63 / 171
63
しおりを挟む
「そうだったんですね...」
ライラは心から同情した。為政者というのは大変ものなんだなってつくづく思ったりもした。
「ライラ嬢、今後ドロシー嬢のことでなにかおかしいなと思うことがあったら、なんでもいいから教えてくれないか? どんな細かいことでも構わないから」
「分かりましたが、先程もお伝えしました通り、私とドロシーさんはほとんど接点がないので、あんまりお力にはなれないと思いますよ?」
「それでもいい。とにかくよろしく頼むよ」
「分かりました」
「あ、それとくれぐれも他言無用で頼む」
「心得てます」
◇◇◇
その夜の夕食の席のことだった。そろそろ食事が終わる頃合いになった時、
「ライラさん、この後お時間よろしいかしら?」
突然ドロシーから話し掛けられたライラは、昼間にドロシーの話を聞いた直後だったので、余りにもタイムリーなタイミングに少し戸惑った。ちなみに今夜、忙しいのかミハエルはこの場に来ていない。
「...えぇ、構いませんが...」
ちょっとだけ警戒しながらもライラはそう応えた。
「それじゃあ私の部屋で」
そう言ってドロシーは歩き始める。ライラは仕方なくその後に続いた。
「どうぞお掛けになって?」
「...はい...」
勧められたソファーにライラはおずおずと腰を下ろした。
「なにかお飲みになる?」
「...いえ、結構です...食後のお茶を飲んだばっかりなんで...」
「あぁ、それもそうね」
「...それで私にどのようなご用なんでしょうか?」
「単刀直入に聞くわ。あなた、ミハエル殿下に随分と気に入られているみたいだけど、一体どんな手を使ったのかしら?」
ドロシーはいきなり切り込んで来た。
「...どんな手もなにも...私からは一切アプローチしてないんですが...」
「ウソおっしゃい!」
急にドロシーの態度が急変したことに驚いたライラは言葉を失った。
「なにか汚い手を使ったんでしょ!? そうに決まってるわ! じゃなけりゃ、あんたみたいなイモ臭い女が殿下に気に入られるはずがないもの!」
ドロシーは唾を飛ばしながら喚き散らす。
「い、いや、ちょ、ちょっと落ち着いて下さいよ!」
今にも飛び掛からんばかりのドロシーの勢いに、気圧されたライラは思わずソファーから腰を浮かせた。
「そもそも私、合宿の初日に言った通り、王妃になる気なんて更々ないんですから! どんな手もこんな手も使うはずがないじゃありませんか!」
「騙されないわよ! それが私達を油断させる手だったんでしょ!?」
ライラが抗議しても、聞く耳を持たないドロシーには効果なかった。
ライラは心から同情した。為政者というのは大変ものなんだなってつくづく思ったりもした。
「ライラ嬢、今後ドロシー嬢のことでなにかおかしいなと思うことがあったら、なんでもいいから教えてくれないか? どんな細かいことでも構わないから」
「分かりましたが、先程もお伝えしました通り、私とドロシーさんはほとんど接点がないので、あんまりお力にはなれないと思いますよ?」
「それでもいい。とにかくよろしく頼むよ」
「分かりました」
「あ、それとくれぐれも他言無用で頼む」
「心得てます」
◇◇◇
その夜の夕食の席のことだった。そろそろ食事が終わる頃合いになった時、
「ライラさん、この後お時間よろしいかしら?」
突然ドロシーから話し掛けられたライラは、昼間にドロシーの話を聞いた直後だったので、余りにもタイムリーなタイミングに少し戸惑った。ちなみに今夜、忙しいのかミハエルはこの場に来ていない。
「...えぇ、構いませんが...」
ちょっとだけ警戒しながらもライラはそう応えた。
「それじゃあ私の部屋で」
そう言ってドロシーは歩き始める。ライラは仕方なくその後に続いた。
「どうぞお掛けになって?」
「...はい...」
勧められたソファーにライラはおずおずと腰を下ろした。
「なにかお飲みになる?」
「...いえ、結構です...食後のお茶を飲んだばっかりなんで...」
「あぁ、それもそうね」
「...それで私にどのようなご用なんでしょうか?」
「単刀直入に聞くわ。あなた、ミハエル殿下に随分と気に入られているみたいだけど、一体どんな手を使ったのかしら?」
ドロシーはいきなり切り込んで来た。
「...どんな手もなにも...私からは一切アプローチしてないんですが...」
「ウソおっしゃい!」
急にドロシーの態度が急変したことに驚いたライラは言葉を失った。
「なにか汚い手を使ったんでしょ!? そうに決まってるわ! じゃなけりゃ、あんたみたいなイモ臭い女が殿下に気に入られるはずがないもの!」
ドロシーは唾を飛ばしながら喚き散らす。
「い、いや、ちょ、ちょっと落ち着いて下さいよ!」
今にも飛び掛からんばかりのドロシーの勢いに、気圧されたライラは思わずソファーから腰を浮かせた。
「そもそも私、合宿の初日に言った通り、王妃になる気なんて更々ないんですから! どんな手もこんな手も使うはずがないじゃありませんか!」
「騙されないわよ! それが私達を油断させる手だったんでしょ!?」
ライラが抗議しても、聞く耳を持たないドロシーには効果なかった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
3,667
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる