恋に臆病なままではいられない

pino

文字の大きさ
44 / 76
四章

43.仲良しな二人と光ちゃん

しおりを挟む

 日付が変わって午前1時過ぎ。俺と冬真は裏で片付けをしていた。光ちゃんは残っていた客の相手をするのでカウンターにいる。
 一生懸命にキッチンの床を掃除する冬真に俺は小声で話し掛ける。


「なぁ冬真、この後バイトの面接に若い男が来るらしい」

「そうなんですか?」

「そうだよ!どう考えてもいらないと思わないか?」

「うーん、まだ俺には判断出来ませんね~。やっぱり週末は忙しいなと感じます。あ、ほら、日曜日とか光児さん休むし、そう言う時にいてもらえると助かりますよね」

「冬真ってポジティブなんだな。glowが従業員の給料払えなくて潰れてもいいのか?」

「えっそんなにヤバいんですか?」

「いや、売上伸びてるし、言う程じゃないけど、あまり雇い過ぎても無駄になったら意味がないじゃんって話」

「なるほど!雪さんはお店の事を考えていて凄いです♪そう言えば俺と初めて会った時も反対してましたよね~。店にそんな余裕はないってめっちゃ怒ってましたよね」

「あれは……冬真の事を見た目で判断してたからだよ。俺、ホストとか嫌いなんだ」

「雪さんにとってホストは悪いイメージがあるんですね」

「母親が浮気して離婚したんだけど、その後も俺と弟の事をほったらかして男にばかり金を使ってたんだ。その中にはホストもいて大分貢いでたと思うよ。そのおかげで俺と弟は苦労して育ったんだ。ホストもそれが仕事だから仕方ない事だし全てのホストがそうって訳じゃないけど、やっぱり良いイメージはないかな」

「雪さんは普通の考えしてると思います。新人ってなると想像以上のお酒を飲まなくちゃいけなくなるし、もちろん生活の面でも昼夜逆転するので体にも良くないです。そもそもトークも出来て気も使えて、女性慣れしてないとかなりキツい仕事かと。俺はたまたま運が良くて世話してくれる先輩ホストがいたので頑張れましたけど、もう一度ホストに戻れって言われたら断りますもん」

「てか冬真に戻れなんて言う奴いたら俺が許さないし。冬真はもうglowの人間だからな」

「嬉しいです♪雪さん大好きです♡」

「ん、俺も好き♡」


 冬真と見つめ合ってキスをしようとしてると、カウンターの方から光ちゃんが顔を出してガッツリ現場を見られてしまった。


「うわ、お前らイチャつくのは家でやってくれよ~」

「イ、イチャついてなんかないし!」

「あ、光児さんお客さん帰ったんですか?」

「おう、レジも締めた。もう少しで面接来るんだけどよ、雪お前も面接するか?」

「当たり前だろ!どんな奴でも不採用だけどな」

「そんじゃ時間まで冬真に賄い作ってやってくんね?」

「いいけど」

「わーい♪雪さんの賄い楽しみ~♪」

「あ、冬真作ってみてよ♪練習練習~♪」

「俺ですかぁ?何がいいかなぁ?」

「卵あるからオムライスとかいいんじゃない?」

「いいですね♪光児さんの分も三人分作りますね」


 冬真は掃除道具を片付けて手を洗い出した。俺は手伝おうとボールなど調理器具を用意する。
 俺と冬真で楽しく話してると、ずっと見ていた光ちゃんがポケーッと見てたからムスッとしてやった。


「何見てるんだよエロオヤジ」

「いや、二人共すげぇ仲良くなってんなぁって。初めはどうなるかと思ってたけど良かった良かった~♪」

「光ちゃんてば羨ましい?家では雪って呼び捨てされてるんだから♪」

「そうなのかー?」

「はい。呼び捨てして欲しいとお願いされたので」

「あと敬語も禁止なの♪進んで家事もやってくれるし、冬真と俺ちょー仲良しなんだから♪」

「ふーん、それじゃあもうあいつが入る余地もねぇな」

「あいつって?」

「あ、そろそろ来るんじゃないか?」


 光ちゃんが言うそろそろ来るって言うのはバイトの面接に来る男の事だろう。
 それを聞いて俺はホール側から向こう側へ行く。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

定時後、指先が覚えている

こさ
BL
職場で長く反目し合ってきた二人。 それでも定時後の時間だけは、少しずつ重なっていく。 触れるはずのなかった指先。 逸らさなかった視線。 何も始まっていないのに、 もう偶然とは呼べなくなった距離。 静かなオフィスでゆっくりと近づいていく、 等身大の社会人BL。

【完結・BL】胃袋と掴まれただけでなく、心も身体も掴まれそうなんだが!?【弁当屋×サラリーマン】

彩華
BL
 俺の名前は水野圭。年は25。 自慢じゃないが、年齢=彼女いない歴。まだ魔法使いになるまでには、余裕がある年。人並の人生を歩んでいるが、これといった楽しみが無い。ただ食べることは好きなので、せめて夕食くらいは……と美味しい弁当を買ったりしているつもりだが!(結局弁当なのかというのは、お愛嬌ということで) だがそんなある日。いつものスーパーで弁当を買えなかった俺はワンチャンいつもと違う店に寄ってみたが……────。 凄い! 美味そうな弁当が並んでいる!  凄い! 店員もイケメン! と、実は穴場? な店を見つけたわけで。 (今度からこの店で弁当を買おう) 浮かれていた俺は、夕飯は美味い弁当を食べれてハッピ~! な日々。店員さんにも顔を覚えられ、名前を聞かれ……? 「胃袋掴みたいなぁ」 その一言が、どんな意味があったなんて、俺は知る由もなかった。 ****** そんな感じの健全なBLを緩く、短く出来ればいいなと思っています お気軽にコメント頂けると嬉しいです ■表紙お借りしました

[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった

ざびえる
BL
エリートリーマン×平凡リーマン モデル事務所で メンズモデルのマネージャーをしている牧野 亮(まきの りょう) 25才 中学時代の初恋相手 高瀬 優璃 (たかせ ゆうり)が 突然現れ、再会した初日に強引に抱かれてしまう。 昔、優璃に嫌われていたとばかり思っていた亮は優璃の本当の気持ちに気付いていき… 夏にピッタリな青春ラブストーリー💕

従僕に溺愛されて逃げられない

大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL! 俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。 その傍らには、当然のようにリンがいる。 荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。 高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。 けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。 当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。 居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。 さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。 主従なのか、恋人なのか。 境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。 従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。

壁乳

リリーブルー
BL
ご来店ありがとうございます。ここは、壁越しに、触れ合える店。 最初は乳首から。指名を繰り返すと、徐々に、エリアが拡大していきます。 俺は後輩に「壁乳」に行こうと誘われた。 じれじれラブコメディー。 4年ぶりに続きを書きました!更新していくのでよろしくお願いします。 (挿絵byリリーブルー)

【BL】男なのになぜかNo.1ホストに懐かれて困ってます

猫足
BL
「俺としとく? えれちゅー」 「いや、するわけないだろ!」 相川優也(25) 主人公。平凡なサラリーマンだったはずが、女友達に連れていかれた【デビルジャム】というホストクラブでスバルと出会ったのが運の尽き。 碧スバル(21) 指名ナンバーワンの美形ホスト。自称博愛主義者。優也に懐いてつきまとう。その真意は今のところ……不明。 「絶対に僕の方が美形なのに、僕以下の女に金払ってどーすんだよ!」 「スバル、お前なにいってんの……?」 冗談?本気?二人の結末は? 美形病みホス×平凡サラリーマンの、友情か愛情かよくわからない日常。 ※現在、続編連載再開に向けて、超大幅加筆修正中です。読んでくださっていた皆様にはご迷惑をおかけします。追加シーンがたくさんあるので、少しでも楽しんでいただければ幸いです。

同居人の距離感がなんかおかしい

さくら優
BL
ひょんなことから会社の同期の家に居候することになった昂輝。でも待って!こいつなんか、距離感がおかしい!

2度目の恋 ~忘れられない1度目の恋~

青ムギ
BL
「俺は、生涯お前しか愛さない。」 その言葉を言われたのが社会人2年目の春。 あの時は、確かに俺達には愛が存在していた。 だが、今はー 「仕事が忙しいから先に寝ててくれ。」 「今忙しいんだ。お前に構ってられない。」 冷たく突き放すような言葉ばかりを言って家を空ける日が多くなる。 貴方の視界に、俺は映らないー。 2人の記念日もずっと1人で祝っている。 あの人を想う一方通行の「愛」は苦しく、俺の心を蝕んでいく。 そんなある日、体の不調で病院を受診した際医者から余命宣告を受ける。 あの人の電話はいつも着信拒否。診断結果を伝えようにも伝えられない。 ーもういっそ秘密にしたまま、過ごそうかな。ー ※主人公が悲しい目にあいます。素敵な人に出会わせたいです。 表紙のイラストは、Picrew様の[君の世界メーカー]マサキ様からお借りしました。

処理中です...