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第9話 星飴シャワーと、広報官の過去予報
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その予報が出たのは、
星飴おしゃべり席がすっかり庁舎の“新名所”になった、ある朝のことだった。
「本日の特記事項。
三日後の夜、王都上空に“星飴シャワー”の兆候あり」
予報課の掲示板に、その一行が貼り出される。
瞬く間に、庁内がざわついた。
「星飴シャワーって、あの……?」
「数年に一度の、大量降星現象……!」
「星飴が空からわーって降るやつでしょ?」
廊下を通りかかったミレイユも、
貼り紙を見た瞬間、胸がふわっと高鳴った。
(きれいなんだろうなぁ……)
星飴測候庁の工房で働き始めてから、
ミレイユは何度も、古い記録写真を見てきた。
夜空いっぱいに広がる、砂糖菓子みたいな光の雨。
石畳に、屋根に、街路樹の葉に、
星型の雫がぱらぱらと落ちていく。
街中に、甘い匂いと、
“本音一行”の紙吹雪が舞い上がる――。
(いつか、直接見てみたいなって思ってたけど……
まさか、こんなに早く、そのチャンスが来るなんて)
胸の中で、
小さな歓声が上がる。
それと同時に――
ちくり、と別の感覚も顔を出した。
「星飴シャワー、ですか」
背後から聞こえた声に振り向くと、
予報掲示をじっと見つめるユリウスが立っていた。
飾り眼鏡の奥の瞳は、
いつものように冷静で……
けれど、その底に、微かに緊張の色が見える。
「予報の確度は?」
「予報課によれば、九十パーセント以上。
観測史上、かなり“濃い”シャワーになる可能性が高いそうです」
「“濃い”……」
「星飴の落下量が多くなると、
当然、“本日の一番の望み”も、街中で一気に動きます」
ユリウスは、掲示を見たまま言った。
「星飴測候庁にとっては、最も華やかで、
同時に……最も神経を使う日です」
その声音に、
いつもより少し硬いものが混じっているのを、
ミレイユは敏感に感じ取った。
(ユリウスさん……ちょっと、こわい顔してる)
*
午前中のうちに、緊急の打ち合わせが開かれた。
会議室の壁には、過去の星飴シャワーの写真が貼られている。
夜空から降る光の線、
星飴をすくいあげる子どもたち、
路地で肩を寄せ合う恋人たち――。
「わぁ……」
ミレイユは、思わず息を呑んだ。
庁長が、前に立って手を叩く。
「今日は、“三日後の星飴シャワーに備えるための初回ミーティング”よ。
予報課、調整課、広報、警備、全員、耳も口もフル稼働でお願いね」
「了解です」
ユリウスが、即座に答える。
机の上には、すでに何枚ものメモが並べられていた。
「まずは、予報課から概況を」
若い予報士が前に出て、
魔法図をくるりと広げた。
「三日後の夜、二十一時から二十三時にかけて、
王都上空に“中~強度”の星層が接近する予報です。
降下範囲は、王都中心部を含む半径三キロ。
星飴の粒子は、通常の約三倍濃度になる見込みです」
「三倍……」
ざわつきが広がる。
「簡単に言えば、“街の今日いちばんの望み”が、
いつもよりずっと“叶いやすくなる夜”ですね」
予報士が補足すると、
庁長は顎に手を当てた。
「ということは、“本音一行”の量も、いつもの三倍?」
「ええ。
包み紙に出る本音も増えますし、
飴なしでも“本音がこぼれやすくなる”可能性があります」
「……なるほど」
庁長の視線が、自然とユリウスへ向かう。
「広報官さん、“三倍本音デー”への対応案は?」
「すでにひとつ、骨組みは考えています」
ユリウスは、すっと立ち上がった。
「星飴シャワー当日は、
“星飴おしゃべり席”の夜間特別運用を行います。
庁舎一階ロビーを開放し、
“本音一行が出すぎてしまった方”への避難場所として周知する。
同時に、“星飴の安全な拾い方・舐め方”の簡易パンフレットを作成し、
当日朝から街中に配布します」
「さすが広報官どの、仕事が早いね」
ポルカ課長が感心したように言う。
「それから、“恋が加速する飴”についてですが――」
そこで、ユリウスの声が、
ほんのわずかに低くなった。
「当日は、“庁主催での配布を行わない”方針を提案します」
会議室の空気が、ぴんと張る。
「……配布しない?」
庁長が、慎重に言葉を繰り返す。
「前回の暴風日での反省を踏まえ、
星飴シャワー当日に、さらに“恋加速”の要素を重ねるのは、
リスクが高すぎると判断します」
「でも、星飴シャワーって、
街の人にとっては特別な日よ?
“恋が加速する飴”を楽しみにしてる人も、きっといるんじゃないかしら」
庁長が、静かに彼を見つめる。
その横で、
ミレイユの胸の中には、ふたつの感情が綱引きをしていた。
(たしかに、こわいかもしれない。
暴風の日だけでも、あんなに大変だったし……)
でも――。
(星飴シャワーって、“本当の望みが叶いやすい素敵な夜”なんだよね)
写真の中の、
星飴シャワーの夜の笑顔たちが、脳裏をよぎる。
そっと手を上げようとしたとき――
庁長の声が、ふたりの間に滑り込んだ。
「――ユリウス。
あなたが、そこまで慎重になる理由を、
みんなにも共有しておくべきかもしれないわね」
会議室の空気が、少しだけ変わる。
「“あの時”の話を、してもらえる?」
“あの時”。
その言葉に、
何人かの古参職員が、わずかに表情を曇らせた。
ユリウスは、ほんの数秒、目を伏せた。
そして、すぐに顔を上げる。
「……了解しました」
*
「数年前、私が広報官に就任して間もないころ――」
会議室の窓の外には、
まだ穏やかな昼の空が広がっている。
けれど、彼の声が語るのは、
一日中曇天だった、ある日の記憶だった。
「当時、“希望増幅星飴キャンペーン”というものを行いました」
「き、希望増幅……」
ミレイユは、聞き慣れない名前を、そっと心の中で復唱する。
「“希望を持つことはいいことだ”という理念のもと、
“今日いちばんの望み”を、いつもより強く後押しする星飴を、
庁主導で配布したのです」
ユリウスの表情は、淡々としている。
けれど、その指先は、資料を持つペンをわずかに強く握っていた。
「事前の予報では、
その日は“晴れ時々星雲”の、ごく穏やかな一日になるはずでした。
私は、“希望増幅飴”のキャンペーンを、
“前向きな一歩を応援する素敵な企画”として、
派手に宣伝しました」
ポスター、アナウンス、街頭掲示。
「“希望をひとつ、星にあずけてみませんか”
“あなたの一歩を、星飴がそっと押します”」
甘いキャッチコピーとともに、
宣伝用のイラストには、
笑顔の市民たちと、きらきら光る星飴が描かれていた。
「当日、街の人々は、たくさんの“希望”を星飴に託しました。
新しい仕事、告白、挑戦……」
一見、とても良い光景だった。
けれど――。
「予報が、外れました」
ユリウスは、言葉を区切るように息を吸った。
「昼過ぎから、予想外の低気圧が発生し、
“星曇り”の層が厚くなってしまったのです。
“希望増幅飴”は、“望みの高まり”を強く後押しする代わりに、
外からの環境に左右されやすい特性を持っていました」
つまり。
「“やってみよう”という気持ちだけが高まり、
でも、天候やタイミングが邪魔をして、
“うまくいかない現実”に直面した人が多かったのです」
その日、庁舎には、
たくさんの人が押し寄せた。
・“希望を持ったのに、結局何も変わらなかったじゃないか”と怒る人。
・“期待しすぎてしまって、今が余計につらい”と泣き崩れる人。
・“飴を配られなければ、こんなに苦しくならずに済んだのに”と言う人。
「その日、私は、広報官として、
最初から最後まで、謝り続けました」
ユリウスの声は、静かに、けれどはっきりと会議室に響く。
「予報課に非はなかったのに、“予報の信頼性”まで疑われました。
星飴調整課の職人たちも、“危ない飴を作った”と責められました。
何より……
星飴そのものを、こわいものだと感じてしまった人が、
たくさんいたのです」
その記憶が、
彼を「慎重な広報官」に変えたのだ、と
ミレイユは直感的に理解した。
「だから私は決めました。
どれだけ魅力的な飴であっても、
予報や説明や、受け止める場所が整っていないうちは、
大々的に“煽る”ようなキャンペーンはしない、と」
会議室には、しんとした沈黙が落ちた。
庁長が、小さく息を吐く。
「……そうね。あの日は、辛かったわね」
「庁長は、私の暴走を許した責任者として、
最後まで一緒に頭を下げてくださいました」
「暴走なんて言葉、軽すぎるわ。
あなたは、星飴を信じていたのよ。
それ自体は、間違いじゃなかったと思う」
「結果を見れば、十分、間違いでした」
ユリウスは、はっきりと言い切った。
「だからこそ、
星飴シャワーの夜に、再び“増幅系”の飴を、
庁自ら積極的に配ることには、慎重でありたいのです」
*
その説明を聞きながら、
ミレイユの胸の中では、
いくつもの感情が渦を巻いていた。
ユリウスの慎重さの源にあるもの。
その重たさと、痛みと、責任感。
(そんなことがあったんだ……)
あの日のユリウスを、
想像するだけで、胸がきゅっと痛い。
でも――。
(だからって、“もう二度と、星飴で誰かの望みを強く押さない”って、
決めてしまったとしたら)
星飴を作る側として、
それはどこか寂しくも感じた。
会議がいったん休憩に入り、
みんなが席を外したとき。
ミレイユは、会議室の隅で、
ユリウスにそっと声をかけた。
「……ユリウスさん」
「はい」
「さっきの話、
教えてくださって、ありがとうございます」
まずは、それをちゃんと言いたかった。
「いえ。
本来なら、もっと早く共有すべきだったことです」
「……でも、ひとつだけ、いいですか」
自分の胸の中の揺れに、
ゆっくりと言葉をつけていく。
「星飴シャワーの夜に、“恋が加速する飴”を、
何もかも封じ込めてしまう――っていうのは、
ちょっと、寂しいなって、思ってしまいました」
ユリウスが、わずかに目を見開く。
「寂しい、ですか」
「はい。
もちろん、暴風の日みたいに、
説明も選択肢もないまま配るのは、
きっとよくないと思います。
でも、“星飴シャワー”って、
二度と同じ夜にはならない、特別な空ですよね」
「……そうですね」
「そんな夜に、“ちゃんと準備して、ちゃんと説明して”、
それでも“この夜に賭けたい”って人がいたら――
わたしは、その人たちのための恋加速飴を、
作ってあげたいって、思ってしまうんです」
自分の指先を、そっと握る。
「失敗させたいわけじゃなくて。
ただ、“望みを信じる力”を、
星飴で少しだけ後押ししたい。
そのための工夫なら、
何度でも一緒に考えたいです」
ユリウスは、しばらく黙っていた。
彼の中で、
過去の曇天と、
今の工房の甘い匂いと、
星飴シャワーのきらめきが、
静かに混ざり合っているように見えた。
「……私は、臆病になりすぎているのかもしれませんね」
ぽつり、と彼は言った。
「臆病でいてくれるおかげで、
救われる人も、きっといると思います」
ミレイユは、正直に返す。
「でも、臆病なままじゃない、ユリウスさんも、見てみたいです」
「……」
ユリウスの視線が、
少しだけ柔らかくなった。
「たとえば、暴風の日とは違って――
ちゃんと予報も説明も整えたうえで、
“それでもやってみましょうか”って言う広報官さんとか」
「なかなか、注文が多いですね」
「星飴おしゃべり席で、
皆さんの本音を聞いてきたら、
欲張りになってしまいました」
ふたりで、思わず笑ってしまう。
その瞬間、
会議室の空気が、少しだけやわらいだ。
「……わかりました」
ユリウスは、深く息を吸い込んだ。
「私の案は、あくまで“安全側に倒しきった初期案”です。
星飴シャワーの夜の“恋加速飴”、
完全封印ではなく、“限定的な運用”として、
あらためて条件を洗い出してみましょう」
「いいんですか?」
「ええ。
シュガールさんが、“一緒に考えたい”と言ってくれたので。
私ひとりで決めるより、
ずっとまともな観測結果になりそうです」
その言葉に、
ミレイユの胸が、ぽっと明るくなる。
「では、休憩明けの会議で、
“暴走しない恋加速飴の使い方”を、
全員で叩き台にしましょう」
「はいっ」
「ただし――」
ユリウスは、真面目な顔で続けた。
「ひとつ約束を」
「……?」
「どんなに魅力的な案が出ても、
“星飴おしゃべり席”と“黄昏観測”だけは、
必ずセットにしてください」
それはつまり、
どんな星飴の企画も、
“本音を聞く場所”と“顔色天気図を読む時間”と
セットでなければやらない、という宣言だ。
「もちろんです。
“星飴の企画と、ふたりの見守りセット”ですね」
「ネーミングは検討の余地がありますが……概ねそういうことです」
ふたりの視線が、
ふっと重なって、ほどける。
その奥で、
まだ小瓶の中のピンクの星飴が、
かすかに瞬いた気がした。
*
休憩明けの会議では、
星飴シャワー当日のプランが、
少しずつ形になっていった。
・星飴おしゃべり席の夜間開放。
・街角ごとに簡易相談スペース兼「本音避難所」を設置。
・「星飴の拾い歩きツアー」など、
子ども向けの安全な楽しみ方の提案。
そして――。
・“恋が加速する飴”は、
事前予約制の「星飴シャワー記念セット」の中に、
“ひとり一粒だけ”入れること。
・受け取りの際に、
星飴おしゃべり席(または街角版)の簡易カウンセリングを受けること。
・“誰かに押し付けるためではなく、
自分の望みを見つめるための飴である”ことを、
明記して渡すこと。
議論は白熱しつつも、
全体としては、“星飴を信じながら、無理をさせない”方向へまとまっていった。
「……いいわねぇ」
庁長は、満足そうに頷く。
「これなら、“星飴シャワーの夜に賭けたい人”も、
“静かに見守りたい人”も、両方守れそうだわ」
「広報としても、納得できます」
ユリウスが、資料を閉じる。
「“希望増幅飴”のときと違って、
今回は“望みの強さ”だけでなく、
“受け止める場所”まで、一緒に用意できましたから」
その一言が、
過去と今をつなぐ“修正予報”のように響いた。
ミレイユは、そっと自分のノートに書き込む。
『星飴シャワー:
“こわい”と“楽しみ”が同居する夜。
――だからこそ、“一緒に見上げる人”がいると心強い』
(わたしは、この夜を、
ユリウスさんと一緒に、ちゃんと見たい)
星飴が降る空も。
街の本音があふれる様子も。
自分自身の胸の中の、
まだ言葉になっていない何かも。
全部まとめて、
“黄昏観測チーム”として、
見届けたい――。
そう心に決めたところで、
ちょうど会議が解散になった。
窓の外の空は、
少しだけ雲が厚くなっていたけれど――
三日後の夜には、
その向こうから、きっと星飴のシャワーが降り始める。
そのとき、
小瓶の中のピンクの星が、
どんな一行を連れてくるのか。
ただひとつ確かなのは――
“星飴シャワーの夜”は、
ふたりの心の予報も、
いつもより少し、
忙しくなるということだけだった。
星飴おしゃべり席がすっかり庁舎の“新名所”になった、ある朝のことだった。
「本日の特記事項。
三日後の夜、王都上空に“星飴シャワー”の兆候あり」
予報課の掲示板に、その一行が貼り出される。
瞬く間に、庁内がざわついた。
「星飴シャワーって、あの……?」
「数年に一度の、大量降星現象……!」
「星飴が空からわーって降るやつでしょ?」
廊下を通りかかったミレイユも、
貼り紙を見た瞬間、胸がふわっと高鳴った。
(きれいなんだろうなぁ……)
星飴測候庁の工房で働き始めてから、
ミレイユは何度も、古い記録写真を見てきた。
夜空いっぱいに広がる、砂糖菓子みたいな光の雨。
石畳に、屋根に、街路樹の葉に、
星型の雫がぱらぱらと落ちていく。
街中に、甘い匂いと、
“本音一行”の紙吹雪が舞い上がる――。
(いつか、直接見てみたいなって思ってたけど……
まさか、こんなに早く、そのチャンスが来るなんて)
胸の中で、
小さな歓声が上がる。
それと同時に――
ちくり、と別の感覚も顔を出した。
「星飴シャワー、ですか」
背後から聞こえた声に振り向くと、
予報掲示をじっと見つめるユリウスが立っていた。
飾り眼鏡の奥の瞳は、
いつものように冷静で……
けれど、その底に、微かに緊張の色が見える。
「予報の確度は?」
「予報課によれば、九十パーセント以上。
観測史上、かなり“濃い”シャワーになる可能性が高いそうです」
「“濃い”……」
「星飴の落下量が多くなると、
当然、“本日の一番の望み”も、街中で一気に動きます」
ユリウスは、掲示を見たまま言った。
「星飴測候庁にとっては、最も華やかで、
同時に……最も神経を使う日です」
その声音に、
いつもより少し硬いものが混じっているのを、
ミレイユは敏感に感じ取った。
(ユリウスさん……ちょっと、こわい顔してる)
*
午前中のうちに、緊急の打ち合わせが開かれた。
会議室の壁には、過去の星飴シャワーの写真が貼られている。
夜空から降る光の線、
星飴をすくいあげる子どもたち、
路地で肩を寄せ合う恋人たち――。
「わぁ……」
ミレイユは、思わず息を呑んだ。
庁長が、前に立って手を叩く。
「今日は、“三日後の星飴シャワーに備えるための初回ミーティング”よ。
予報課、調整課、広報、警備、全員、耳も口もフル稼働でお願いね」
「了解です」
ユリウスが、即座に答える。
机の上には、すでに何枚ものメモが並べられていた。
「まずは、予報課から概況を」
若い予報士が前に出て、
魔法図をくるりと広げた。
「三日後の夜、二十一時から二十三時にかけて、
王都上空に“中~強度”の星層が接近する予報です。
降下範囲は、王都中心部を含む半径三キロ。
星飴の粒子は、通常の約三倍濃度になる見込みです」
「三倍……」
ざわつきが広がる。
「簡単に言えば、“街の今日いちばんの望み”が、
いつもよりずっと“叶いやすくなる夜”ですね」
予報士が補足すると、
庁長は顎に手を当てた。
「ということは、“本音一行”の量も、いつもの三倍?」
「ええ。
包み紙に出る本音も増えますし、
飴なしでも“本音がこぼれやすくなる”可能性があります」
「……なるほど」
庁長の視線が、自然とユリウスへ向かう。
「広報官さん、“三倍本音デー”への対応案は?」
「すでにひとつ、骨組みは考えています」
ユリウスは、すっと立ち上がった。
「星飴シャワー当日は、
“星飴おしゃべり席”の夜間特別運用を行います。
庁舎一階ロビーを開放し、
“本音一行が出すぎてしまった方”への避難場所として周知する。
同時に、“星飴の安全な拾い方・舐め方”の簡易パンフレットを作成し、
当日朝から街中に配布します」
「さすが広報官どの、仕事が早いね」
ポルカ課長が感心したように言う。
「それから、“恋が加速する飴”についてですが――」
そこで、ユリウスの声が、
ほんのわずかに低くなった。
「当日は、“庁主催での配布を行わない”方針を提案します」
会議室の空気が、ぴんと張る。
「……配布しない?」
庁長が、慎重に言葉を繰り返す。
「前回の暴風日での反省を踏まえ、
星飴シャワー当日に、さらに“恋加速”の要素を重ねるのは、
リスクが高すぎると判断します」
「でも、星飴シャワーって、
街の人にとっては特別な日よ?
“恋が加速する飴”を楽しみにしてる人も、きっといるんじゃないかしら」
庁長が、静かに彼を見つめる。
その横で、
ミレイユの胸の中には、ふたつの感情が綱引きをしていた。
(たしかに、こわいかもしれない。
暴風の日だけでも、あんなに大変だったし……)
でも――。
(星飴シャワーって、“本当の望みが叶いやすい素敵な夜”なんだよね)
写真の中の、
星飴シャワーの夜の笑顔たちが、脳裏をよぎる。
そっと手を上げようとしたとき――
庁長の声が、ふたりの間に滑り込んだ。
「――ユリウス。
あなたが、そこまで慎重になる理由を、
みんなにも共有しておくべきかもしれないわね」
会議室の空気が、少しだけ変わる。
「“あの時”の話を、してもらえる?」
“あの時”。
その言葉に、
何人かの古参職員が、わずかに表情を曇らせた。
ユリウスは、ほんの数秒、目を伏せた。
そして、すぐに顔を上げる。
「……了解しました」
*
「数年前、私が広報官に就任して間もないころ――」
会議室の窓の外には、
まだ穏やかな昼の空が広がっている。
けれど、彼の声が語るのは、
一日中曇天だった、ある日の記憶だった。
「当時、“希望増幅星飴キャンペーン”というものを行いました」
「き、希望増幅……」
ミレイユは、聞き慣れない名前を、そっと心の中で復唱する。
「“希望を持つことはいいことだ”という理念のもと、
“今日いちばんの望み”を、いつもより強く後押しする星飴を、
庁主導で配布したのです」
ユリウスの表情は、淡々としている。
けれど、その指先は、資料を持つペンをわずかに強く握っていた。
「事前の予報では、
その日は“晴れ時々星雲”の、ごく穏やかな一日になるはずでした。
私は、“希望増幅飴”のキャンペーンを、
“前向きな一歩を応援する素敵な企画”として、
派手に宣伝しました」
ポスター、アナウンス、街頭掲示。
「“希望をひとつ、星にあずけてみませんか”
“あなたの一歩を、星飴がそっと押します”」
甘いキャッチコピーとともに、
宣伝用のイラストには、
笑顔の市民たちと、きらきら光る星飴が描かれていた。
「当日、街の人々は、たくさんの“希望”を星飴に託しました。
新しい仕事、告白、挑戦……」
一見、とても良い光景だった。
けれど――。
「予報が、外れました」
ユリウスは、言葉を区切るように息を吸った。
「昼過ぎから、予想外の低気圧が発生し、
“星曇り”の層が厚くなってしまったのです。
“希望増幅飴”は、“望みの高まり”を強く後押しする代わりに、
外からの環境に左右されやすい特性を持っていました」
つまり。
「“やってみよう”という気持ちだけが高まり、
でも、天候やタイミングが邪魔をして、
“うまくいかない現実”に直面した人が多かったのです」
その日、庁舎には、
たくさんの人が押し寄せた。
・“希望を持ったのに、結局何も変わらなかったじゃないか”と怒る人。
・“期待しすぎてしまって、今が余計につらい”と泣き崩れる人。
・“飴を配られなければ、こんなに苦しくならずに済んだのに”と言う人。
「その日、私は、広報官として、
最初から最後まで、謝り続けました」
ユリウスの声は、静かに、けれどはっきりと会議室に響く。
「予報課に非はなかったのに、“予報の信頼性”まで疑われました。
星飴調整課の職人たちも、“危ない飴を作った”と責められました。
何より……
星飴そのものを、こわいものだと感じてしまった人が、
たくさんいたのです」
その記憶が、
彼を「慎重な広報官」に変えたのだ、と
ミレイユは直感的に理解した。
「だから私は決めました。
どれだけ魅力的な飴であっても、
予報や説明や、受け止める場所が整っていないうちは、
大々的に“煽る”ようなキャンペーンはしない、と」
会議室には、しんとした沈黙が落ちた。
庁長が、小さく息を吐く。
「……そうね。あの日は、辛かったわね」
「庁長は、私の暴走を許した責任者として、
最後まで一緒に頭を下げてくださいました」
「暴走なんて言葉、軽すぎるわ。
あなたは、星飴を信じていたのよ。
それ自体は、間違いじゃなかったと思う」
「結果を見れば、十分、間違いでした」
ユリウスは、はっきりと言い切った。
「だからこそ、
星飴シャワーの夜に、再び“増幅系”の飴を、
庁自ら積極的に配ることには、慎重でありたいのです」
*
その説明を聞きながら、
ミレイユの胸の中では、
いくつもの感情が渦を巻いていた。
ユリウスの慎重さの源にあるもの。
その重たさと、痛みと、責任感。
(そんなことがあったんだ……)
あの日のユリウスを、
想像するだけで、胸がきゅっと痛い。
でも――。
(だからって、“もう二度と、星飴で誰かの望みを強く押さない”って、
決めてしまったとしたら)
星飴を作る側として、
それはどこか寂しくも感じた。
会議がいったん休憩に入り、
みんなが席を外したとき。
ミレイユは、会議室の隅で、
ユリウスにそっと声をかけた。
「……ユリウスさん」
「はい」
「さっきの話、
教えてくださって、ありがとうございます」
まずは、それをちゃんと言いたかった。
「いえ。
本来なら、もっと早く共有すべきだったことです」
「……でも、ひとつだけ、いいですか」
自分の胸の中の揺れに、
ゆっくりと言葉をつけていく。
「星飴シャワーの夜に、“恋が加速する飴”を、
何もかも封じ込めてしまう――っていうのは、
ちょっと、寂しいなって、思ってしまいました」
ユリウスが、わずかに目を見開く。
「寂しい、ですか」
「はい。
もちろん、暴風の日みたいに、
説明も選択肢もないまま配るのは、
きっとよくないと思います。
でも、“星飴シャワー”って、
二度と同じ夜にはならない、特別な空ですよね」
「……そうですね」
「そんな夜に、“ちゃんと準備して、ちゃんと説明して”、
それでも“この夜に賭けたい”って人がいたら――
わたしは、その人たちのための恋加速飴を、
作ってあげたいって、思ってしまうんです」
自分の指先を、そっと握る。
「失敗させたいわけじゃなくて。
ただ、“望みを信じる力”を、
星飴で少しだけ後押ししたい。
そのための工夫なら、
何度でも一緒に考えたいです」
ユリウスは、しばらく黙っていた。
彼の中で、
過去の曇天と、
今の工房の甘い匂いと、
星飴シャワーのきらめきが、
静かに混ざり合っているように見えた。
「……私は、臆病になりすぎているのかもしれませんね」
ぽつり、と彼は言った。
「臆病でいてくれるおかげで、
救われる人も、きっといると思います」
ミレイユは、正直に返す。
「でも、臆病なままじゃない、ユリウスさんも、見てみたいです」
「……」
ユリウスの視線が、
少しだけ柔らかくなった。
「たとえば、暴風の日とは違って――
ちゃんと予報も説明も整えたうえで、
“それでもやってみましょうか”って言う広報官さんとか」
「なかなか、注文が多いですね」
「星飴おしゃべり席で、
皆さんの本音を聞いてきたら、
欲張りになってしまいました」
ふたりで、思わず笑ってしまう。
その瞬間、
会議室の空気が、少しだけやわらいだ。
「……わかりました」
ユリウスは、深く息を吸い込んだ。
「私の案は、あくまで“安全側に倒しきった初期案”です。
星飴シャワーの夜の“恋加速飴”、
完全封印ではなく、“限定的な運用”として、
あらためて条件を洗い出してみましょう」
「いいんですか?」
「ええ。
シュガールさんが、“一緒に考えたい”と言ってくれたので。
私ひとりで決めるより、
ずっとまともな観測結果になりそうです」
その言葉に、
ミレイユの胸が、ぽっと明るくなる。
「では、休憩明けの会議で、
“暴走しない恋加速飴の使い方”を、
全員で叩き台にしましょう」
「はいっ」
「ただし――」
ユリウスは、真面目な顔で続けた。
「ひとつ約束を」
「……?」
「どんなに魅力的な案が出ても、
“星飴おしゃべり席”と“黄昏観測”だけは、
必ずセットにしてください」
それはつまり、
どんな星飴の企画も、
“本音を聞く場所”と“顔色天気図を読む時間”と
セットでなければやらない、という宣言だ。
「もちろんです。
“星飴の企画と、ふたりの見守りセット”ですね」
「ネーミングは検討の余地がありますが……概ねそういうことです」
ふたりの視線が、
ふっと重なって、ほどける。
その奥で、
まだ小瓶の中のピンクの星飴が、
かすかに瞬いた気がした。
*
休憩明けの会議では、
星飴シャワー当日のプランが、
少しずつ形になっていった。
・星飴おしゃべり席の夜間開放。
・街角ごとに簡易相談スペース兼「本音避難所」を設置。
・「星飴の拾い歩きツアー」など、
子ども向けの安全な楽しみ方の提案。
そして――。
・“恋が加速する飴”は、
事前予約制の「星飴シャワー記念セット」の中に、
“ひとり一粒だけ”入れること。
・受け取りの際に、
星飴おしゃべり席(または街角版)の簡易カウンセリングを受けること。
・“誰かに押し付けるためではなく、
自分の望みを見つめるための飴である”ことを、
明記して渡すこと。
議論は白熱しつつも、
全体としては、“星飴を信じながら、無理をさせない”方向へまとまっていった。
「……いいわねぇ」
庁長は、満足そうに頷く。
「これなら、“星飴シャワーの夜に賭けたい人”も、
“静かに見守りたい人”も、両方守れそうだわ」
「広報としても、納得できます」
ユリウスが、資料を閉じる。
「“希望増幅飴”のときと違って、
今回は“望みの強さ”だけでなく、
“受け止める場所”まで、一緒に用意できましたから」
その一言が、
過去と今をつなぐ“修正予報”のように響いた。
ミレイユは、そっと自分のノートに書き込む。
『星飴シャワー:
“こわい”と“楽しみ”が同居する夜。
――だからこそ、“一緒に見上げる人”がいると心強い』
(わたしは、この夜を、
ユリウスさんと一緒に、ちゃんと見たい)
星飴が降る空も。
街の本音があふれる様子も。
自分自身の胸の中の、
まだ言葉になっていない何かも。
全部まとめて、
“黄昏観測チーム”として、
見届けたい――。
そう心に決めたところで、
ちょうど会議が解散になった。
窓の外の空は、
少しだけ雲が厚くなっていたけれど――
三日後の夜には、
その向こうから、きっと星飴のシャワーが降り始める。
そのとき、
小瓶の中のピンクの星が、
どんな一行を連れてくるのか。
ただひとつ確かなのは――
“星飴シャワーの夜”は、
ふたりの心の予報も、
いつもより少し、
忙しくなるということだけだった。
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