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ルトの問いかけ
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ようやく少年が落ち着いてきたので、椅子に座らせ、お水をコップに入れて渡す。
私も向かいの椅子に腰掛けて、一口お水を飲んだ。
「声、出るようになったんだね」
そう言うと、少年はこくりと頷いた。
「名前は、なんていうの?」
「……ルト」
少年はとても小さな声でそう答えた。頬が赤くなっていて、目を合わせられないのか斜め下をずっと見ている。
もしかしたら、あれだけ号泣してしまったのが恥ずかしいのかもしれない。
「そっか、私はアイリスだよ! 十七歳。ルトは?」
「……十二歳……」
私は少し驚いてルトを凝視してしまった。てっきり十歳もいっていないと思っていた。
……それだけ、食べる物がなかったってことなんだよね。
ルトは痩せこけていて、健康に育っている状態とはとても言えない。……私も人のことは言えないけれど。
こんな何の罪もない子供がちゃんと大人になることもできない世の中なんて絶対に間違っているのに、どうして偉い立場の人たちは気がつかないのだろうか。もう本当にバカ。
「ルトは、これからどうしたい? ここを出て知っている人のところへ行くとか、元々目指してるところがあったの?」
そう聞くと、ルトは真っ青になって震え始めた。
「お、俺……やっぱり、迷惑? 追い出す?」
私は慌てて付け加えた。
「ううん、ルトが行くところがなくて、ここにいたいならいてもいいよ! 私も一人だったから、ルトがいてくれると嬉しいよ」
本当は私一人でも食べていくのに苦労しているけれど、こんな状態のルトを見捨てるなんてできない。まあ、両親の使ってた部屋が余ってるし、一人くらい増えたってきっとなんとかなる!
私がそう言うと、ルトは安心したようにホッと息を吐いた。
「俺……どこにも行くところがない。何でもお手伝いするから、ここに置いてほしい……」
「うん、わかった! これからよろしくね、ルト」
不安気に言ったルトに、私は明るく笑顔を返した。
ルトはそれから、本当に一生懸命お手伝いをしてくれた。
畑仕事はすぐに覚えてほとんど一人でやってくれるようになったし、初めはできなかったけれど、料理も覚えて上手になった。
狩り用の罠も作れるようになって、二人で一緒に仕掛けに行ったりした。
初めて獲物を解体する時にも、ルトは顔色一つ変えずに淡々と作業を覚えていった。私の時とは大違いだ。
そしてルトは字や計算も覚えたがった。戦争になる前は母さんが教師をしていたので、学校に行けなくても私は読み書きや計算がある程度できた。ルトは全く知らなかったので一からだったけれど、教えてあげたら少し怖いくらい貪欲に知識を吸収していった。
──そして四年が経つ頃には、私たちはすっかり『家族』になっていた。
「ルト、ちょっと出かけてくるね!」
「……また、『シスイさん』のところ?」
だいぶ年相応に成長したルトが不機嫌な様子で問いかけてくる。ルトももう十六歳なのに、シスイのところへ行くって言うと、私がシスイへの想いを隠していないからか、いつも子供のように拗ねるんだよね。ルトもそろそろ姉離れした方がいいと思う。
「ルトも好きな人が出来たらわかるわよ。いつも会いたくて仕方ないって思うから!」
「…………」
不機嫌な顔でルトがこちらを見てくるけれど、シスイに会うのをやめられるわけがない。彼がいるから、私はいつも頑張れるんだもん!
「……ねえ、いい加減にその人、紹介してよ。村の誰に聞いてもそんな人知らないって言うし、そもそもまともな成人男性が徴兵に出てないなんておかしいでしょ。本当にシスイさんなんているの?」
「い・る・の! でも紹介するのは無理。ちょっと変わった人だから」
それどころか人間じゃないから。
「……」
ルトが不満を全く隠さない顔で見てくるけれど、無理なものは無理。たとえ家族であっても、あそこは私とシスイだけの秘密の場所だもん!
「じゃあ、夕方には帰ってくるから!」
「……はいはい」
今日は五日ぶりにシスイに会える。私ははしゃぎすぎて、ルトがこっそりついてきていることに、全く気づかなかった。
「シスイ!」
歪みをくぐり、泉に向かって呼びかけるとキラキラと光が集まってきてシスイの形を象っていく。こういうのを見ると、やっぱり人間じゃないんだな、と思うけれど、そんなことはどうでもいいのだ。シスイが何者であれ、私はシスイが好きだ。結婚なんて一生できなくても構わない。
「やあ、アイリス。今日はお客さんを連れてきたの?」
「は?」
シスイの言葉を理解した瞬間、もしや、と思いぐるんと後ろを振り返る。
──そこには、呆然と立ちすくむルトがいた。
「る、ルト!?」
「……あなたが、『シスイ』?」
「そうだね、アイリスはそう呼んでるよ。初めまして、僕は精霊王だ」
シスイがにっこり笑って自己紹介すると、ルトは完全に動きを止めた。
「もう、後をつけてくるなんて信じられない!」
自分の迂闊さを棚に上げて、私はルトに文句を言った。
「……ごめん。でも、どうしても気になって……」
「アイリス、いいじゃない。ルト、いつもアイリスから話は聞いているよ。たくさんお手伝いをしてくれるいい子だって」
「わー! シスイっ、余計なことは言わなくていいから!」
悪口を言っていたわけではないけれど、私が言ったことを本人に伝えられるのは恥ずかしい。
「…………」
「ルト? どうしたの?」
様子がおかしい。シスイが美人すぎて言葉もないとか? まさかルトもシスイを好きになったりしてないよね!?
「あの……あなたは、人間ではないのですよね?」
「そうだよ」
シスイはにこやかに返事をしたけれど、私の心臓は少し嫌な音を立てている。なんとなく、ルトが何を聞きたいのかわかったような気がして。
「あなたは、アイリスのことをどう思っているんですか?」
「ルト!」
私はルトとシスイの間に入り、二人の会話を止めようとした。
「シスイ、ごめん。今日は帰るね。また来るから!」
そう言って無理やりルトを連れて出ようとするけれど、ルトは動いてくれない。もう私はとっくに彼に力では敵わなくなっていた。
「ルト……!」
「答えて、ください」
ルトの目は真剣で、引くつもりはないことがはっきりわかる。
やめて、私は想いを返してほしいなんて思ってないのに。ただ、たまにここに来て、二人で話ができればそれでいいのに。
シスイは少し首を傾げて質問の意味を考えてから、口を開いた。
「アイリスは頑張り屋のいい子だよね。アイリスと話すのはとても楽しいと思っているよ」
「……そうではなくて、アイリスをどうするつもりなのかということです。あなたは、人間になって彼女と結ばれることはできるんですか?」
「ルトッ!」
私はルトの胸ぐらを掴んで無理やりこちらを向かせようとしたけれど、ルトはびくともしない。
「……っ」
どうしてそんなことを聞くの、私は今のままでいいのに。
精霊王であるシスイと結婚できるだなんて思っていない。そんなことはわかっているけれど、直接言葉で聞きたくなんてないのに。
なのに、シスイは私にあっけなく引導を渡した。
「結ばれる、とは、番になるということかな? それは無理だね、僕には実体がないから、人間と番うことは出来ないよ」
私も向かいの椅子に腰掛けて、一口お水を飲んだ。
「声、出るようになったんだね」
そう言うと、少年はこくりと頷いた。
「名前は、なんていうの?」
「……ルト」
少年はとても小さな声でそう答えた。頬が赤くなっていて、目を合わせられないのか斜め下をずっと見ている。
もしかしたら、あれだけ号泣してしまったのが恥ずかしいのかもしれない。
「そっか、私はアイリスだよ! 十七歳。ルトは?」
「……十二歳……」
私は少し驚いてルトを凝視してしまった。てっきり十歳もいっていないと思っていた。
……それだけ、食べる物がなかったってことなんだよね。
ルトは痩せこけていて、健康に育っている状態とはとても言えない。……私も人のことは言えないけれど。
こんな何の罪もない子供がちゃんと大人になることもできない世の中なんて絶対に間違っているのに、どうして偉い立場の人たちは気がつかないのだろうか。もう本当にバカ。
「ルトは、これからどうしたい? ここを出て知っている人のところへ行くとか、元々目指してるところがあったの?」
そう聞くと、ルトは真っ青になって震え始めた。
「お、俺……やっぱり、迷惑? 追い出す?」
私は慌てて付け加えた。
「ううん、ルトが行くところがなくて、ここにいたいならいてもいいよ! 私も一人だったから、ルトがいてくれると嬉しいよ」
本当は私一人でも食べていくのに苦労しているけれど、こんな状態のルトを見捨てるなんてできない。まあ、両親の使ってた部屋が余ってるし、一人くらい増えたってきっとなんとかなる!
私がそう言うと、ルトは安心したようにホッと息を吐いた。
「俺……どこにも行くところがない。何でもお手伝いするから、ここに置いてほしい……」
「うん、わかった! これからよろしくね、ルト」
不安気に言ったルトに、私は明るく笑顔を返した。
ルトはそれから、本当に一生懸命お手伝いをしてくれた。
畑仕事はすぐに覚えてほとんど一人でやってくれるようになったし、初めはできなかったけれど、料理も覚えて上手になった。
狩り用の罠も作れるようになって、二人で一緒に仕掛けに行ったりした。
初めて獲物を解体する時にも、ルトは顔色一つ変えずに淡々と作業を覚えていった。私の時とは大違いだ。
そしてルトは字や計算も覚えたがった。戦争になる前は母さんが教師をしていたので、学校に行けなくても私は読み書きや計算がある程度できた。ルトは全く知らなかったので一からだったけれど、教えてあげたら少し怖いくらい貪欲に知識を吸収していった。
──そして四年が経つ頃には、私たちはすっかり『家族』になっていた。
「ルト、ちょっと出かけてくるね!」
「……また、『シスイさん』のところ?」
だいぶ年相応に成長したルトが不機嫌な様子で問いかけてくる。ルトももう十六歳なのに、シスイのところへ行くって言うと、私がシスイへの想いを隠していないからか、いつも子供のように拗ねるんだよね。ルトもそろそろ姉離れした方がいいと思う。
「ルトも好きな人が出来たらわかるわよ。いつも会いたくて仕方ないって思うから!」
「…………」
不機嫌な顔でルトがこちらを見てくるけれど、シスイに会うのをやめられるわけがない。彼がいるから、私はいつも頑張れるんだもん!
「……ねえ、いい加減にその人、紹介してよ。村の誰に聞いてもそんな人知らないって言うし、そもそもまともな成人男性が徴兵に出てないなんておかしいでしょ。本当にシスイさんなんているの?」
「い・る・の! でも紹介するのは無理。ちょっと変わった人だから」
それどころか人間じゃないから。
「……」
ルトが不満を全く隠さない顔で見てくるけれど、無理なものは無理。たとえ家族であっても、あそこは私とシスイだけの秘密の場所だもん!
「じゃあ、夕方には帰ってくるから!」
「……はいはい」
今日は五日ぶりにシスイに会える。私ははしゃぎすぎて、ルトがこっそりついてきていることに、全く気づかなかった。
「シスイ!」
歪みをくぐり、泉に向かって呼びかけるとキラキラと光が集まってきてシスイの形を象っていく。こういうのを見ると、やっぱり人間じゃないんだな、と思うけれど、そんなことはどうでもいいのだ。シスイが何者であれ、私はシスイが好きだ。結婚なんて一生できなくても構わない。
「やあ、アイリス。今日はお客さんを連れてきたの?」
「は?」
シスイの言葉を理解した瞬間、もしや、と思いぐるんと後ろを振り返る。
──そこには、呆然と立ちすくむルトがいた。
「る、ルト!?」
「……あなたが、『シスイ』?」
「そうだね、アイリスはそう呼んでるよ。初めまして、僕は精霊王だ」
シスイがにっこり笑って自己紹介すると、ルトは完全に動きを止めた。
「もう、後をつけてくるなんて信じられない!」
自分の迂闊さを棚に上げて、私はルトに文句を言った。
「……ごめん。でも、どうしても気になって……」
「アイリス、いいじゃない。ルト、いつもアイリスから話は聞いているよ。たくさんお手伝いをしてくれるいい子だって」
「わー! シスイっ、余計なことは言わなくていいから!」
悪口を言っていたわけではないけれど、私が言ったことを本人に伝えられるのは恥ずかしい。
「…………」
「ルト? どうしたの?」
様子がおかしい。シスイが美人すぎて言葉もないとか? まさかルトもシスイを好きになったりしてないよね!?
「あの……あなたは、人間ではないのですよね?」
「そうだよ」
シスイはにこやかに返事をしたけれど、私の心臓は少し嫌な音を立てている。なんとなく、ルトが何を聞きたいのかわかったような気がして。
「あなたは、アイリスのことをどう思っているんですか?」
「ルト!」
私はルトとシスイの間に入り、二人の会話を止めようとした。
「シスイ、ごめん。今日は帰るね。また来るから!」
そう言って無理やりルトを連れて出ようとするけれど、ルトは動いてくれない。もう私はとっくに彼に力では敵わなくなっていた。
「ルト……!」
「答えて、ください」
ルトの目は真剣で、引くつもりはないことがはっきりわかる。
やめて、私は想いを返してほしいなんて思ってないのに。ただ、たまにここに来て、二人で話ができればそれでいいのに。
シスイは少し首を傾げて質問の意味を考えてから、口を開いた。
「アイリスは頑張り屋のいい子だよね。アイリスと話すのはとても楽しいと思っているよ」
「……そうではなくて、アイリスをどうするつもりなのかということです。あなたは、人間になって彼女と結ばれることはできるんですか?」
「ルトッ!」
私はルトの胸ぐらを掴んで無理やりこちらを向かせようとしたけれど、ルトはびくともしない。
「……っ」
どうしてそんなことを聞くの、私は今のままでいいのに。
精霊王であるシスイと結婚できるだなんて思っていない。そんなことはわかっているけれど、直接言葉で聞きたくなんてないのに。
なのに、シスイは私にあっけなく引導を渡した。
「結ばれる、とは、番になるということかな? それは無理だね、僕には実体がないから、人間と番うことは出来ないよ」
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