼は伏し目がちに問い返す。
「ごめんごめん、冗談だよ。ちゃんと聞いてきた」
軽い調子で謝ると、小声で「あとで覚えてろ」と聞こえてきた。
だが、コリーのことだ。
話が終わるころにはすっかり忘れていることだろう。
僕は苦笑いを浮かべつつ報告を始めた。
エイミーが今現在欲しがっている“物”は無いということ。
前の世界ではペンダントを大切にしていたこと。
そのペンダントの特徴、などなど。
「うーん、ペンダントかぁ……」
話を聞いた彼は頬杖をついてうなりだした。
うーとか、あー、とか。
意味のない音を生み出しては耳をはためかせている。
だが、そのまなざしは真剣そのもの。
一途な想いがビリビリと伝わってくる。
「僕も手伝うから一緒に考えよう? エイミーに喜んでもらえる方法を」
さっきは意地悪をしてしまったから、今度は真面目に。
僕は立ち上がって、彼の想いを応援するために手を差し伸べ――
「……エイミーが、どうしたの?」
差し伸べようとした刹那。半開きになった扉から、白い頭が入りこんできた。
顔を下へ向けると、赤い瞳と視線が交錯する。
「あ……ルシル」
そこにいたのは分厚い本を手にしたルシルだった。
ちらと見えたタイトルからすると、魔術に関する発展的な内容が記されたものなのだろう。
昨晩エイミーの部屋を訪れたのも、本に関する用事だったのかもしれない。
それはいいとして、これはどうしたものか。
コリーは隠しごとができるタイプじゃない。ここはひとつ、僕が言い訳をした方がいいだろう。
「――おう。実は、エイミーに贈りものをしようと思っててな。
ペンダントがいいってことになったんだけど、そっから先をどうするかってところでさ」
「……なるほど」
そんな僕の想いは、またしても置いてけぼりにされてしまった。
コリーに、贈り物の件を隠そうとする様子は微塵もない。
つまびらかに語る彼はむしろ楽しそうで。それを聞いたルシルも、笑みこそ浮かべられないものの、声音はひとつ弾んでいた。
「コリー、秘密にしなくていいの?」
「ん? 何でだ?」
けれども僕は心配になってしまって。
楽しげな様子の彼に耳打ちするも、真っ向から返されてしまった。
「いや……その、えっと」
どうせなら自分の手柄にしたいとか、そういう想いがあったんじゃないかって。
でも、そう口にするのは憚られて。僕の言葉はさまよった。
うろたえる僕を尻目に、彼は声を張り上げて続ける。
「デンテルとルシルが手伝ってくれるなら、もっと喜んでもらえるものができると思うんだ。
……ああ、どうせならラピスとおじいちゃんにも相談してみようぜ!」
コリーは両手を頭の後ろで組んで、伸びをするように笑った。
そのまぶしい笑顔を見て、僕はようやく気づくことができた。
彼はとても純粋に、ただただエイミーの笑顔が見たかっただけだったんだ。
自分をよく見せたいとか、好いてほしいとか。そんなふうに考えるのが当たり前と思っていた僕は、なんだか自分が恥ずかしくなってしまった。
「……私も一緒で、いいの?」
恥に悶える僕の隣まで歩み出て、ルシルがコリーに問いかける。
胸元まで引き絞られ、結ばれた両のこぶしが、彼女の心情を告げていた。
……だけど、そんな遠慮は必要ないって今ならわかる。
「当たり前だろ? 一緒にエイミーを喜ばせようぜ!」
コリーの声は、不安を一片も残さず蹴散らしてくれる。
ルシルの結ばれたこぶしは開かれ、彼の手と結ばれた。
「ほら、デンテルも!」
二人のやり取りを見守っていた僕にもお呼びがかかる。
伸ばされた手は、ルシルとも繋がれた片腕だ。
「……手、重ねて?」
ふたつ分高い位置の頭を見上げながらルシルが促す。
彼女は言葉とともに小さく首をかしげ、握った手を一段高く持ち上げた。
「うん……わかったよ」
僕も歩み寄って、二人の手のうえに右手を重ねる。
三人で繋ぐ握手はとても不格好だった。
みんなの手が絡み合うかたちになってしまって……でも、とても温かかった。
腹底から全身にかけて、じんと熱いものが広がるのを感じる。
頬の裏が収縮して、唾液が口のなかを埋め尽くす。
僕は嬉しかった。
こんな自分が受け入れてもらえることが。
大切な人を、大切なみんなと一緒に祝えることが。
全身を満たす喜びを噛みしめていると、コリーが勢いよく口を開いた。
「ここに、エイミーを喜ばせ隊を結成しようぜ!」
「……その名前はちょっと、おばかっぽい」
「ぷっ、あはは! たしかに」
異を唱えたルシルに僕も同調しておく。
別に三人だけのあいだならそれでもいいけど、ラピスやおじいちゃんにも伝えるなら却下だ。
どこか釈然としない様子のコリー。
その背中を意味もなく叩いてやると、彼も同じようにやり返してきた。
そんな応酬が楽しくて。
僕もコリーも、いつのまにか大声を出して笑っていた。
「……ね、コリー」
大げさな音が響きわたる書庫内で、ルシルが思い立ったように声をあげた。
なんだろう。
僕もコリーも動きを止めて、耳を傾けてみると、
「……デンテルが昨日、エイミーのベッドで鼻息を荒くしてた」
「は?」
根も葉もない……いや、根くらいはあるけれど。
過剰装飾の葉で飾りつけたほとんど嘘を告げてきた。
真に受けたらしいコリーの首がゆるりと傾く。
そこに笑みはない。
温度を感じさせない流し目に、僕の頬はひきつった。
「え、いや、エイミーが誤解は解いてくれたんだよねっ!?」
たしかそんな話になっていたはずだ。
劣勢な空気に気圧され、しどろもどろになりながらも問いかけるが――
「……知らない」
コリーの影に隠れる少女に、すげなく返されてしまった。
ルシルの目は泳いでいる。鼻息を荒くしていたというのは、おそらく彼女なりの冗談なのだろう。
その小さな唇から冗談なんて、初めて聞いた。
これもエイミーの影響かな、なんて思考を巡らす余裕はなかった。
目を細め、獣耳の少年が苦しげに口を開く。
「デンテル……俺と一緒に謝りに行こう。な?」
「違う、誤解だって! ね、信じて。信じてよっ!!」
コリーに憐みの目線を向けられたのは、初めてのことである。
冗談を言い慣れていないルシルは適切な引き際を知らない。
やがて半刻ほどが経って、僕が書庫から引きずり出される時分まで。彼女はネタばらしをしてくれなかった。
◆
「――あれ、みんな揃ってどうしたの?」
ルシルに誤解を解いてもらったあと、僕たち三人はおじいちゃんの部屋へと足を運んだ。
理由はもちろんペンダントの件を伝えるため。
けれど、そこには先客――エイミーとラピスがいたのだった。
後ろで手を組んで首をかしげるエイミーに、何かを告げるよりも先。
ルシルに目配せをして、コリーの口をふさいでもらった。
余計なことを喋られてはたまらない。
くぐもったうめきを漏らすコリーを背に隠し、僕は適当な言葉で場をつなぐ。
「書庫の本を陰干ししてたんだけど、結わえる紐が足りなくなってね。
……そういうエイミーとラピスはどうしたの?」
「え!? えっと、私たちはその……」
わかりやすく動揺したエイミーは視線を宙に漂わせた。
天井の魔石、木机、寝具に窓まで。
あてどなくさまよっていた視線は、やがて傍らのラピスへと結ばれた。
長髪の彼女は、こほん、と品の良い咳払いをひとつ。
結えるリボンがなくなった空色の髪を、後ろへと撫でつけ、ラピスは悩ましげに唇を開いた。
「女の子には秘密があるものよ。……詮索されると、困ってしまうわ」
ラピスは人差し指を伸ばし、僕の額を奥へ押す。
僕よりは低いけど長身の彼女。
淀みなく伸ばされた指先は、僕の重心をやや後ろに傾けた。
少女らしからぬはぐらかし方である。
「さ、行きましょう。まだ特訓は途中なのだから」
「うん! おじいちゃん、本当にありがとうね。みんなもまたあとで!」
よろける僕を尻目に、二人は手を結んで歩き出す。
自由な方の手で何かを握りしめ、こちらを振り向き、ぶんぶんと振りまわして退室するエイミー。
胸元でひらひらと手首を揺らすラピス。
形は違えど挨拶をしてくれた彼女らに、僕らも「またあとで」と返事をしたのだった。
「――して、何かあったかな?」
引き出しを閉めたおじいちゃんがこちらへと向き直る。
その顔には、いつもの柔和な笑みがたたえられていた。
紐がどうの、というのが口実であることはお見透しなのだろう。
外の足音が遠ざかるのを待つため、適当な雑談をして時間をつなぐ。
念には念を入れて少し長めに。
やがて、四角い窓枠に区切られた光が足先にかかったころ、僕はようやく本題を切り出した。
「……ふむ。ペンダント、のう」
「できれば真珠色の綺麗なものがいいんだ。
ラピスには夜話を伝えるけど、まずはおじいちゃんに伝えようと思ってさ」
僕の話を継いだコリーが付け加える。
語る様子から真剣さを感じ取ったのだろう。
おじいちゃんの青い瞳は、その色をひとつ深くした。
「……私も、エイミーに喜んでもらいたい」
「僕もそう思ってる。目に見えるかたちで、何かお礼をしたかったんだ」
ルシルに便乗するかたちになってしまったけど、僕も想いを伝えておいた。
過去とは違うものに縛られる僕は別として、エイミーはみんなの心を救ってくれた。
僕はこの孤児院を家とも、みんなを家族とも呼んでいい存在じゃない。
……それでも、温かいこの場所が好きだから。ここに生きるみんなのことが大好きだから。
彼らを救ってくれた少女に、せめてもの恩返しがしたかったのだ。
――贈り物が、僕たちの想いが、やがてエイミーを苦しめることになると知りながらも
「ならば……そうじゃのう」
さっきまで手が添えられていた引き出しの、ひとつした。
一番大きな収納があるそこの鍵を開け、彼は中をまさぐった。
禍々しい気配を漂わせる魔本。
その奥へと腕は伸び、堅いものが擦れる鈍い音を生み出した。
やがて引き出された手は、小さな石を握りしめていた。
淀んだ黒を映す石。
完全な球形のそれは、秋の日差しを鈍く反射して、不安定な光をたたえていた。
「これは魔石のもと。魔術を籠める前の原石じゃ」
おじいちゃんは手のひらに乗せた小石を僕らに見せながら言う。
そしてこちらを視線で人撫でしたあと、
「魔石を嵌めこんだ魔道具。それをペンダントにするのはどうじゃろうか?」
素晴らしい提案をしてくれた。
さらに話はそこで終わらず、彼は目を細めて継げる。
「ラピスが原石に魔術を施して、コリーは首紐を紡ぐ。
ルシルは魔石を嵌める木盤を彫り出し、デンテルが設計図を作る。……それで、金具はわしが買って来よう」
いかがかな?
問いを最後に言葉を切って、おじいちゃんは僕らの反応を待った。
動いた喉に呼応して、白い口ひげがふわりと揺らぐ。
「……とても素晴らしいと思う」
「うん。それならきっと、エイミーも喜んでくれるよ」
もろ手をあげて賛成する僕とルシル。
けれどコリーは“真珠色”が気にかかっているのか、煮え切らない様子だった。
妥協したくないのだろう。
真っ直ぐな想いが、固く結ばれた口唇から伝わってくる。
「コリーや。食堂にある“火”の魔石は何色かな?」
「え? そりゃ赤だけど、何か関係あるのか?」
そんな彼に、おじいちゃんは優しく問いかけた。
短く答え、コリーは逆に問い返す。
「――魔石は、中に封じ込めた魔術によって特性を変える。色もまたしかり。
炎の魔術なら赤く、水なら青くなる。光の魔術を封じたなら、コリーが望む色に近くなるじゃろう」
おじいちゃんはゆったりと答えたあと、魔石を僕へと手渡した。
両手に、人肌に温められたそれの小さな重さがのしかかる。
隣へと首を向けると、
「…………!」
喜びと期待に顔を輝かせているコリーと目が合った。
返事を待たずに魔石を手渡した理由はこれだろう。
想いが先行して言葉が出ない様子だ。
ポン、と背中をたたいてやると、彼は少し平静を取り戻したようで。
慌て混じりの大声でおじいちゃんに礼を述べていた。
喜色満面のコリー。
気が急いて落ち着かない様子のルシル。
そんな二人にはさまれた僕もまた、来るべき日に想いを馳せて、頬をゆるめていた。
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