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「フム、どうやら『力』の試練を突破したみたいじゃの」
どこからともなく老女の声が響いて来た。
「では一度戻って来い」
老女がそう言った瞬間、辺りが目映い光に包まれた。思わず4人は目を瞑ってしまった。そして再び目を開けた時には、元の場所に戻っていた。
「さて、次の試練はどれにする?」
老女がそう言って残り2つの試練を指差す。
「どれにする?」
「私は『知』の試練に挑戦してみたいわ」
「わたくしもです。少し疲れましたんで、次はあまり動きたくないですわね」
「お腹空いた...」
「フウカは放っておいて、アタシも『知』でいいけど、多分アタシとフウカは頼りにならんと思う。それでもいいか?」
「構わないわ。あなた達は休んでいて」
「どうやら『知』の試練に決まったようじゃの」
そう言って老女は『知の試練の間』に通じる注連縄を消した。
「要領は『力』の試練と同じじゃ。まぁせいぜい頑張ることじゃな。ヒッヒッヒ」
「じゃあ行きましょうか」
4人は『知の試練の間』に歩を進めた。
◇◇◇
『知の試練の間』は不思議な空間だった。
4人の前には何やらパネルのような物が載った台が置いてあり、その周りにまるで四角いボタンのようになった床が広がっている。
「なんだこりゃ?」
カレンが首を捻る。
「見て。パネルに何か文字が書いてあるわ」
『正しき道を歩めば道は開かれん
入学式の時からあなたが好き
愛しいこの気持ちをあなたに
私は変になりそうなのにでも
あなたに伝わらない午後なの
とにかく惚れぼれ惚れまくり
N
W E
S』
「...なんじゃこりゃ?」
「恐らく暗号なんだと思いますわ」
「暗号? ボクは全然分からないよ~」
「......」
4人はしばらく沈黙した。やがてミレイが何か気付いたようだ。
「分かりましたわ!」
「本当か!?」
カレンが飛び付く。
「えぇ! 最初の文字を見て下さいまし!」
「最初のって『入学式』の部分か?」
「そうです。最初の文字は『に』ですわよね?」
「あぁ、そうだな」
「そこから一文字ずつ斜めにズラして読んで行くとどうなります?」
「え~と...二行目が『し』だろ。三行目が『へ』。四行目が『に』。最後が『ほ』か」
「続けて読むと?」
「え~と...『にしへにほ』...西へ二歩か! ミレイ、お前天才か!?」
「凄いやミレイ!」
脳筋コンビが手放しで称える。
「いえいえ、それ程でもありませんわ。ホホホ」
ミレイも満更では無さそうだ。
「じゃあこのボタンみたいになっている床を西へ二歩進めばいいんだな? 西ってどっちだ?」
「ちょっと待って!」
その時、今まで沈黙していたシイナが叫んだ。
どこからともなく老女の声が響いて来た。
「では一度戻って来い」
老女がそう言った瞬間、辺りが目映い光に包まれた。思わず4人は目を瞑ってしまった。そして再び目を開けた時には、元の場所に戻っていた。
「さて、次の試練はどれにする?」
老女がそう言って残り2つの試練を指差す。
「どれにする?」
「私は『知』の試練に挑戦してみたいわ」
「わたくしもです。少し疲れましたんで、次はあまり動きたくないですわね」
「お腹空いた...」
「フウカは放っておいて、アタシも『知』でいいけど、多分アタシとフウカは頼りにならんと思う。それでもいいか?」
「構わないわ。あなた達は休んでいて」
「どうやら『知』の試練に決まったようじゃの」
そう言って老女は『知の試練の間』に通じる注連縄を消した。
「要領は『力』の試練と同じじゃ。まぁせいぜい頑張ることじゃな。ヒッヒッヒ」
「じゃあ行きましょうか」
4人は『知の試練の間』に歩を進めた。
◇◇◇
『知の試練の間』は不思議な空間だった。
4人の前には何やらパネルのような物が載った台が置いてあり、その周りにまるで四角いボタンのようになった床が広がっている。
「なんだこりゃ?」
カレンが首を捻る。
「見て。パネルに何か文字が書いてあるわ」
『正しき道を歩めば道は開かれん
入学式の時からあなたが好き
愛しいこの気持ちをあなたに
私は変になりそうなのにでも
あなたに伝わらない午後なの
とにかく惚れぼれ惚れまくり
N
W E
S』
「...なんじゃこりゃ?」
「恐らく暗号なんだと思いますわ」
「暗号? ボクは全然分からないよ~」
「......」
4人はしばらく沈黙した。やがてミレイが何か気付いたようだ。
「分かりましたわ!」
「本当か!?」
カレンが飛び付く。
「えぇ! 最初の文字を見て下さいまし!」
「最初のって『入学式』の部分か?」
「そうです。最初の文字は『に』ですわよね?」
「あぁ、そうだな」
「そこから一文字ずつ斜めにズラして読んで行くとどうなります?」
「え~と...二行目が『し』だろ。三行目が『へ』。四行目が『に』。最後が『ほ』か」
「続けて読むと?」
「え~と...『にしへにほ』...西へ二歩か! ミレイ、お前天才か!?」
「凄いやミレイ!」
脳筋コンビが手放しで称える。
「いえいえ、それ程でもありませんわ。ホホホ」
ミレイも満更では無さそうだ。
「じゃあこのボタンみたいになっている床を西へ二歩進めばいいんだな? 西ってどっちだ?」
「ちょっと待って!」
その時、今まで沈黙していたシイナが叫んだ。
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