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そしてケモノは愛される

43.青空の下

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「んん……っ、あ……あっ」
 中心を握られ、志狼が上擦った声を漏らした。

 昂ぶりは穂積の指によって、さらに硬さを増していく。手の内が先走りで濡れて、いやらしい音を立て始めた。
「せんせ……っ、あ」

 上下に扱くたびに、志狼の足がぴくぴくと動く。この様子では、すぐにでも達してしまう。
「あっ……う、んっ」
 頬を紅潮させて、志狼は穂積を見上げた。

「志狼は、あまり自分じゃしないのか?」
 感度が良く快感に慣れていない体は、自分ですらあまりしていないんじゃないかと思えた。

「し、してる……けど。……時々は」
 だって、と恥ずかしそうに志狼が続ける。
「自分でするのとじゃ……全然違う、から……。ほ、穂積先生の手、おっきくて……あ……っ」

 おっきくて、のところに違うことを連想し興奮しそうになった。

 穂積は軽く咳払いをする。
「ったく、お前ってやつは」
 あまり煽るとどうなっても知らないぞ、と心の中で付け加えた。

 中心を握る手の動きが自然と早くなる。草の上で、魚のように志狼が跳ねた。
「はっ……あ、あっ。そんな……、ああっ」
 先端に向けて扱くと、絞り出されたように志狼が腹を濡らした。

 はぁっ、と志狼は息を吐き出した。
「俺、またすぐ……」

 恥ずかしそうに志狼が膝を寄せたせいで、腕が挟まれた。
「何度でもいっとけ。俺が嬉しい」
 にまにまと顔を緩ませ、穂積は志狼を見下ろした。

 反応に困ったのか、志狼が黙り込む。そんなことを言われても、と言いたげだ。

 穂積は、腕を挟んでいる志狼の膝を割り開いた。
「わ、わぁぁ」
 また色気のない反応が返ってきて、志狼が足をばたつかせた。

 だが、穂積のせいで閉じられなくなり、志狼は観念したようだ。大人しくなる。

「俺に抱かれてくれるんだろ?」
 股の間から訊ねる。

「………」
 黙り込んだ後、志狼は目をぎゅっと閉じてこくりと頷いた。

「怖いか?」
「……だ、大丈夫。緊張、してるだけ」
 志狼の耳はぺたんとしていない。怖がられてはいないことに、安堵する。

 女遊びはいくらでもしてきたが、男をちゃんと抱くのは初めてだ。強引に迫ってはいるが、穂積自身も緊張していた。

 ただでさえ男を受け入れようとしてくれている志狼を、怖がらせたり傷つけたりすることはしたくない。
 穂積は志狼の頬に口付けた。目が合うと、唇に触れる。

 もちろん体は繋ぎたいが、こういう触れ合うようなキスだけで幸せな気分になれるのは、相手が恋人だからこそだ。
 穂積はずっと体だけの付き合いばかりで、そういう気持ちから遠ざかっていた。
 親友から奪ってまで欲しい思うほど、必死で誰かを好きになったこともない。

 キスをしながら、手は下半身へ伸ばす。今度は尾に邪魔されない。
 広げた股の間から、やわやわとまさぐりながら膨らみを伝ってその奥へと手を伸ばしていく。

 そして、その場所に指を侵入させようとして、今更ながらに気付いた。

「……っ」
 皮膚が引き攣ったのか、志狼が僅かに体を強張らせた。

 男は、そんなところが濡れるはずがない。
 そんなことを今になって穂積は思い出した。

 以前強引に抱いた時は、インバスのおかげで難なく押し入ることができた。そのせいで、本来挿入を受け付ける場所ではないということを失念していた。

 病院であれば、何かしらの薬があるが、子ヤギを探しに来ただけなので、何も持っていない。
 そんな状態で押し倒すなんて、無計画にもほどがあった。穂積は自分の迂闊さを省みた。

 ふと視線を彷徨わせ、見下ろした志狼の腹の上に零れたものが目に入った。
 鍛えられた腹に指を這わすと、穂積はそれを指で掬いとる。
 これで濡らせばいけるのではないかと思い立った。

「よし、志狼。もう一回いっとけ」
「へっ?」
 あまりに軽く言い過ぎて、間抜けな返事が返ってくる。

 穂積は再び志狼自身を手の平で包んだ。
 一度出して柔らかくなったそれを支えると、咥内に含んだ。

「ひあっ」
 志狼が小さく声を上げた。

 すべてを口の中に含み、舌で蹂躙する。
 以前した時の反応から思った通り、志狼は口でされることが弱いようだ。

 硬度を増し、組み敷いた体がしなる。
「あっ……や、やだ、それっ。なんで、また俺ばっか……っ」

 引き剥がそうとするように、髪を掴まれる。穂積は視線だけ志狼に向けた。
「俺が志狼の中に入るためだ。協力してくれ」

「い、意味、分かんな……っ」
 びくびくと足を震わせながら、志狼が訴える。
「や……っだぁ、あ、あっ」

 柔らかな膨らみから裏筋を伝って舐め上げると、舌に苦いものが広がる。我慢しきれない先走りが先端に溢れ出す。

 精液量も多く感じやすい体のせいで、二度目でもまもなくして高まっていった。
「あ、あっ。も、もう……っ、ほず……っ」
 達することを訴えられ、穂積は口を離した。
 これは利用目的があるから飲んではいけない。

「……っあ、……くっ」
 腰を震わせると、志狼は腹の上に放った。一度目に出した上に、とろりと混じる。

 胸を上下させ、志狼は荒く呼吸した。
 鍛えられた腹筋が、誘うようにいやらしく上下していた。
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