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「~ということなの。ヴィ、どう思われます?」
サリアティアは、ラミルヴィラに今朝の出来事を話した。
「サリー…。貴方、賢いのに時々お馬鹿さんですわよね。」
「?」
「はぁ…仕方ないですわね。サリー、貴方、殿下が諦めて違う婚約者を作ったらどういう気持ちかしら?」
「違う婚約者?」
「ええ。」
「それは、幸せになっていただきたいわね。」
「そうでしたら、やはりご両親に話したほうがいいのではないかしら?」
「う~ん…それは、何か、そこまで…別に?」
「話せば、すぐに解放されますわよ?」
「そうですわよね。」
「では、聞き方を変えましょう。殿下がサリーに話しかけず、スルーしてミスティ様へ求婚したら?」
「スルー?ミスティ様へ?」
「ええ。サリーを見もしないの。」
サリアティアは、その光景を思い浮かべて眉間にしわを寄せた。
「…モヤッとしますわ。」
「サリー、そういうことなのですわ。」
「どういうことですの?」
「まだ分かりませんの?」
「ヴィ?」
「もう…。そうよ!たまには、サリーから殿下に話しかけてみたらどうかしら。そして、今の話をそのまま話してらっしゃい。」
「そのまま?」
「ええ。モヤッとしたことをそのまま。」
「直接?」
「ええ、直接話した方が伝わると思いますので。でも、無理にとは言いませんわ。難しかったら、手紙でもいいと思いますわよ。」
「手紙…。」
「続いているのでしょう?」
「ええ、そうね。不思議と…。」
「面倒臭いと言っていた貴方が返事を書くのだもの、よっぽど楽しい内容ですのね。」
「楽しい…?そうね…初めは花束への御礼状でしたのよ?でも、その後、御礼状の御礼状というものを頂いて…。」
「何ですの、それ?」
「『御礼状をくれてありがとう』の手紙ですわ。」
「え、ええ。」
「その後は庭園のお花の話が書かれていて…花言葉とか…」
「サリー、お花が好きですものね。」
「ええ。その後、原石の話にもなって…」
「まぁ!そう!宝石ではなく原石の!」
「ええ。」
「サリーは宝石よりも原石や天然石が好きだものね。」
「ええ。」
「ねぇ、サリー。その話を聞くと、余計に殿下と直接話したほうがいい気がするわ。」
「そう、かしら?」
「そうですわ!そもそも、なぜ10年も求婚してくださるのかも聞いてみたくはないの?」
「求婚というか、婚約の打診。」
「私、殿下の気持ちとサリーの気持ちをきちんと話し合う必要があると思いますわ!」
「ヴィ、聞いています?」
「ね!サリー!学校が無理ならお茶会と言う手もありますわよ。」
「はぁ、聞いていらっしゃらないわね…。でも…そうね…お茶会にお誘いしてみようかしら。」
「それがよろしいわ。応援していますね。」
「ええ。ありがとう。」
こうして、サリアティアとノアヴェルト王子の10年に渡る平行線が、交わり始めたのだった。
サリアティアは、ラミルヴィラに今朝の出来事を話した。
「サリー…。貴方、賢いのに時々お馬鹿さんですわよね。」
「?」
「はぁ…仕方ないですわね。サリー、貴方、殿下が諦めて違う婚約者を作ったらどういう気持ちかしら?」
「違う婚約者?」
「ええ。」
「それは、幸せになっていただきたいわね。」
「そうでしたら、やはりご両親に話したほうがいいのではないかしら?」
「う~ん…それは、何か、そこまで…別に?」
「話せば、すぐに解放されますわよ?」
「そうですわよね。」
「では、聞き方を変えましょう。殿下がサリーに話しかけず、スルーしてミスティ様へ求婚したら?」
「スルー?ミスティ様へ?」
「ええ。サリーを見もしないの。」
サリアティアは、その光景を思い浮かべて眉間にしわを寄せた。
「…モヤッとしますわ。」
「サリー、そういうことなのですわ。」
「どういうことですの?」
「まだ分かりませんの?」
「ヴィ?」
「もう…。そうよ!たまには、サリーから殿下に話しかけてみたらどうかしら。そして、今の話をそのまま話してらっしゃい。」
「そのまま?」
「ええ。モヤッとしたことをそのまま。」
「直接?」
「ええ、直接話した方が伝わると思いますので。でも、無理にとは言いませんわ。難しかったら、手紙でもいいと思いますわよ。」
「手紙…。」
「続いているのでしょう?」
「ええ、そうね。不思議と…。」
「面倒臭いと言っていた貴方が返事を書くのだもの、よっぽど楽しい内容ですのね。」
「楽しい…?そうね…初めは花束への御礼状でしたのよ?でも、その後、御礼状の御礼状というものを頂いて…。」
「何ですの、それ?」
「『御礼状をくれてありがとう』の手紙ですわ。」
「え、ええ。」
「その後は庭園のお花の話が書かれていて…花言葉とか…」
「サリー、お花が好きですものね。」
「ええ。その後、原石の話にもなって…」
「まぁ!そう!宝石ではなく原石の!」
「ええ。」
「サリーは宝石よりも原石や天然石が好きだものね。」
「ええ。」
「ねぇ、サリー。その話を聞くと、余計に殿下と直接話したほうがいい気がするわ。」
「そう、かしら?」
「そうですわ!そもそも、なぜ10年も求婚してくださるのかも聞いてみたくはないの?」
「求婚というか、婚約の打診。」
「私、殿下の気持ちとサリーの気持ちをきちんと話し合う必要があると思いますわ!」
「ヴィ、聞いています?」
「ね!サリー!学校が無理ならお茶会と言う手もありますわよ。」
「はぁ、聞いていらっしゃらないわね…。でも…そうね…お茶会にお誘いしてみようかしら。」
「それがよろしいわ。応援していますね。」
「ええ。ありがとう。」
こうして、サリアティアとノアヴェルト王子の10年に渡る平行線が、交わり始めたのだった。
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