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獣欲都市(サティロスによる蹂躙)

脳浄化

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 新宿から帰ってきたセイクリッドガールズは聖学院病院に緊急入院させられた。自力で脱出した二人は軽症だった。

 しかし、警察突入後にホテルの地下ボイラー室で発見された黄田《きだ》柑奈《かんな》は念願のお兄ちゃんによる身体破壊プレイを楽しんだ報いで内臓がはみ出したうえに骨盤が割れ、股関節が砕ける重症を負っており、すぐに集中治療室に送られた。

「柑奈ちゃんはちゃんと治るんですよね」

 治療台に寝かされた紅緒は医師に尋ねる。

「大丈夫ですよ。心臓と脳さえ残っていれば元通りに治せます。安心してください。今は、自分が治ることに集中してください」

 医師は言う。アカシック・レコードに保存してあったバックアップを書き戻すことで、身体はきずひとつない状態に戻ったが、余計な記憶がいくつか書き戻されてしまった。それを除去しなくてはならない。

「治ることに集中…そうですね。集中します」

 紅緒は言った。

 医師は切開していた紅緒の頭蓋骨に真鍮製の電極を差し込む。

 紅緒の背筋がびくびくと震え、手足がでたらめに動いた。眼球が動き視線がダンスを踊る。その一瞬、紅緒は消去されていく記憶を垣間見ていた。



 紅緒は妹である茜里《あかり》と一緒に育った――そこからはいつもは決して思い出せない、不可触の記憶領域だった――彼女たちの両親は邪神教団の一員であった。生まれ育った町の全員がシュブ=ニグラスを信仰していた。

 紅緒と茜里たちの世代の女児はみな贄《にえ》として生まれ育てられた。女神シュブ=ニグラス様に捧げられるのである。星辰が整いしとき、一〇〇人の幼女を捧げれば女神様を復活させることができる、そう予言されていた。

 しかし、一度に一〇〇人の女児を集めてくるのは小人数だった当時の教団には難しい。そこで考えられたのが、時間操作だった。時を止まった幼稚園に女児たちを閉じ込めて保存するのである。司祭様が輝く偏方二十四面体シャイニング・トラペゾヘドロンを使って作り出す異界。戸籍上の年齢では成人が近づくぐらいまで、幼女のままでいることができた。しかし、そこは決して不快な場所ではなかった。身体の成長こそ止められていたものの、今日は昨日と同じ日ではないし、明日には常に希望があった。女神様とひとつになるという希望が。ところが、満願成就を間近に控えたある日、閉じているはずのその世界に亀裂が生じる。

 若い警備員のひとりが守っているはずの幼女たちに手を出したのだ。

「いいじゃんよ、もう一〇〇人以上いるんだから一人ぐらい俺が味見したっていいと思うんだよ。だいたいエッチな宗教じゃねえんかよ、ここって。目の前に好物があって黙って見てるだけで終わりはねえわぁ、まじねえわぁ」

 淫祠邪教に関わるもの、こうした輩がいてもおかしくない。警備員の紺色の制服を着ていたが、中身は犯罪者だ。もっとも邪神教団のなかでそれを言っても仕方がない。

「そこの二人、にいちゃんと一緒に遊ぼうよ」

 猫なで声を出して警備員は言った。

 声をかけられて、紅緒と茜里は素直に建物の影についていった。

「ひとあし早いけどさぁ。女神様やってきたから」

 男は幼稚園の青いワンピースの制服の下に手を入れて言った。

「ダメ、ダメだよ。今日は女神様の日じゃないもん。お兄ちゃんは女神様じゃないもん!」

「るせ、ガキが!」

 ワンピースをめくりあげて目隠しにし、紅緒の木綿のパンツを脱がせにかかる。

「お姉ちゃん!」

 茜里が泣きながら言った。

「誰か呼んできて!」

 青い布で目の前を覆われたまま紅緒は言う。

「うるせぇ!」

 布越しに紅緒の頬を殴る。

「かぁっ……」

 軽い脳震盪の後、頬の内側から血が出た。

 茜里は後を振り向きながら走っていった。

「クソ、ひとりは逃げたか。もう時間がねえが、やりたいことはキッチリやらせてもらう」

 男は紅緒の股間をしゃぶりはじめた。そして、肛門に指を入れる。

「やめてよ! そんな汚いこと…。やめて……」

 紅緒は言う。

 男は紅緒の真っ平らな胸も触った。それは想像していたより気持ちよくなかったが、心臓の鼓動がしたのが面白かった。

「お前さあ、もう女神様のものにはなれねえぞ。今日、穢れちまうからなあ。もう俺のものになるしかねえんだよ」

 ズボンをずらして、逸物をさぐる。まだ半勃ちのそれを掘り出して、少女の秘所にあてがった。サイズ違い。勃っていなくても、ぜんぜん入るはずがない。しかも裂け目の部分でこすっていくうちにそれはむくむくと大きくなってきた。

「やめてぇ!」

「神様のモノになるのがお前の夢。ちっちゃい女の子とするのが俺の夢。俺は神様に買ったらしい。お前をもとにできるんだから」

 無理やり押し込まれた陰茎は陰唇をめくりあげながらめり込んでいった。

「ダメーッ!」

 少女の悲鳴が響き渡る。

「絶対、出す。なかに出す。幼女強姦して中出しが俺の夢。最高の瞬間……」

 激しい鼻息で男は言う。

「やめろって!」

 紅緒は心底、この男が気持ち悪くて胸を突き飛ばした。しかし、体重の差は歴然。まったく動かない。

「気持ちよくなってきたか。なってきてるだろ。強姦された幼女はそういうもんだもんな」

「気持ちいいわけあるかよ!」

 拳を出そうとしたが、届かなかった。

「最初からこれが目的だった、だからもう死んでもいい……」

 男がそう言った瞬間、ゴンという音がした。男はそのショックで紅緒の膣内で射精し、それっきり動かなくなった。

「ごめん、お姉ちゃん。近くに人がいなくて。帰ってきたんだ」

 血のついた大きな石を両手に持って茜里は言った。

 警備員の男は気絶していただけだったが、その後、教団の手によって始末された。



 医師が紅緒の頭蓋骨に差し込んだ真鍮の針をさっと動かす。背筋がピクンと動き、もう紅緒はさっきまで何を見ていたのかを忘れていた。魔法少女の心の健康はこのような脳改造の積み重ねによって護られているのである。

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