『星飴測候庁 — ときめき渋滞、ただいま観測中。—』

星乃和花

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第3話 暴風注意報、ときめき渋滞の予感

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「“恋が加速する飴”を、配っている……」

 自分で口にした言葉が、耳の奥でぐるぐる回っている気がした。
 ミレイユは、星飴の箱の前で、ぴたりと固まってしまう。

「ど、どうしましょう……! すぐに配布をやめた方が……」

「落ち着いてください、シュガールさん」

 ユリウスは、暴風の前ぶれの風にも揺れない声で言った。
 その横顔は真剣だけれど、どこか「予想の範囲内です」とでも言いたげな冷静さがある。

「まずは状況の把握です。
 “恋加速”が混ざっているのか、箱ごと入れ替わっているのか」

「混ざってるのと、全部なのとで、そんなに違いが……?」

「混ざっているなら、“当たった人だけ”が暴走気味になります。
 箱ごとなら――」

 ユリウスは、広場の様子をぐるりと見渡した。

「――街ごと、少しばかり加速します」

 その言い方が妙にさらっとしていて、ミレイユは逆にぞわっとした。

(街ごと……って、そんな、さらっと……)

 ちょうどその時だった。
 少し離れた場所で、さっきの花屋のロアンが、騎士団の隊長に向かって声を張り上げている。

「たいちょーさーん!!」

「どうした、そんなに大声を出して。風に負けまいとしているのか?」

「ちがいます! あのですね、ぼく――」

 ロアンは、星飴の包み紙をぐしゃぐしゃに握りしめながら、顔を真っ赤にして叫んだ。

「本当は、隊長さんを花で包みたいんです!!
 だから今日は、とりあえず、こっちの花束……受け取ってください!!」

 隊長はぽかんと目を見開いたあと、ゆっくりと笑った。

「……そうか。
 では、お言葉に甘えて、包まれておくとしよう」

 そう言って、花束を大事そうに抱える。
 周囲から、暖かい笑い声と、ひゅうひゅうという冷やかしの口笛が上がった。

「ほら見なさい」

 ユリウスが、ほんの少しだけ肩をすくめた。

「どうやら、混ざっているのではなく、“箱ごと”ですね」

「確認の仕方が乱暴すぎませんか!?」

「観測事例は多いほど正確になります。……もちろん、危険がある場合は止めますが」

 そう言いながらも、彼の視線は真剣だ。
 別の場所では、パン屋の若主人が、隣のスープ屋の娘に向かってしどろもどろに告白している。

「本当は、毎朝あなたのスープがないと仕事にならないんです!」
「……それは、“好き”とは違わないかい?」

「そ、そうかもしれないけど! そうかもしれないけど!!」

 星飴の包み紙が、そのあたりの石畳に何枚も落ちている。
 どれも、恋にまつわる一行ばかりだ。

「これは……大変なことを……」

 ミレイユの頬から、さぁっと血の気が引いていく。

(わたしの飴のせいで、街じゅうがこんな……!)

 もちろん、配合メモどおりに作った“試作三号”を、そのまま倉庫にしまったのはポルカ課長だし、
 箱を運んだのは庁の事務員たちだ。

 けれど、鍋を混ぜたのは、確かに自分の手だ。

「……ごめんなさい」

 気づけば、ミレイユの口から謝罪の言葉がこぼれていた。

「ユリウスさん、わたし――」

「謝るのは、全部が終わって、原因をきちんと整理してからです」

 ユリウスの声が、ぽん、と肩に手を置くようにかぶさる。

「今、あなたにしてもらいたいのは、
 “どうしたら少しでも優しい騒ぎで済むか”を、一緒に考えることですよ」

「……優しい、騒ぎ」

 その言葉に、ミレイユは顔を上げた。

 広場のあちこちで、笑い声と悲鳴と、ときどき涙ぐんだ声が入り混じっている。
 でも、不思議なことに、誰も怒鳴ってはいなかった。

「なんてこと言わせるんだよ、この包み紙……」
「でも、言ってくれて、うれしかったわよ」
「や、やめてくれ……風より恥ずかしい……!」

 耳に入ってくるのは、どれも、少し不器用で、でも温かい本音ばかりだ。

(たしかに……“嫌いだ”とか“いなくなってほしい”とかじゃない……)

 恋が加速する飴は、“恋にまつわる今日いちばんの望み”だけを引き出すように調整してある。
 そこには、たぶん、誰かを傷つける種類の本音は、あまり混ざっていない……はず。

 ユリウスは、屋台の端から広場中央に一歩踏み出した。
 風にネクタイを揺らしながら、胸元の徽章を指で押さえる。

「シュガールさん、少しの間、配布を止めてもらえますか」

「は、はい!」

 ミレイユが箱のふたにそっと手をかけたのと同時に、
 ユリウスは、広場全体に届くように、少しだけ声のトーンを上げた。

「――星飴測候庁より、みなさまへお知らせです!」

 その声は、風に乗って、広場の隅々まで届いた。
 人々のざわめきが、少しずつ静まっていく。

「本日は、暴風注意報に伴う“やわらか勇気星飴”配布とお伝えしておりましたが――
 誠に申し訳ありません。倉庫内の取り違えにより、“恋が加速する飴”が混ざっていたことが判明しました」

 ざわっ、と、空気が揺れる。

「な、なんだって?」
「やっぱり、今日の本音、やたら恋バナ寄りだと思った……!」
「星飴さん、やっちゃったわねぇ」

 しかし、誰かが怒鳴る前に、ユリウスは続けた。

「ただし――」

 彼は、ほんの少しだけ、声を柔らかくした。

「本日、恋が加速してしまった皆様の本音は、
 “きょう、勇気を出したい気持ち”として、星飴測候庁が責任を持って観測させていただきます」

「観測……?」

 あちこちで、小さな囁きが生まれる。

「暴風の日は、心も揺れやすいと言われています。
 『風のせいで、つい本音が口から出てしまった』と、あとから笑えるよう、
 星飴測候庁が“言い訳用の暴風証明書”をご用意いたします」

 思いがけない単語に、広場の空気がふっと緩んだ。

「ぼ、暴風証明書?」
「そんなのあるの?」
「さすが星飴測候庁……言い訳まで甘い……」

 ユリウスは、ほんのりと口角を上げた。

「いまの本音を、後悔してほしくはありません。
 恥ずかしかった方も、少しだけ嬉しかった方も、
 “暴風の日の星飴のせい”ということにしていただいて構いません」

 そう言って、頭を下げる。

「配布ミスについては、庁側の責任です。
 本当に申し訳ありませんでした」

 深く、丁寧に。
 けれど、どこかユーモアを含んだ謝罪に、
 屋台の周りで「はぁ……」というため息まじりの笑いが起きた。

「ずるいわねぇ、あの広報官さん」
「怒ろうと思ってたのに、『言い訳にしていい』なんて言われたら……」
「……まあ、助かるけどさ」

 ミレイユは、その背中を見つめながら、胸の奥がじんわり熱くなった。

(怒られるのも、クレームも、ぜんぶ覚悟してるのに……
 それでも、配られた人たちの気持ちを、一番に守ろうとしてる)

 ユリウスは、顔を上げてミレイユの方を振り返った。

「――というわけで、シュガールさん」

「は、はい!」

「急きょ、“広報付き飴職人”に任命します」

「……えっ?」

「配布を続けます。ただし、条件付きです」

 ユリウスは、指を一本立てた。

「この屋台から出す星飴は、“恋が加速する飴”であることを、最初にきちんと説明してください。
 そして、“本音が強めに出る可能性があること”も」

「きちんと……説明……」

「選んでほしいんです。
 “きょう、自分の本音に少しだけ賭けてみるかどうか”を」

 ミレイユは、思わず息を呑んだ。

 たしかに、知らないまま舐めてしまうのと、
 知ったうえで「それでも舐めてみようかな」と手を伸ばすのとでは、意味が全然違う。

「……わかりました」

 胸の中の不安は、まだぜんぶ消えたわけじゃない。
 でも、それ以上に、“飴職人としてやれることがある”と思えた。

「じゃあ、わたし、ちゃんと説明して渡します。
 “きょうの本音、ちょっとだけ強気でも大丈夫な人だけ、どうぞ”って」

「ええ。それでいきましょう」

 ユリウスは満足そうに頷いた。

「その代わり、私の方でも、庁舎側に連絡を。
 残っている箱をすべて回収し、これ以上、別の場所で配られないように手を打ちます」

「はい!」

 ミレイユがうなずいたちょうどそのとき。
 遠くで、庁舎側から走ってくる事務官の姿が見えた。

「広報官どのーっ!!」

 息を切らしながら駆け寄ってくる。

「倉庫の箱、中身を確認しました! 
 北側二段目の“やわらか勇気”と、暴風予備倉庫の“恋加速”が、そっくりそのまま……」

「入れ替わっていた、と」

「はい……っ。箱のサイズも重さも同じで、
 どうやら昨夜のうちに運び込んだ際に、逆に重ねてしまったようで……」

「そうですか。ありがとうございます」

 ユリウスは冷静に礼を言うと、
 小声で「帰ったら倉庫担当と“箱ラベルの見直し会議”ですね」と付け加えた。

(“おしおき会議”じゃなくて、“見直し会議”なの、優しい……)

 ミレイユは、その言い方に、ひそかにほっとする。

「庁舎側の配布は止められましたか?」

「はい。庁内用の一箱だけ、すでに半分ほど減っていましたが……」

「庁内恋愛事情は、あとで静かにフォローしましょう」

「ひっそり観測されるんですね……」

 事務官が頭を抱えるのを横目に、ユリウスは再びミレイユに向き直った。

「さあ、星飴測候庁・臨時ときめき対応窓口、開設です」

「な、なんだかすごい名前が……!」

「どうせなら、楽しく名乗った方が、みなさんも構えずに済みますから」

 そう言って、彼は屋台の脇に立つ黒板に、さらさらとチョークで書き込んだ。

『本日の星飴:恋がちょっとだけ加速します
 本音一行、暴風証明つき』

 くるんと可愛らしい星マークを添えて、黒板を立てかける。

「これでよし。では、改めて、いきましょうか」

「……はい!」

 ミレイユは、大きく息を吸い込んだ。
 胸の中の“だいじょうぶ”の火が、少しだけ大きくなる。

 *

「本日の星飴は、“恋が少しだけ加速する飴”です」

 列の先頭に立つ若い女性に、ミレイユは丁寧に説明した。

「舐めると、今日いちばんの“恋の本音”が、包み紙に一行だけ現れます。
 それを、どうするかは……舐めた方の自由です。
 ――本音が強めに出ちゃっても、大丈夫そうな方だけ、お受け取りください」

 女性は、しばし黙って考えたあと、ふっと笑った。

「なるほどね。“やわらか勇気”じゃなくて、“ときめき暴風”ってわけだ」

「と、ときめき暴風……」

「面白そうだから、もらうわ」

 女性は、星飴をひとつ指先でつまみ、くるりと振って見せた。

「どうせ、心の中でぐるぐるしてるぐらいなら、一回暴風にさらされた方が楽かもね」

 そう言って、ぱくりと口に含む。

 しばらくして、包み紙に文字が浮かびあがった。

「『本当は、あのひとを思い出して泣くより、今日のわたしを大事にしたい』……か」

 女性は、その一行を見て、少しだけ目を潤ませて笑った。

「……悪くないわね、この暴風」

 そうつぶやき、包み紙を胸ポケットにしまって去っていく。
 その背中を見送りながら、ミレイユの胸がきゅっとなる。

(恋が加速するって、
 必ずしも“誰かに向かって突っ走る”だけじゃないんだ……)

 次に並んでいたのは、照れくさそうな青年ふたり組。
 そのあとには、おばあさんとお孫さん。
 それぞれが、「知ったうえで」星飴に手を伸ばし、
 包み紙に浮かんだ本音に、笑ったり、驚いたり、少し黙り込んだりしていた。

 ユリウスは、その様子を横で見守りながら、
 時おり様子をメモに取り、時おり「暴風証明書」の申請方法を説明している。

「なんだか、ほんとに“観測”してるみたいですね」

「ええ。天気図と同じです。
 ただ、今日は“恋の等圧線”が、いつもより密ですけれど」

「等圧線……」

「ほら、ご覧なさい。
 あそこも、こちらも、あちらも――“本当は言いたかった一行”が、風に乗って動いています」

 ユリウスが視線をやる先々で、
 誰かの恋が、少しだけ、でも確かに前に進んでいる。

 パン屋の若主人は、スープ屋の娘に「今度、一緒に休みを合わせないか」とぎこちなく誘い、
 年配の夫婦は互いの包み紙を交換して、「まだよろしくね」と笑い合っていた。

 ミレイユは、その光景に、胸の奥がじんわりと温かくなる。

(たしかに、これは騒ぎだけど――
 “いやな騒ぎ”じゃないのかもしれない)

 暴風の日らしく、風は強く、天幕はばたばたと鳴り続けている。
 それでも、広場の空気は、どこか甘くて、優しい。

 ミレイユは、ふと、自分のエプロンのポケットに手を当てた。
 そこには――朝、庁舎でもらった「新人用星飴」の包み紙が入っている。

 半日を過ぎたから、もう文字は消えているはずだ。
 けれど、そこに浮かんだ一行だけは、ちゃんと覚えている。

(“本当は、ひとりで頑張るのがこわい”)

 あれを読んだときの恥ずかしさと、
 でも、どこかほっとした感覚。

(たぶん、今日、ここにいる人たちも――
 似たような気持ちになってるのかな)

 そう思うと、少しだけ、この騒ぎを好きになれそうな気がした。

 そのとき、不意に、ユリウスがぽつりとつぶやいた。

「……さて。あとは、私たち自身の分を、どうするかですね」

「え?」

「“恋が加速する飴”ですから。
 観測する側だけ、まったく舐めないというのも、フェアではない気がしませんか?」

「ふぇあ……」

 ミレイユは、思わず変な声が出た。

(フェアって、そんな……!
 わたしたちまで加速したら、収拾がつかないのでは……?)

 しかしユリウスは、すぐに冗談めかした笑みを浮かべる。

「――とはいえ、今舐めると、業務に支障をきたしそうですね。
 広報官と飴職人が、突然屋台で告白し始めたら、さすがに混乱が過ぎます」

「そ、それは……!!」

「ですから、私たちの分は、きょうの最後まで預けておきましょう」

 ユリウスは、箱の隅から星飴を二粒、そっと指先でつまんだ。
 包み紙にくるまれた、ほんの少しだけピンクがかった星型の飴。

「一粒は私の分。もう一粒は、シュガールさんの分。
 ――暴風が過ぎて、配布が終わったあと」

「……あと?」

「それでも、まだ“自分の本音”を知る勇気があったら、舐めてみてください」

 そう言って、彼は自分の懐と、ミレイユのエプロンのポケットに、そっと飴を一粒ずつ滑り込ませた。

 ミレイユの心臓が、どくん、と大きく鳴る。

「ちょ、ちょっと待ってください……! そんな大事なもの、勝手に……!」

「大事かどうかは、舐めてみないとわからないですよ」

 ユリウスは、悪戯っぽく片目を閉じてみせた。

「さあ、暴風はまだこれからです。
 ときめき渋滞が“やさしい事故”で済むように、もうひと頑張りしましょう」

 ミレイユは、ポケットの中の小さな星を意識しないようにしながら、
 もう一度、箱のふたを開けた。

「――本日の星飴は、“恋が少しだけ加速する飴”です」

 声に、さっきより少しだけ力を込める。

「本音が一行、包み紙にて失礼します。
 暴風証明つきで、よろしければ、おひとつどうぞ」

 風は強く、空はまだ低い。
 けれど、星飴と本音の一行たちが、ゆっくりと街じゅうを巡りはじめていた。

 この日の終わりに、自分とユリウスの包み紙にどんな文字が浮かぶのか。
 その答えは、まだ、誰にもわからない。
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