43 / 76
四章
42.バイトなんかいらない
しおりを挟む俺の反応に冬真は優しく笑って答えた。
「はい♪自分の彼氏が人気あると嬉しいです♪あ、俺は仕事とプライベートは別だと思っているんですが、雪さんは違いましたか?それならこれからは気を付けます」
「いや、冬真が正しいでしょ」
「プライベートでモテるのはやきもち妬いちゃいますけどね」
「はぁ、今日の俺ラストまで保つかなぁ」
「あの、体調良くないなら光児さんに言って早めに上がらせて貰った方がいいですよ。俺が雪さんの分まで頑張りますから」
体調は寝不足なだけで問題ないんだよ。問題は冬真が可愛い過ぎて保つかなってだけ。
俺はその事を教えずにニコッと笑ってホールに戻った。
ホールでは、光ちゃんがカウンターの顔馴染みの男性客と笑いながら話している姿があった。
俺が見てると目があって普通に呼ばれた。
「どうしたんだよ雪~?怖ぇ顔して~」
「そんな顔してないけど」
「雪くんは相変わらずサッパリしてるね~」
「こうじゃなきゃ光ちゃんの相方は務まりませんから♪」
「さすが夫婦だね~。俺も二人が仲良いの見るのが楽しみの一つなんだよな~」
俺が笑顔で言うと、男はひゅーと口笛を鳴らして茶化してきた。
「夫婦なんかじゃありませんって」
「雪ってば照れてんのかぁ?まだ若いな~」
「光ちゃんに茶化されるのは腹立つ!」
「何でだよっ!可愛くねぇなぁ」
「光児さん、嫁さんはご機嫌ナナメのようだな?」
「ってもいつもの雪っちゃ雪だけどな♪」
俺が嫌な態度を取ってもガハハと笑って客を笑顔にさせる光ちゃん。
本当に光ちゃんのこう言うところは凄いと思うよ。冬真は仕事とプライベートを分けてるように言ってたけど、光ちゃんは逆だ。仕事でもプライベートでも変わらない。こんな風にいつも笑っていて相手を楽しい気持ちにさせてくれる、そんな男なんだ。
そんな光ちゃんが俺は好きでずっと付いて来たけど、最近俺に隠すような言動をするから可愛くない事を言ってしまうんだ。まるで兄に誤魔化されて拗ねる弟みたいな。そんな感じ。
二人が笑うのを見て俺も笑ったけど、完全に営業スマイルになっていた。
「そうだ雪、今日バイトの面接希望の奴来るから」
「は!?何それ!?」
「いきなり連絡あってよ。とりあえず面接だけでもってなった。店閉めた後に俺が対応するからお前と冬真は片付け進めてくれ」
「また新しい子が入るのかい?glowも賑やかになってますます楽しくなるね~」
「いやいや、バイトとかいらないでしょ!光ちゃん何でオーケーしたの!今からでも断りなよ」
「明るそうな奴だったから面接だけでもしてみようかと思ってな♪同じ若い男だから新人の冬真にも良い刺激になるんじゃねぇかと思ってよ~」
別に求人を出してる訳でもないのに、何でこうも立て続けに働きたいって人が現れるの!それにうちの待遇ってそこまで良くないよ!?
もー、ワタルの事も断ったばかりなのに光ちゃんてばなんて事してくれるんだよ。
「冬真に刺激なんていらないだろ。頑張ってるしいろいろ優秀だと思ってる」
「まぁまぁ雪くん、マスターがこう言ってるんだしいいじゃない♪冬真くんも同僚が出来た方がやる気が出るんじゃないの?欲を言えば可愛いお姉ちゃんが良かったけどねぇ」
「何言ってるんですか、男でも女でももう従業員はいりませんっ」
「まだ雇うと決まった訳じゃねぇんだから、そんな怒るなって」
「俺は反対だからな!」
「まったくお前は……」
「はは、雪くんはお店の事を良く考えてるんだね~」
俺が言い切ると、光ちゃんも男の客もやれやれと言った顔をして笑っていた。
やれやれなのはこっちだよ!どう考えてもバイトとかいらないだろ!
勝手過ぎる光ちゃんに怒った後俺は食器やグラスを片付ける為にバックヤードへ戻った。
0
あなたにおすすめの小説
定時後、指先が覚えている
こさ
BL
職場で長く反目し合ってきた二人。
それでも定時後の時間だけは、少しずつ重なっていく。
触れるはずのなかった指先。
逸らさなかった視線。
何も始まっていないのに、
もう偶然とは呼べなくなった距離。
静かなオフィスでゆっくりと近づいていく、
等身大の社会人BL。
【完結・BL】胃袋と掴まれただけでなく、心も身体も掴まれそうなんだが!?【弁当屋×サラリーマン】
彩華
BL
俺の名前は水野圭。年は25。
自慢じゃないが、年齢=彼女いない歴。まだ魔法使いになるまでには、余裕がある年。人並の人生を歩んでいるが、これといった楽しみが無い。ただ食べることは好きなので、せめて夕食くらいは……と美味しい弁当を買ったりしているつもりだが!(結局弁当なのかというのは、お愛嬌ということで)
だがそんなある日。いつものスーパーで弁当を買えなかった俺はワンチャンいつもと違う店に寄ってみたが……────。
凄い! 美味そうな弁当が並んでいる!
凄い! 店員もイケメン!
と、実は穴場? な店を見つけたわけで。
(今度からこの店で弁当を買おう)
浮かれていた俺は、夕飯は美味い弁当を食べれてハッピ~! な日々。店員さんにも顔を覚えられ、名前を聞かれ……?
「胃袋掴みたいなぁ」
その一言が、どんな意味があったなんて、俺は知る由もなかった。
******
そんな感じの健全なBLを緩く、短く出来ればいいなと思っています
お気軽にコメント頂けると嬉しいです
■表紙お借りしました
[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった
ざびえる
BL
エリートリーマン×平凡リーマン
モデル事務所で
メンズモデルのマネージャーをしている牧野 亮(まきの りょう) 25才
中学時代の初恋相手
高瀬 優璃 (たかせ ゆうり)が
突然現れ、再会した初日に強引に抱かれてしまう。
昔、優璃に嫌われていたとばかり思っていた亮は優璃の本当の気持ちに気付いていき…
夏にピッタリな青春ラブストーリー💕
従僕に溺愛されて逃げられない
大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL!
俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。
その傍らには、当然のようにリンがいる。
荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。
高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。
けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。
当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。
居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。
さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。
主従なのか、恋人なのか。
境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。
従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。
壁乳
リリーブルー
BL
ご来店ありがとうございます。ここは、壁越しに、触れ合える店。
最初は乳首から。指名を繰り返すと、徐々に、エリアが拡大していきます。
俺は後輩に「壁乳」に行こうと誘われた。
じれじれラブコメディー。
4年ぶりに続きを書きました!更新していくのでよろしくお願いします。
(挿絵byリリーブルー)
【BL】男なのになぜかNo.1ホストに懐かれて困ってます
猫足
BL
「俺としとく? えれちゅー」
「いや、するわけないだろ!」
相川優也(25)
主人公。平凡なサラリーマンだったはずが、女友達に連れていかれた【デビルジャム】というホストクラブでスバルと出会ったのが運の尽き。
碧スバル(21)
指名ナンバーワンの美形ホスト。自称博愛主義者。優也に懐いてつきまとう。その真意は今のところ……不明。
「絶対に僕の方が美形なのに、僕以下の女に金払ってどーすんだよ!」
「スバル、お前なにいってんの……?」
冗談?本気?二人の結末は?
美形病みホス×平凡サラリーマンの、友情か愛情かよくわからない日常。
※現在、続編連載再開に向けて、超大幅加筆修正中です。読んでくださっていた皆様にはご迷惑をおかけします。追加シーンがたくさんあるので、少しでも楽しんでいただければ幸いです。
2度目の恋 ~忘れられない1度目の恋~
青ムギ
BL
「俺は、生涯お前しか愛さない。」
その言葉を言われたのが社会人2年目の春。
あの時は、確かに俺達には愛が存在していた。
だが、今はー
「仕事が忙しいから先に寝ててくれ。」
「今忙しいんだ。お前に構ってられない。」
冷たく突き放すような言葉ばかりを言って家を空ける日が多くなる。
貴方の視界に、俺は映らないー。
2人の記念日もずっと1人で祝っている。
あの人を想う一方通行の「愛」は苦しく、俺の心を蝕んでいく。
そんなある日、体の不調で病院を受診した際医者から余命宣告を受ける。
あの人の電話はいつも着信拒否。診断結果を伝えようにも伝えられない。
ーもういっそ秘密にしたまま、過ごそうかな。ー
※主人公が悲しい目にあいます。素敵な人に出会わせたいです。
表紙のイラストは、Picrew様の[君の世界メーカー]マサキ様からお借りしました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる