ようこそ、追放村へ!~冤罪で婚約破棄され国外追放された4人の令嬢達

真理亜

文字の大きさ
12 / 23

12

しおりを挟む
「それだと矛盾している部分があるわ」

「矛盾!? どの辺りがですの!?」

 自分の説を否定されたのが癪に障ったのかミレイが気色ばむ。

「文字数よ」

「文字数!?」

「えぇ、二行目を見てみて? 漢字が混ざってるから分かり辛いけど、二文字目は『し』じゃないでしょう?」

「あっ! た、確かに...」

 ミレイが愕然とする。

「二文字目は...『と』ですわね...」

「でしょう? そうなると意味を成さなくなるわ」

「でもだったら...この暗号はどうやって解けば...」

 ミレイは首を捻りながらブツブツ呟き出した。

「ミレイ、落ち着いて。アプローチの仕方は間違ってないと思う。方角を示す文が隠れているのは確実なのよ。そこで私の意見を聞いて頂戴」

 そう言ってシイナは、パネルに書いてある一行目の文字の末尾を指差す。

「やり方はミレイのものとほぼ同じよ。逆になっただけ。最初の文字は『き』。次は二行目の一文字前にズレて『た』。その次は三行目のまた一文字前にズレて『に』。この要領で進んで行くとどうなる?」

「え~と...四行目が『ご』。最後が『ほ』...全部合わせると『きたにごほ』...北に五歩ですのね! 凄いですわ、シイナさん! 天才とはあなたのことですわね!」

 ミレイが興奮して叫ぶ。

「いやいや、私はミレイのを参考にしただけだから。先に気付いたミレイの方が凄いよ」

「アタシらにしてみりゃどっちも凄いけどな...」

「二人とも天才だよ!」

 脳筋コンビが称賛する。

「だが方角は分かったとして、どっちが北なんだ? それが分からないと進みようがねぇよな?」

 カレンが冷静に指摘する。

「あぁ、それなら下に書いてあるアルファベットを見てみて?」

 そう言ってシイナが指差す。

「これ方位記号になってるのよ。Nは北、Sは南、Wは西、Eは東っていう具合に。北に五歩だからあっちね」

「凄い! シイナ! やっぱお前天才だよ!」

「シイナさん! 一生付いて行きますわ!」

「シイナ! カッコ良い!」

 三人が誉めまくる。

「も、もう止めてよ...大袈裟よ...」

 シイナは照れて真っ赤になってしまった。

「良し! じゃあ行くか!」

 カレンが北の方向にあるボタン形の床に一歩踏み出そうとする。

「待ってカレン! 全員手を繋いで一緒に行きましょう!」

「なるほど、それもそうだな。一緒に行こう。まずは一歩目」 

 そうやって全員で進んで行った。

「良し、これで最後だ。五歩目」

 全員が五歩目を踏み出した途端、辺りが目映い光に包まれた。

 思わず全員が目を瞑った。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

だから聖女はいなくなった

澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
「聖女ラティアーナよ。君との婚約を破棄することをここに宣言する」 レオンクル王国の王太子であるキンバリーが婚約破棄を告げた相手は聖女ラティアーナである。 彼女はその婚約破棄を黙って受け入れた。さらに彼女は、新たにキンバリーと婚約したアイニスに聖女の証である首飾りを手渡すと姿を消した。 だが、ラティアーナがいなくなってから彼女のありがたみに気づいたキンバリーだが、すでにその姿はどこにもない。 キンバリーの弟であるサディアスが、兄のためにもラティアーナを探し始める。だが、彼女を探していくうちに、なぜ彼女がキンバリーとの婚約破棄を受け入れ、聖女という地位を退いたのかの理由を知る――。 ※7万字程度の中編です。

使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます

腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった! 私が死ぬまでには完結させます。 追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。

【完結】義姉上が悪役令嬢だと!?ふざけるな!姉を貶めたお前達を絶対に許さない!!

つくも茄子
ファンタジー
義姉は王家とこの国に殺された。 冤罪に末に毒杯だ。公爵令嬢である義姉上に対してこの仕打ち。笑顔の王太子夫妻が憎い。嘘の供述をした連中を許さない。我が子可愛さに隠蔽した国王。実の娘を信じなかった義父。 全ての復讐を終えたミゲルは義姉の墓前で報告をした直後に世界が歪む。目を覚ますとそこには亡くなった義姉の姿があった。過去に巻き戻った事を知ったミゲルは今度こそ義姉を守るために行動する。 巻き戻った世界は同じようで違う。その違いは吉とでるか凶とでるか……。

婚約破棄ですか???実家からちょうど帰ってこいと言われたので好都合です!!!これからは復讐をします!!!~どこにでもある普通の令嬢物語~

tartan321
恋愛
婚約破棄とはなかなか考えたものでございますね。しかしながら、私はもう帰って来いと言われてしまいました。ですから、帰ることにします。これで、あなた様の口うるさい両親や、その他の家族の皆様とも顔を合わせることがないのですね。ラッキーです!!! 壮大なストーリーで奏でる、感動的なファンタジーアドベンチャーです!!!!!最後の涙の理由とは??? 一度完結といたしました。続編は引き続き書きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

追放したんでしょ?楽しく暮らしてるのでほっといて

だましだまし
ファンタジー
私たちの未来の王子妃を影なり日向なりと支える為に存在している。 敬愛する侯爵令嬢ディボラ様の為に切磋琢磨し、鼓舞し合い、己を磨いてきた。 決して追放に備えていた訳では無いのよ?

宮廷から追放された聖女の回復魔法は最強でした。後から戻って来いと言われても今更遅いです

ダイナイ
ファンタジー
「お前が聖女だな、お前はいらないからクビだ」 宮廷に派遣されていた聖女メアリーは、お金の無駄だお前の代わりはいくらでもいるから、と宮廷を追放されてしまった。 聖国から王国に派遣されていた聖女は、この先どうしようか迷ってしまう。とりあえず、冒険者が集まる都市に行って仕事をしようと考えた。 しかし聖女は自分の回復魔法が異常であることを知らなかった。 冒険者都市に行った聖女は、自分の回復魔法が周囲に知られて大変なことになってしまう。

追放された私の代わりに入った女、三日で国を滅ぼしたらしいですよ?

タマ マコト
ファンタジー
王国直属の宮廷魔導師・セレス・アルトレイン。 白銀の髪に琥珀の瞳を持つ、稀代の天才。 しかし、その才能はあまりに“美しすぎた”。 王妃リディアの嫉妬。 王太子レオンの盲信。 そして、セレスを庇うはずだった上官の沈黙。 「あなたの魔法は冷たい。心がこもっていないわ」 そう言われ、セレスは**『無能』の烙印**を押され、王国から追放される。 彼女はただ一言だけ残した。 「――この国の炎は、三日で尽きるでしょう。」 誰もそれを脅しとは受け取らなかった。 だがそれは、彼女が未来を見通す“預言魔法”の言葉だったのだ。

【完結】姉は聖女? ええ、でも私は白魔導士なので支援するぐらいしか取り柄がありません。

猫屋敷 むぎ
ファンタジー
誰もが憧れる勇者と最強の騎士が恋したのは聖女。それは私ではなく、姉でした。 復活した魔王に侯爵領を奪われ没落した私たち姉妹。そして、誰からも愛される姉アリシアは神の祝福を受け聖女となり、私セレナは支援魔法しか取り柄のない白魔導士のまま。 やがてヴァルミエール国王の王命により結成された勇者パーティは、 勇者、騎士、聖女、エルフの弓使い――そして“おまけ”の私。 過去の恋、未来の恋、政略婚に揺れ動く姉を見つめながら、ようやく私の役割を自覚し始めた頃――。 魔王城へと北上する魔王討伐軍と共に歩む勇者パーティは、 四人の魔将との邂逅、秘められた真実、そしてそれぞれの試練を迎え――。 輝く三人の恋と友情を“すぐ隣で見つめるだけ”の「聖女の妹」でしかなかった私。 けれど魔王討伐の旅路の中で、“仲間を支えるとは何か”に気付き、 やがて――“本当の自分”を見つけていく――。 そんな、ちょっぴり切ない恋と友情と姉妹愛、そして私の成長の物語です。 ※本作の章構成:  第一章:アカデミー&聖女覚醒編  第二章:勇者パーティ結成&魔王討伐軍北上編  第三章:帰郷&魔将・魔王決戦編 ※「小説家になろう」にも掲載(異世界転生・恋愛12位) ※ アルファポリス完結ファンタジー8位。応援ありがとうございます。

処理中です...