異世界の孤児院より~やがて少女は旅に出る~

山なき鳥

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「――――――ッアあああああ!?」

 痛い。赤い。痛い。白い。痛い、痛い痛い痛い!!!

 視界が白に、思考が赤に染め上げられる。
 喉の奥からぐちゃぐちゃにへし折られた叫びが飛び出る。
 不安が心を喰らい尽くして全身を震わせる。
 痛みから逃れようと頭蓋ずがいがあばれて土を抉る。

 明滅する視界の端。
 虹のリボンは泥に塗れ、髪が千切れるが意識が回らない。

「ァが……げぽっ、ェえぐ、あ、ああ……」

 何かを吐き出した。
 わからない。
 味も臭いも、全てが痛みに塗り潰される。

「――――イミー!!」

 誰かが何かを言っている。
 わからない。
 想いも声も、全てが痛みに塗り潰される。

 痛い。どうしようもなく痛い。
 再び目を開く。半分は泥に塗れて閉ざされる。
 暗くて痛くて、たまらなく怖かった。

 淀んだ視界に赤白が映える。
 ミサンガじゃない。
 それは、
 それは、

 それは……折れて、骨が剥きだしている私の腕だった。


「ひ……ぎぃっ……!!」

 後ずさろうとして、腕の付け根から新鮮な痛みが上塗りされた。
 肉と骨をぞりぞりと削り落すような激痛が、悲鳴さえ食い殺す。
 身をよじることすら許さないほどの痛みが逆に、少しの冷静をもたらした。

 胃液の酸味が泥と、血の臭気と溶け合って肺を刺す。
 むせ返りそうになるけれど歯を食いしばってこらえた。
 咳き込んだりしたら、またあの痛みを味わうことになるのだから。

 体を揺らさないよう浅い呼吸を繰り返していると、おじいちゃんに助けられる前のことが思い起こされた。
 それは血と命が失われてゆく、死のまどろみの記憶。
 でも、あの時はこんなに痛くなかった。
 ゆっくりと意識が手元を離れてゆくのは怖かったけど、違う。何かが違う。

 今よりも酷い傷だったから?
 意識が薄れかけていたから?
 頭が混乱しきっていたから?

 たぶん、どれも違う。
 これは……そう、おじいちゃんの本を持ったときと同じなんだ。
 
 生きたまま全身の骨を粉々に砕いて、潰して、私だったものをぐにぐにと捏ね回されるような。
 あんなおぞましい体験を、どうして忘れていたのだろう。
 どうして、あんな異常を気にしなかったのだろう。

 この世の絶望を煮詰めたような“本”。
 あの本を持っていたおじいちゃんは、外に出ることを頑なに拒んでいたラピスは、きっと何かを知っている。
 敷地の外……塀を越えたそこに、何があるのかを。

 ――外?

「ぃ、……コリー……は?」

 痛みにうめく口端から、砕き折れた問いを吐く。

 外へ出てしまったコリーはどうなったの?
 縋って伸ばした手は届かなかった。
 体が外へ飛び出す前に、誰かに引き倒されて、それで、それで――

 あ、ああ、ああああああああああああ!!
 何で!? どうして忘れていたの!?

 伸ばした腕の先、コリーの姿は消えていた。
 わからない。理由なんてわからない。
 でも、コリーはとても哀しそうな顔をしていた。
 私から出立の荷物を奪ったとき。
 足をかけて転ばせたとき。
 ありがとう……門を背にしてお礼を言ったとき。
 絶えず流れていた涙が、忘れられない。

「助けなきゃ……助けな、きゃ……」

 口を伝うのは、呪いに似た執念。
 泥の中を這いずって、門の外へと体を導く。
 おぞましい痛みを殺して。
 心が凍える恐怖を殺して。
 ……たぶん、この想いは、私をも殺してしまうのだろう。

 それでも助けなきゃ。
 コリーは痛い思いをしているから。
 体だけじゃない、心だって、そうだから。

 加護をかけて一緒に帰って、お互い泥だらけだねって笑いあって。
 残したコロッケを食べて、家の片づけをして。
 そしたら、そしたらね。
 ……そしたら、みんなが帰ってきてくれて。

 何を隠されていてもいいから。
 ここを出たら死んでしまうのなら、それでもいいから。
 あたたかい家のなかで、もう一度笑い合いたい。

「やだ……やだよぉ……」

 私ね、他に、なんにもいらないよ?
 おいしいごはんも、やわらかいお布団も、きれいなお洋服だってなくていい。
 みんながいてくれれば……笑顔でいてくれるなら、それでいいから。
 返して、返してよ……!!

 あふれる想いを力に換えて、無傷の腕で泥を抉る。
 どこかの爪が剥げ落ちたけど関係ない。震える膝であとを追って、身体を前へと送り出す。

 前へ、前へ、前へ!!!

 なのに。
 なのに……どうして?

「……エイミーだめ! だめだよ!!」

 ルシルはどうして意地悪するの……?

 響く声とともに、私の体が引きずられてゆく。
 縋る手先は何も掴まない。
 雨に濡れた泥のなか。
 そこに、爪と、血と、消えていったコリーを置き去りにして。

 ――私は、孤児院のなかに吸い込まれた



 ◆



 痛みは、いつの間にか薄れていた。
 全身を包む清い空気、遠ざかった雨音、聞こえない私の鼓動……ああ、食堂で《水の加護》をかけたんだっけ。

 ぐちゃぐちゃに乱れた意識のなか。
 それでも魔術が使えたのは、ルシルが怪我をしていたから。
 どんな意図で、彼女がそうしたのかはわからない。
 わからないけれど、自分のほっぺたを噛み抉ってしまうなんて、とても痛かったことだろう。

 救えた彼女と違って、コリーは今もまだ苦しんでいると思う。
 痛くて、寂しくて切なくて、辛い思いをしているに違いない。
 彼は優しいから。辛くても、心配かけさせまいと我慢して、笑ってしまうかもしれない。
 
「ねぇ、ルシル――」

「……だめ」

 彼女は、私の腕に包帯を巻きながら、弱ぼらしい言葉を斬り捨てた。
 水の加護に、即座に大怪我を治すような力はない。
 ルシルは添木を用いたうえで、骨の位置も直してくれたのだった。

「まだ、何も言ってないよ」

 優しい少女に笑みを交えて返す。
 痛みに泣き叫ぶ私を押さえつけて、骨をズラしてくれた、優しい少女に。
 あの夜。私を傷つけないように、あんなに遠慮していた彼女のことだ。
 苦しみを与える治療なんてしたくなかっただろう。
 それを押しのけて、我慢してくれたお礼を籠めて言ったのだけど、

「…………」

 小さな唇は言葉を紡がなかった。
 ただ、息を呑んだ音が漏れただけ。
 瞳の奥。揺らぐ光が、不安と恐怖を語るだけ。

「大丈夫だよ……私が、みんなを守るから」

 だから、安心させてあげようと思って。
 掠れた声で告げて。涙を無視して、頬を吊り上げて笑っているのに。

「……死のうとしないで、エイミー」

 ルシルは瞳の哀色あいいろを深くするばかりだった。
 震える肩に伸ばす手は、まだ片方あるけれど。
 爪がまだらに剥げたそれを伸ばすことはなかった。

 視線は逸れる。
 窓の外。死が満ちる、雨に煙る塀の向こうへと。

 あの先には何があるんだろう。
 おじいちゃんはどうして帰って来ないんだろう。
 ラピスとデンテルを、連れ去ったのは誰なんだろう。

 延々と同じ思考が埋め尽くして、身体を満たしてゆく。
 考えても答えなんか出ないのに。

 ――馬鹿だなぁ

 自分を蔑むのは、案外たのしかった。
 乾いた笑いが漏れ出て、暗色くらいろの床へと流れ出す。
 その先を目で追ってゆくと、割れたお皿が目に留まった。

 一部を赤が彩る、白いお皿。
 普段使っている物と違うそれは、おじいちゃんの取って置きだったのかもしれない。
 壊してしまったから、帰ってきたら怒られちゃうかもなぁ。

 割れたお皿のなかから、二人を探し出そうとしていたコリー。
 彼は優しかったんだって、今は、心から思う。
 ルシルに言われたとおりだったから。
 コリーと違って、私はただ、死んでしまいたかったんだ。

 コリーが消えてしまった哀しみに。
 ラピスとデンテルが消えてしまった孤独に。
 おじいちゃんが帰って来ない恐怖に。
 ……隠し続けられていた、裏切りに。

 絶望に蝕まれた心は、逃げることを求めていたのだろう。
 だから、最後に残った家族さえ捨ててしまおうとした。 

「……エイミー」

 声に振り向くと、そこにいたのは哀しい眼をした女の子だった。
 雨に濡れた白い髪。
 そこから見え隠れする赤い瞳が印象的な、私の、家族。

 ――たった一人になってしまった、私の家族

 彼女は震える手を差し出した。
 握られていたのは、虹色のリボン。
 私の大好きな、とっても上品ですてきな家族……ラピスがくれた、宝物。

 手を伸ばさないで瞳を閉ざす。
 加護で雑音が消えた耳に、約束の言葉が蘇る。

 “何があっても、私はそばにいるよ”

 あはは。とんだ嘘つきだよね。
 私は間違ったのかな?
 昨日の夜。怯えるルシルを放って、ラピスの元へ行けばよかったのかな?
 私の間違いが、ラピスを消しちゃったのかな。

 ねぇ……こんなの辛すぎるよ。
 せめて、誰かを恨ませてよ。
 私たちの幸せを奪った人がいるなら、姿を見せてよ。

 ずるいよ。
 ずるい、ずるい、ずるいずるいずるい!!!

 どうして私に殺させてくれないの?
 現れてくれたなら、絶対に殺してあげるのに。

 裂かせてよ。風の魔術で全身を細切れにしてあげる。
 潰させてよ。土の魔術でぺっしゃんこにしてあげる。
 燃させてよ。火の魔術で消しズミにしてしてあげる。
 涸らせてよ。水の魔術で血液を奪いつくしてあげる。
 消させてよ。光の魔術で欠片も残さず消してあげる。
 させてよ。闇の魔術で体中をれ尽かしてあげる。

 私が弱くても、どんなに落ちこぼれでも。
 あんなに痛い思いを家族に味あわせたヤツを。
 私は絶対……絶対、許さないから。

 怨みに呼応してあふれたのは、歯ぎしりと涙だった。
 喉の奥から吐かれるうめき声もあるけれど。
 染み出る雫が、閉ざしたまぶたをこじ開ける――

「え?」

 視界の端に、見慣れた虹が揺らめいていた。
 指先で触れる……そこに水気はない。

「……ごめんね」

 感触を確かめていた私に、うずめくような声がかけられた。
 音を辿ろうとするも、結わえてくれた少女の姿は見当たらない。

 ――それでも、言葉は紡がれる

「……こんなことしかできなくて、ごめんなさい」

 涙の代わりに、髪先から雫をこぼして。
 震える声で謝りながら。
 ルシルは後ろから、私の体を抱きしめてくれた。

 背もたれのない椅子は、彼女の温度を妨げない。
 冷たかった。
 いつものように温もりはなくて。濡れて、震えていた。

 自分の体を見る。
 水なんか、涙の数滴しか残ってない。
 身を包む毛布は、ルシルが部屋から持ち出したもの。
 乾いた髪とリボンは、ルシルが拭ってくれたから。
 落ち着いた呼吸は、ルシルが必死になだめてくれたから。
 ルシルが、ルシルが……ルシルが。

「ルシル……」

 こぼれる雫の先、そこは彼女の腕だった。
 まっ白になってしまった腕は、血潮すらも弱まっていて。
 触れ合った鼓動の音すらも、消え入りそうなほどに小さくて。

「……ごめんね。エイミー」

 それでも、言葉は心の奥まで染み入って。
 傷だらけの手のひらに残った、大切なものに気付かせてくれた。

「――――っ!!」

 私が守るものは残っていたんだ。
 あいに曇った瞳が、それを見つめようとしなかっただけ。
 一人だけ残ってくれた私の家族。
 優しい少女……ルシルが、いた。

 彼女の冷たい手に、私の手が重なる。
 いつかコリーとそうしたように。
 手と手がからみ合う、不格好な握手をした。

「ごめんね、ルシル……ごめんね……」

 歯ぎしりの代わりにこぼれたのは、謝罪。
 うめきの代わりに吐いたのは、握りしめた手を温めるための吐息。
 涙は変わらず流れていたけれど、胸を焦がした怨みの炎は、もう、姿を奥へと隠していた。

 やがて、私たちは見つめ合う。
 決して逸らさず、まばたきすらしなかった。
 その一瞬に消えてしまうのが怖かったから。

 互いの吐息を噛み合って。
 音を、真実を、過去を、未来を遠ざけて。

「……エイミー、いなくならないで」
「ルシル……ずっと、一緒にいてね」


 ――全ての命が消えた世界で
 ――最後の家族と、抱き合った



 ◆



「……それが鍵孔を塞ぐ、最後のくさびなんだね」

 降りしきる雨のなか。
 傘も差さず、屋根上で佇む少年が一人いた。
 細いまぶたの切れ間から、止め処ない涙を流しながら。
 彼は、れ果てた吐息を送り出した。

「大丈夫。壊すよ……全部、全部」

 少年は語る。
 誰にも届かない声で。
 誰にも解らぬ言葉で。

「僕がやらなくても誰かがやる。なら、せめてこの手で突き崩そう」

 誰にも届かなくていい。
 誰にも解らなくていい。

「【 怠惰 】なんかじゃない。僕はデンテル。ただの、デンテル」

 それは自らを刺す言葉。
 自身を傷つけるための言葉なのだから。

「この罪だけは……僕のものだ」

 消えた幸せを嘆いて、消えない罪を噛みしめて。
 少年は頬を吊り上げて笑った。
 見るものを凍り付かせる、絶望に満ちた笑み。
 それは黒髪の少女と同じ、悲哀に染め抜かれた笑みだった。


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