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三章
4話 結果
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「測定不可」
機械的な声が告げた。
「え…?」
「ちょっと待っててください!」
唖然とするアマリエ。
女性鑑定士は慌てた様子で3人の部下の元に駆け寄った。
「測定不可なんて…どういうこと?」
「機材に不備はないようですが…」
「ただの誤作動では?」
大事なのかとアマリエはハラハラしながら見守る。
話し合い後、すぐに女性鑑定士は戻ってきた。
「マリエさん、もう一度魔力を送ってもらっていいですか?」
「はい」
アマリエは石版に魔力を送った。
「測定不可」
「測定不可」
「測定不可」
何度やっても結果は同じだった。
「ど、どうして?」
女性鑑定士が狼狽する。
(もしかしたら…神力のせいかしら)
アマリエは何となくだがそう思った。
アマリエは魔力と神力の2つの力を持っている。
魔力は多くの人が持っている能力であるが、神力を持っているのは世界で聖女のみだ。
詳しい経緯はわからないが、他の人間とアマリエが違う点はそこしかない。
(でもこれを話すわけには行かないし…)
「と、とにかく別の方法で鑑定しましょう」
女性鑑定士はそう言った。
(他にも方法があるのね)
アマリエはそう聞いてホッとした。
「マリエさんが使える魔法でレベルの高い攻撃魔法をこの案山子にぶつけてください」
「え?」
「魔法レベルで判断しますので!」
(ア、アバウトね)
アマリエはポカーンとした顔をした。
魔法には上級、中級、初級のレベルがある。
魔法レベルが高いほど消費する魔力は多くなる。
初級魔法の火球なら消費魔力は少ないので“魔力が低い人”と判断が出来るし、上級魔法の業火なら消費魔力は多いので“魔力が高い人”と判断が出来る。
まだ鑑定の魔導具が普及していない時代によく取られていた計測方法だ。
最早、計測でもなんでもないが。
設備は整っているのに、まさかこんな原始的な方法を取るとは予期していなかった。
「あの…」
アマリエはおずおずと手を上げた。
「はい、マリエさん。どうぞ」
教師のノリで女性鑑定士は進言を許す。
「私、攻撃魔法は一切使えません」
アマリエの一言に、その場は一瞬凍りついた。
「あ、もちろん治癒魔法なら使えます」
「光魔法でも攻撃魔法はかなりありますが、本当に使えないのですか?」
「はい」
「信じられない」といった感じで女性鑑定士はアマリエを見た。
「あ、失礼な言い方でしたね…」
「いいえ。普通なら初歩的な攻撃魔法は使えますからね」
気にした風もなくアマリエは答えた。
聖女とは人を慈しみ、故意に人を傷つけてはならない。
自分を顧みず、人々の為に尽くさなければならない。
これは聖女になる者が守る信条だ。
故にアマリエは攻撃魔法を使わない。
ただ自分の身を守るための護身用の魔法具は所持していた。
「魔法具ですと正確な魔力想定はできませんね」
「そうですよね…」
やっぱりとアマリエは呟いた。
「案山子に治癒魔法をかけても効果は見られませんからね」
2人が考え込んでいると、今まで石化したように黙っていた男性鑑定士が口を開いた。
「先ほど怪我した魔獣を捕えたと聞きましたけど、その魔獣を治癒をして判断されたら良いのでは?」
「なるほど…いいアイディアね!!すぐに係の者に連絡を取って」
「はい」
言われるまま男性鑑定士は、すぐ部屋を出ていった。
機械的な声が告げた。
「え…?」
「ちょっと待っててください!」
唖然とするアマリエ。
女性鑑定士は慌てた様子で3人の部下の元に駆け寄った。
「測定不可なんて…どういうこと?」
「機材に不備はないようですが…」
「ただの誤作動では?」
大事なのかとアマリエはハラハラしながら見守る。
話し合い後、すぐに女性鑑定士は戻ってきた。
「マリエさん、もう一度魔力を送ってもらっていいですか?」
「はい」
アマリエは石版に魔力を送った。
「測定不可」
「測定不可」
「測定不可」
何度やっても結果は同じだった。
「ど、どうして?」
女性鑑定士が狼狽する。
(もしかしたら…神力のせいかしら)
アマリエは何となくだがそう思った。
アマリエは魔力と神力の2つの力を持っている。
魔力は多くの人が持っている能力であるが、神力を持っているのは世界で聖女のみだ。
詳しい経緯はわからないが、他の人間とアマリエが違う点はそこしかない。
(でもこれを話すわけには行かないし…)
「と、とにかく別の方法で鑑定しましょう」
女性鑑定士はそう言った。
(他にも方法があるのね)
アマリエはそう聞いてホッとした。
「マリエさんが使える魔法でレベルの高い攻撃魔法をこの案山子にぶつけてください」
「え?」
「魔法レベルで判断しますので!」
(ア、アバウトね)
アマリエはポカーンとした顔をした。
魔法には上級、中級、初級のレベルがある。
魔法レベルが高いほど消費する魔力は多くなる。
初級魔法の火球なら消費魔力は少ないので“魔力が低い人”と判断が出来るし、上級魔法の業火なら消費魔力は多いので“魔力が高い人”と判断が出来る。
まだ鑑定の魔導具が普及していない時代によく取られていた計測方法だ。
最早、計測でもなんでもないが。
設備は整っているのに、まさかこんな原始的な方法を取るとは予期していなかった。
「あの…」
アマリエはおずおずと手を上げた。
「はい、マリエさん。どうぞ」
教師のノリで女性鑑定士は進言を許す。
「私、攻撃魔法は一切使えません」
アマリエの一言に、その場は一瞬凍りついた。
「あ、もちろん治癒魔法なら使えます」
「光魔法でも攻撃魔法はかなりありますが、本当に使えないのですか?」
「はい」
「信じられない」といった感じで女性鑑定士はアマリエを見た。
「あ、失礼な言い方でしたね…」
「いいえ。普通なら初歩的な攻撃魔法は使えますからね」
気にした風もなくアマリエは答えた。
聖女とは人を慈しみ、故意に人を傷つけてはならない。
自分を顧みず、人々の為に尽くさなければならない。
これは聖女になる者が守る信条だ。
故にアマリエは攻撃魔法を使わない。
ただ自分の身を守るための護身用の魔法具は所持していた。
「魔法具ですと正確な魔力想定はできませんね」
「そうですよね…」
やっぱりとアマリエは呟いた。
「案山子に治癒魔法をかけても効果は見られませんからね」
2人が考え込んでいると、今まで石化したように黙っていた男性鑑定士が口を開いた。
「先ほど怪我した魔獣を捕えたと聞きましたけど、その魔獣を治癒をして判断されたら良いのでは?」
「なるほど…いいアイディアね!!すぐに係の者に連絡を取って」
「はい」
言われるまま男性鑑定士は、すぐ部屋を出ていった。
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