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(ローラン視点)
波は、思っていたより静かだった。
大声や劇的な泣き笑いではなく、日向の温度で起きて、日向の温度で終わった。
「イリス、君の“近似値”って、僕には約束に聞こえる」
「約束?」
「うん。完全じゃないことを、二人で引き受けるっていう」
君が少しだけ目を丸くして、それから、うなずいた。
「……そう、かもしれない。わたし、完璧じゃない。でも、隣を続けることはできる」
「続けよう。日常三式、やっていこう」
「はい」
僕はブランケットの上で、君の小さなハンドミラーを指差した。
縁の星の一つに、糸がほどけかけている。
「ここ、直してもいい?」
「お願い、します」
針と糸を取り出し、息を整える。
可愛いの原点に戻る。
指の腹に糸が乗り、星が元の形に戻っていく。
この細い作業の最中だけ、世界の中心に“君の持ち物”が来るのが好きだ。
(※自己観測:C=“役に立てている可愛い”)
「できた」
「可愛いですね。直し方が」
「事実だから」
二人で笑い、のこりの五分を、静かに座って過ごした。
砂時計の砂が落ち切る音は聞こえない。けれど、落ち切った感情だけが、ひだまりの上に残った。
波は、思っていたより静かだった。
大声や劇的な泣き笑いではなく、日向の温度で起きて、日向の温度で終わった。
「イリス、君の“近似値”って、僕には約束に聞こえる」
「約束?」
「うん。完全じゃないことを、二人で引き受けるっていう」
君が少しだけ目を丸くして、それから、うなずいた。
「……そう、かもしれない。わたし、完璧じゃない。でも、隣を続けることはできる」
「続けよう。日常三式、やっていこう」
「はい」
僕はブランケットの上で、君の小さなハンドミラーを指差した。
縁の星の一つに、糸がほどけかけている。
「ここ、直してもいい?」
「お願い、します」
針と糸を取り出し、息を整える。
可愛いの原点に戻る。
指の腹に糸が乗り、星が元の形に戻っていく。
この細い作業の最中だけ、世界の中心に“君の持ち物”が来るのが好きだ。
(※自己観測:C=“役に立てている可愛い”)
「できた」
「可愛いですね。直し方が」
「事実だから」
二人で笑い、のこりの五分を、静かに座って過ごした。
砂時計の砂が落ち切る音は聞こえない。けれど、落ち切った感情だけが、ひだまりの上に残った。
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