恋に臆病なままではいられない

pino

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一章 

6.性格の悪さ

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 マンションに着くにつれてあらかた店の事や家の事を説明をしながら部屋に入る。光ちゃんからも聞いてる部分もあると思ったけど、俺からしっかり言っておいた方がいいと思ったから全部キチンと教えてやるつもりでいた。
 部屋に入ってスリッパを出してあげて廊下の電気を点けてお風呂、トイレ、キッチン、リビングと案内して最後に使ってもらう部屋だ。
 ここは今年入ってからずっと空き部屋になっている部屋で、それまでは俺の弟が使っていたんだ。いつ戻って来てもいいようにとそのままにしてあるし、掃除機も週に一度は掛けていた。だからすぐにでも使えるようになっている。


「この部屋を使って。置いてある物は弟の物だから明日にでも少し片付けるからそのままにしておいて。そんで隣が俺の寝室。言わなくても分かると思うけど立入禁止ね」

「はい。ありがとうございます」

「そんじゃ俺お風呂入るから~。リビングとかキッチンは好きに使ってよ。飲み物とかも冷蔵庫の好きに飲んで。あ、汚したらちゃんと掃除する事!これも守ってね~」

「分かりました」


 俺はお風呂を沸かしながら干してた洗濯物を畳もうと動き出す。今日は早く帰って来たし、出来る事はやろう。早めに寝て明日早めに起きるのも悪くないな。そんな事を考えながら片付けていると、ずっとキッチンに立ってこちらを見ている冬真が目に入った。


「何突っ立ってるの?座れば?」

「あの、俺も手伝います!」

「そう?それじゃタオル畳んで廊下のクローゼットにしまって来て」

「はい♪」


 俺が指示すると、嬉しそうに作業に取り掛かった。仕事中も思ったけど、結構真面目なのかも?見た目だけで勝手に判断してたけど、言われたらすぐにやり出すし、ちゃんと人の話を聞くし、上の立場に立つ者として言ってしまえば扱いやすい。
 ここにいたいから我慢してるからかもだけど、素直に言う事を聞くのなら文句はないかな。

 お風呂の沸く音が聞こえたから俺は準備をして脱衣所へ向かう。途中で冬真とすれ違った時に目が合ってニコッとされた。
 うーん、何だろうなぁ?もっとこう……


「あのさ、いちいち笑い掛けなくてもいいよ。俺はホストの客じゃないし、気を使うような上司でもないから」

「え……ごめんなさい」

「いや、謝れとは言ってないでしょ。光ちゃんも言ってたけどさ、俺はこういう性格であってそれを直そうとも思っていない。気にするなら出て行ってもらうしかないけど?」

「気にしません。でも、雪さんとは仲良くしたいです。俺の笑顔見苦しかったですか?笑わない方がいいですか?」

「そうとは言ってないじゃん。なんかずっと笑顔で疲れないんかなって思っただけ。家にいる時ぐらいリラックスしなよって事!」

「優しい!やっぱり雪さんは優しいですね♪俺、全然疲れないですよ♪だって、雪さんといるの凄く楽しいから自然と笑顔になっちゃうんです♪」

「また冬真はそんな事を!俺を口説いても意味ないんだからな!」

「口説くだなんて、そんな事してませんよ?それに俺が言う事は本心ですよ?」

「もういい!お風呂入るから!」


 どこまでも続く冬真の甘い言葉に吐く前に、さっさとお風呂に入ってしまおうと逃げるように脱衣所へ駆け込む俺。
 ホストってみんなああなのか?いや、仕事では頑張って笑って客を良い気にさせるようなキザな事言うだろうよ。でも仕事以外でもあんな風にする奴なんているのかよ?

 俺はただ冬真にもオフの時ぐらいは素で過ごしてもらいたいだけなのにな。
 こういう所は俺よりも光ちゃんのが上手いんだ。俺はどうにも威嚇から入っちゃうから他人と打ち解けるのに苦戦する所がある。
 今まで特別親しくなりたいと思う相手なんていなかったけど……

 俺はため息をついて自分の性格の悪さをしみじみ実感しながら浴室のドアを開けるのだった。


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