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第14話 ミナ視点 後日談
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あの後は大変だったよ...いやマジで...
最初はさ、皆が迎えに来てくれたのが嬉しくて、泣いて、抱き合って、喜んでたんだよ。んでもってさ、少し落ち着いて冷静になってみて、ふと気付いたんだわ。そう、この状況に。
あれ? これってマズいんじゃね?
本当のこと話したりしたら、大変なことになるんじゃね?
誤魔化そう! でもどうやって誤魔化す?...
そうだ! いっそのこと記憶喪失キャラでイケばっ!?
「わたしぃ~ 何が起きたか全然分かんないんですぅ~ 気が付いたらぁ~ ここに居たんですぅ~ テヘペロ~♪」
よし、これでイケる! ちょっとバカっぽくやれば誤魔化せそう!
なんて思っていた時期が私にもありました...
そう、アタシの目論見を全てぶっ潰してくれたのは、今も頭の上にプカプカ浮いてるコイツ...ゲフンゲフン、もとい精霊王様ね。
もうね、アタシが止める間も無く全てを語ってくれやがりましたよ! なんだったら1000年前のことまでもペラペラペラペラとまあ立て板に水の如くね!
どうなったか分かる? もうパニックだよ! 校外学習どころじゃなくなったよ! すぐさま学園にリターンだよ! 飛行船の旅はまた楽しかったよ!
そんでもって次は休む間も無く王宮に連れていかれて、そこでも洗いざらい白状させられて...まぁ主に精霊王様が話してたんだけどね。その結果、どうなったかと言うと...
はい、時の人になりましたよ...アタシは『精霊の愛し子』なんだってさ...
◇◇◇
今でもまだ昨日のことのように思い出すよ...いきなり王宮に呼ばれて真っ青になってる両親の顔を...そりゃね、急に呼び出されて自分の娘が『精霊の愛し子』なんだって言われても戸惑うしかないよねぇ...なんかゴメン...
謁見の間には国王、王妃両陛下に加え、王族一同揃い踏み。オマケに各閣僚のお歴々まで勢揃いとあっちゃ、ウチみたいな平凡子爵にゃ荷が重すぎて、卒倒してもおかしくないよね。いや、ホント、マジでゴメン...
あ、でも久し振りに可愛い弟の顔が見れたのは嬉しかったよ。今年10歳になる弟は既にアタシの身長越えてるけどね...い、いや、これは姉として弟の成長を素直に喜ぶべきで、か、悲しくなんかないんだからね...弟がアタシの頭を撫でようとしたのは全力で振り払ったけどな!
王族一家はアルベルト殿下以外、アタシも今日初めて見るけど国王様はイケオジって感じ。王妃様は子供三人も生んだと思えないくらい若くてキレイ。第一王子殿下はアルベルト殿下にそっくりだね。四歳年上だっていうから19歳か。もうすぐ結婚するらしい。
第一王女殿下は弟と同じ10歳。うん、とても可愛らしい。身長は...大丈夫、まだアタシが勝ってる!...だから悲しくないんだったら! あと弟よ! 王女が可愛いからってモーション掛けようとすんなっ! 不敬だろっ!
そんなこんなで顔合わせも終わり、アタシの処遇に関する話になった。国としてはアタシを保護する意味でも王宮に住まわせたいと言ってきたが、アタシは全力で断った。
ヤダよ、こんな息苦しい所! 鳥籠の中に閉じ込められるようなもんじゃん? 学園だって通いたいしさ。それを聞いた両親の顔は真っ青通り越して真っ白になっていたが、悪いけど構ってられない。
最終的には精霊王様の「愛し子の望むままに」という一言でアタシの言い分が通った。国のお偉方はがっかりしてたようだけど知ったこっちゃない。それならばせめて護衛を! と言われたのでそれも断ろうと思ったけど、影から見張るって言われたんでそれならとOKした。
結局の所、アタシの生活は今まで通り、頭の上にプカプカ浮いてるのを除いて何も変わらない...はずだった...
◇◇◇
「お早うございます。ミナお嬢様」
目を覚ましたらそこには銀髪の美少女が居た。
この娘はマリー。アタシの専属メイドだ。ただのメイドじゃない。所謂「戦闘メイド」ってヤツで、アタシのボディーガードも兼ねてる。年齢は19歳。元はさる高位な貴族に仕えていたらしい。守秘義務があるらしく、どこに仕えてたのかは教えて貰えなかった。
いやまあ確かに護衛は認めたよ? 影から見張るっていうからさ。でもそれは男の護衛だから女しか入れない所とかは完全にカバーし切れない。だから女の護衛も必要だってことで押し付けられたんだよね。
最初は断ろうと思ったんだけど、シャロン様に「これから社交の場に出る機会も多くなるからメイドは必要」って言われたんだよね。確かに、アタシ一人じゃドレスも着れないもんね。
まぁこんな美少女にお嬢様って呼ばれるのも悪くないかな。輝くような銀髪に碧い瞳。人形のように整った顔立にスラリとした長身。立ち姿は隙がなくまるでメイドのお手本みたい。いやぁ眼福ですな~
毎朝こうやって起こしてくれて、朝食の用意や着替えの手伝いから髪のセットまでと、まさに至れり尽くせりって感じ? いやぁこれはダメ人間になりそうだよね~
ただなぁ、お風呂だけは一人で入りたいんだけど「職務ですから」って聞いてくれないんだよね~ まぁシャロン様みたいに鼻血出しながら息も荒くなってるって感じじゃないからまだマシなんだけど。恥ずかしいのは変わらないし。
あとなんかマリーの洗い方がなんとなく敏感な部分に集中してるような? 気のせいだよね? マリーの表情変わって無いし。マリーは基本無表情なんだよね。ウチに来て一週間になるけど笑った顔見たことないかも。
その内、笑顔を見せてくれるようになったらいいな。
あ、そうそう、マリーってば完璧そうに見えてたまにドジ踏むんだよね。アタシの下着を洗濯する時、間違って破いちゃったりするんだって。そんな時はアタシに新品の下着を出してくれるんだけど、ドジっ娘属性まで持ってるって凄いよね!
あ、ちなみにサラシは体に良くないってことで回収されました。まぁ仕方無いかな。
◇◇◇
「ミナさん、お早うございます」
「シャロン様、お早うございます」
「ミナ、おはよー」
「シルフもおはよー」
これも変わった光景の一つだ。学園内に使用人は入れない為、マリーは連いて来れない。なるべくアタシを一人にしないよう、朝はシャロン様と一緒に通学する。
ちなみに三人目の声はシャロン様の守護精霊である風のシルフの声だ。実体化してシャロン様の肩に乗ってる。透明な四枚の羽を持つ、精霊っていうより妖精のような手の平サイズの美少女だ。
あのダンジョンの試練を乗り越えた四人には、精霊王様から特別な加護を与えられた。それぞれの得意属性に合わせた精霊から加護を与えて貰えるようになったんだ。
シャロン様は風の精霊シルフ、アルベルト殿下は火の精霊イフリート、エリオットは水の精霊ウンディーネ、シルベスターはバランスを考えて土の精霊ノームを選んだ。
この四人にアタシを合わせた五人は『精霊の愛し子隊』って呼ばれてる。どんなアイドルグループだよっ!? って思ったけど、まぁアイドルみたいなもんかもね。
実際、アタシ達五人が集まると、その周りは精霊だらけになるから、恐れ多いのか誰も近付いて来ないんだよね。遠巻きに見てるだけ。まぁ無理もないか。
◇◇◇
「ミナ、お早う」
「エリオット、お早う」
「ミナ~ おはよ~」
「ウンディーネ、お早う」
クラスの違うシャロン様と別れて教室に入ると、ここからはエリオットの担当になる。水の精霊ウンディーネはちょっとエロい。着物を着崩したような格好で、やたら露出が多い。それがエリオットの肩の上に乗っている光景はなかなか慣れない。
最初の頃、いくら手の平サイズとはいえ、ウンディーネのエロい格好に赤面していたエリオットだが、こちらはやっと慣れたらしい。普通にしている...ように見えたけど、良く見たら耳がやや赤いな。まだまだ修行が足りん?
「は~い、席に着いて~ 授業始めるわよ~」
数学の変態女教師がやって来た。相変わらずキモい。
「は~い、じゃ~ この問題を~ ミナさ~ん、前に出て解いてね~」
また黒板の上の方に書きやがったなっ! 懲りない変態めっ! しかもそれ微分積分じゃねぇか!? どっから仕入れた知識だよ!? 世界観壊してねぇか!?
「イライザ先生、それはまだ習ってないと思いますが...」
「あらぁ~ さすがのミナさんでも~ 解けないのかしら~?」
上等だ! 理数系女子の底力見せてくれるわっ!
「d/dx x^2 y^4, d/dy x^2 y^4...」
「あ~ん、いけず~」
◇◇◇
お昼休み、いつものメンバーで集まる。皆の注目の的だ。
「よう、ミナ。今日も変わりなかったか?」
「えぇ、アルベルト殿下。特に何も」
「...」
火の精霊イフリートは基本喋らない。ライオンをそのまま小さくして手の平サイズにした感じで、ちゃんと鬣もある。まぁ猫とあんま変わんないけど。
アルベルト殿下は猫派なんだそうで相性も良さそうだね。
「ミナ、こんにちは」
「シルベスター、こんにちは」
「ミナ~ ぼくも居るよ~」
「ノームもこんにちは」
シルベスターも一緒にお昼を取ることにした。もうとっくに蟠りは無い。ちなみにスライって呼ぶのは二人っきりの時だけにした。周りが五月蝿いからね。
土の精霊ノームは某指輪の物語に出てくるホビットみたいな元気な男の子だ。
これが今のアタシの日常だ。
前世の記憶が蘇り、ここが乙女ゲームの世界だと知った。その中で、自分はモブでさえないことも分かった。当然、ゲームの展開に関わる気なんかなかったのに...何故かこうしてガッツリ関わってる。ヒロインでもないのに...まだヒロイン登場すらしてないのに...
久々に叫んでいいかな?
なにがどーしてこーなったぁぁぁ!?
最初はさ、皆が迎えに来てくれたのが嬉しくて、泣いて、抱き合って、喜んでたんだよ。んでもってさ、少し落ち着いて冷静になってみて、ふと気付いたんだわ。そう、この状況に。
あれ? これってマズいんじゃね?
本当のこと話したりしたら、大変なことになるんじゃね?
誤魔化そう! でもどうやって誤魔化す?...
そうだ! いっそのこと記憶喪失キャラでイケばっ!?
「わたしぃ~ 何が起きたか全然分かんないんですぅ~ 気が付いたらぁ~ ここに居たんですぅ~ テヘペロ~♪」
よし、これでイケる! ちょっとバカっぽくやれば誤魔化せそう!
なんて思っていた時期が私にもありました...
そう、アタシの目論見を全てぶっ潰してくれたのは、今も頭の上にプカプカ浮いてるコイツ...ゲフンゲフン、もとい精霊王様ね。
もうね、アタシが止める間も無く全てを語ってくれやがりましたよ! なんだったら1000年前のことまでもペラペラペラペラとまあ立て板に水の如くね!
どうなったか分かる? もうパニックだよ! 校外学習どころじゃなくなったよ! すぐさま学園にリターンだよ! 飛行船の旅はまた楽しかったよ!
そんでもって次は休む間も無く王宮に連れていかれて、そこでも洗いざらい白状させられて...まぁ主に精霊王様が話してたんだけどね。その結果、どうなったかと言うと...
はい、時の人になりましたよ...アタシは『精霊の愛し子』なんだってさ...
◇◇◇
今でもまだ昨日のことのように思い出すよ...いきなり王宮に呼ばれて真っ青になってる両親の顔を...そりゃね、急に呼び出されて自分の娘が『精霊の愛し子』なんだって言われても戸惑うしかないよねぇ...なんかゴメン...
謁見の間には国王、王妃両陛下に加え、王族一同揃い踏み。オマケに各閣僚のお歴々まで勢揃いとあっちゃ、ウチみたいな平凡子爵にゃ荷が重すぎて、卒倒してもおかしくないよね。いや、ホント、マジでゴメン...
あ、でも久し振りに可愛い弟の顔が見れたのは嬉しかったよ。今年10歳になる弟は既にアタシの身長越えてるけどね...い、いや、これは姉として弟の成長を素直に喜ぶべきで、か、悲しくなんかないんだからね...弟がアタシの頭を撫でようとしたのは全力で振り払ったけどな!
王族一家はアルベルト殿下以外、アタシも今日初めて見るけど国王様はイケオジって感じ。王妃様は子供三人も生んだと思えないくらい若くてキレイ。第一王子殿下はアルベルト殿下にそっくりだね。四歳年上だっていうから19歳か。もうすぐ結婚するらしい。
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そんなこんなで顔合わせも終わり、アタシの処遇に関する話になった。国としてはアタシを保護する意味でも王宮に住まわせたいと言ってきたが、アタシは全力で断った。
ヤダよ、こんな息苦しい所! 鳥籠の中に閉じ込められるようなもんじゃん? 学園だって通いたいしさ。それを聞いた両親の顔は真っ青通り越して真っ白になっていたが、悪いけど構ってられない。
最終的には精霊王様の「愛し子の望むままに」という一言でアタシの言い分が通った。国のお偉方はがっかりしてたようだけど知ったこっちゃない。それならばせめて護衛を! と言われたのでそれも断ろうと思ったけど、影から見張るって言われたんでそれならとOKした。
結局の所、アタシの生活は今まで通り、頭の上にプカプカ浮いてるのを除いて何も変わらない...はずだった...
◇◇◇
「お早うございます。ミナお嬢様」
目を覚ましたらそこには銀髪の美少女が居た。
この娘はマリー。アタシの専属メイドだ。ただのメイドじゃない。所謂「戦闘メイド」ってヤツで、アタシのボディーガードも兼ねてる。年齢は19歳。元はさる高位な貴族に仕えていたらしい。守秘義務があるらしく、どこに仕えてたのかは教えて貰えなかった。
いやまあ確かに護衛は認めたよ? 影から見張るっていうからさ。でもそれは男の護衛だから女しか入れない所とかは完全にカバーし切れない。だから女の護衛も必要だってことで押し付けられたんだよね。
最初は断ろうと思ったんだけど、シャロン様に「これから社交の場に出る機会も多くなるからメイドは必要」って言われたんだよね。確かに、アタシ一人じゃドレスも着れないもんね。
まぁこんな美少女にお嬢様って呼ばれるのも悪くないかな。輝くような銀髪に碧い瞳。人形のように整った顔立にスラリとした長身。立ち姿は隙がなくまるでメイドのお手本みたい。いやぁ眼福ですな~
毎朝こうやって起こしてくれて、朝食の用意や着替えの手伝いから髪のセットまでと、まさに至れり尽くせりって感じ? いやぁこれはダメ人間になりそうだよね~
ただなぁ、お風呂だけは一人で入りたいんだけど「職務ですから」って聞いてくれないんだよね~ まぁシャロン様みたいに鼻血出しながら息も荒くなってるって感じじゃないからまだマシなんだけど。恥ずかしいのは変わらないし。
あとなんかマリーの洗い方がなんとなく敏感な部分に集中してるような? 気のせいだよね? マリーの表情変わって無いし。マリーは基本無表情なんだよね。ウチに来て一週間になるけど笑った顔見たことないかも。
その内、笑顔を見せてくれるようになったらいいな。
あ、そうそう、マリーってば完璧そうに見えてたまにドジ踏むんだよね。アタシの下着を洗濯する時、間違って破いちゃったりするんだって。そんな時はアタシに新品の下着を出してくれるんだけど、ドジっ娘属性まで持ってるって凄いよね!
あ、ちなみにサラシは体に良くないってことで回収されました。まぁ仕方無いかな。
◇◇◇
「ミナさん、お早うございます」
「シャロン様、お早うございます」
「ミナ、おはよー」
「シルフもおはよー」
これも変わった光景の一つだ。学園内に使用人は入れない為、マリーは連いて来れない。なるべくアタシを一人にしないよう、朝はシャロン様と一緒に通学する。
ちなみに三人目の声はシャロン様の守護精霊である風のシルフの声だ。実体化してシャロン様の肩に乗ってる。透明な四枚の羽を持つ、精霊っていうより妖精のような手の平サイズの美少女だ。
あのダンジョンの試練を乗り越えた四人には、精霊王様から特別な加護を与えられた。それぞれの得意属性に合わせた精霊から加護を与えて貰えるようになったんだ。
シャロン様は風の精霊シルフ、アルベルト殿下は火の精霊イフリート、エリオットは水の精霊ウンディーネ、シルベスターはバランスを考えて土の精霊ノームを選んだ。
この四人にアタシを合わせた五人は『精霊の愛し子隊』って呼ばれてる。どんなアイドルグループだよっ!? って思ったけど、まぁアイドルみたいなもんかもね。
実際、アタシ達五人が集まると、その周りは精霊だらけになるから、恐れ多いのか誰も近付いて来ないんだよね。遠巻きに見てるだけ。まぁ無理もないか。
◇◇◇
「ミナ、お早う」
「エリオット、お早う」
「ミナ~ おはよ~」
「ウンディーネ、お早う」
クラスの違うシャロン様と別れて教室に入ると、ここからはエリオットの担当になる。水の精霊ウンディーネはちょっとエロい。着物を着崩したような格好で、やたら露出が多い。それがエリオットの肩の上に乗っている光景はなかなか慣れない。
最初の頃、いくら手の平サイズとはいえ、ウンディーネのエロい格好に赤面していたエリオットだが、こちらはやっと慣れたらしい。普通にしている...ように見えたけど、良く見たら耳がやや赤いな。まだまだ修行が足りん?
「は~い、席に着いて~ 授業始めるわよ~」
数学の変態女教師がやって来た。相変わらずキモい。
「は~い、じゃ~ この問題を~ ミナさ~ん、前に出て解いてね~」
また黒板の上の方に書きやがったなっ! 懲りない変態めっ! しかもそれ微分積分じゃねぇか!? どっから仕入れた知識だよ!? 世界観壊してねぇか!?
「イライザ先生、それはまだ習ってないと思いますが...」
「あらぁ~ さすがのミナさんでも~ 解けないのかしら~?」
上等だ! 理数系女子の底力見せてくれるわっ!
「d/dx x^2 y^4, d/dy x^2 y^4...」
「あ~ん、いけず~」
◇◇◇
お昼休み、いつものメンバーで集まる。皆の注目の的だ。
「よう、ミナ。今日も変わりなかったか?」
「えぇ、アルベルト殿下。特に何も」
「...」
火の精霊イフリートは基本喋らない。ライオンをそのまま小さくして手の平サイズにした感じで、ちゃんと鬣もある。まぁ猫とあんま変わんないけど。
アルベルト殿下は猫派なんだそうで相性も良さそうだね。
「ミナ、こんにちは」
「シルベスター、こんにちは」
「ミナ~ ぼくも居るよ~」
「ノームもこんにちは」
シルベスターも一緒にお昼を取ることにした。もうとっくに蟠りは無い。ちなみにスライって呼ぶのは二人っきりの時だけにした。周りが五月蝿いからね。
土の精霊ノームは某指輪の物語に出てくるホビットみたいな元気な男の子だ。
これが今のアタシの日常だ。
前世の記憶が蘇り、ここが乙女ゲームの世界だと知った。その中で、自分はモブでさえないことも分かった。当然、ゲームの展開に関わる気なんかなかったのに...何故かこうしてガッツリ関わってる。ヒロインでもないのに...まだヒロイン登場すらしてないのに...
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