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第40話 閑話 ミナ信者の作り方
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これはアリシアがミナ信者となり、変態さん達の仲間入りを果たすキッカケになったお話。
その日、アリシアはいつもようにのミナの部屋へ遊びに来ていた。お互いが転生者であることを打ち明け合って以来、毎日ミナの所で他愛も無い話をして過ごしている。
もちろん、マリーが側に居る時は前世云々の話はしないようにちゃんと心掛けている。そんなちょっとした緊張感が、秘密を共有している同士みたいに感じられて、ミナと一緒に居る時はとても楽しい。
そして何よりミナは可愛い。前世では一人っ子だったこともあり、兄妹、姉弟、姉妹と言った関係に憧れていた。こんな可愛い妹が居たら最高だろうなぁと思っていた。
もっとも、前世の年齢を加味すれば、ミナの方が遥かに歳上になるのだが、アリシアは今生きているこの時を大事にしているので、そんなことは関係なかった。
「あ、いっけない。忘れ物」
ミナの部屋を後にしてすぐ、ノートを忘れたことに気付いた。今日はミナに勉強を教わっていたのだ。
「ごめん、ミナ、忘れ物を!?...」
ドアをノックもしないで開けたアリシアも悪いが、それよりも目にした光景に目を奪われた。
「ペロペロ、チュパチュパ、ゴクゴク、ゴックン」
ミナが飲み残した紅茶のカップをマリーが舐め回し、残った紅茶を美味しそうに飲んで恍惚の表情を浮かべていたからだ。そしてアリシアに気付いたマリーと目が合った。
「あぅ...」
普段、表情を全く変えないマリーが、驚愕の表情を浮かべ、声にならない悲鳴を上げて固まった。
「アリシア~? ごめ~ん、今トイレ~」
ミナの声がトイレから響いて我に返ったアリシアは、
「あ、あぁ、うん。大丈夫。ノートを忘れただけ。だから気にしないで...」
まだ呆然としたままのマリーを置いて、そそくさと部屋に戻った。
◇◇◇
その日の夜遅く、マリーがコッソリとアリシアの部屋を訪ねて来た。
「......」
なかなか話し出さないマリーに取り敢えず紅茶を勧める。
「どうぞ。マリーさんが淹れた紅茶よりは美味しくは無いと思うけど」
「...ありがとうございます...その...今日の件はどうかご内密に...」
紅茶を一口飲んだマリーは、やっと口を開いた。最初はシャロンの指示でミナに仕えたこと、だがミナに会ってすぐにその魅力の虜になったこと、ミナの素晴らしさは天使のようだということを、堰を切ったかの如く懇懇と語り始めた。そう、まるで信者が教祖を語るように。
最初は引いていたアリシアだったが、熱くミナの魅力を語るマリーの姿に次第と引き込まれて行った。思えばこれがミナ信者へと達するキッカケだったのだろう。
結局その日はマリーのお願い通り、他言しないことを約束して、この日はお開きになった。ベッドに入ったアリシアは悶々としてなかなか寝付けなかった。
◆◆◆
その後、マリーとはミナの部屋で顔を合わす度にミナのことを語り合うような仲になった。だがまだこの時点では、アリシアはミナと普通に相対しているつもりでいた。
ただ、ふとしたミナの仕種や表情を目で追っている自分に気付いた。そして決定的だったのが舞踏会の日だ。
普段と違い、可愛いらしいピンクのドレスを纏ったミナの姿に一瞬で見惚れた。髪をポニーテールに纏めたミナの項にドキッとした。そう、まるで恋する乙女のように。傍らに立つマリーも恍惚の表情を浮かべていた。
その前の日、ナケナシの勇気を振り絞って、前世のイチオシであるエリオットに舞踏会でのパートナーを申し込んだ時のドキドキはすっかり冷めていた。今はミナのことだけで頭が一杯になった。
パートナーであるエリオットも、そしてミナのパートナーを務めるシルベスターも、自分と同じような目をしてミナを見詰めていることに気付いた。
あぁ、ミナの虜になったのは自分だけじゃないんだとアリシアは確信した。
ダンスを踊っている最中も、ミナを目で追っていた。パートナーであるシルベスターのことが心底羨ましかった。それはエリオットも同じだったようで気付けば二人の近くで踊っていた。
その後、アルベルトがミナを拉致った時は殺意が芽生えた。ドレスを着ていたが、構わず身体強化を掛けて追い掛けた。そして追い付いて叩きのめした。ミナを取り戻し優しく告げる。
「さ、ミナ。靴を脱いで。痛かったでしょう? ヒールを掛けてあげるわ」
「あ、あぁ、うん。それは有難いんだけど、殿下が...」
優しいミナはボロボロになったアルベルトのことを気にしているようだ。あんなバカ王子放っておけばいいのに。
「いいからいいから気にしないで。痛いのはここね?」
「あぁ、うん。でも殿下が...」
やっと追い付いて来たシャロンが、更にボコボコにしているバカ王子なんて気にしなくていいのに。本当にミナは天使のように優しい子だなんだなと改めて思った夜だった。
◆◆◆
その後、マリーを介してシャロンとも交流を深めた。ミナの素晴らしさを語り合う仲間が増えたのは嬉しかった。同士という感じがした。
「フフッ、アリシアさんが加わってくれて嬉しいわ。これから楽しみましょうね」
「アリシア様は毎日、ミナお嬢様の元に来られます。もうすっかり同士ですね」
「まぁ、そうなの。羨ましいわ。私も王子妃教育が無ければ毎日一緒に居たいのに」
「え、えぇ、まぁ...その...よろしくお願いします...」
だが、コレクションと称してミナの使用済み下着を見せられた時は、前世のブルセラショップを思い出してさすがにドン引きした。
「あぁ、この香り~♪ 堪りませんわ~♪」
「ミナお嬢様~♪」
ヨダレを溢さんばかりに恍惚とした表情を浮かべる二人に恐怖すら覚えた...のだが、甘い香りに誘われてちょっとだけ吸ってみた。
「あぁ~♪」
アリシアが完全に墜ちた瞬間だった。
◆◆◆
墜ちたとはいえアリシアは、シャロンほど積極的にミナへアプローチをすることは躊躇われた。やはりまだ気恥ずかしさが先に立って「仲の良いお友達」という立ち位置に留まっていた。
寧ろ、毎日の着替えや入浴の補助をしているマリーが、良く理性を保っていられるなと感心しているくらいだ。そこら辺をマリーに聞いてみると一言、
「気合いです」
とのことだった。
だがあの温泉宿で火照ったミナの肢体を見た瞬間、アリシアの慎みもマリーの理性もふっ飛んだ。気が付けば、二人掛りでミナをたっぷりと堪能してしまった。
やっちまった! と思ったがもう遅い。涙目になったミナには、これから塩対応されることになるだろうが、アリシアは後悔していない。
そして今、アリシアの目の前にはシャロンとマリーが横たわっている。ミナの使用済み水着を巡る攻防戦は結局、話し合いや交渉では結論は出ず、最後は力業での勝負となった。
キャットファイトの末、勝利したアリシアが水着を勝ち取った訳だが、なんだろう、今まで戦って来たどんな魔獣よりも、この二人の方が強かった気がするのは。
「ウィィィンッ!」
アリシアは右手を高々と上げてガッツポーズした。水着を握り締めなから。
◆◆◆
そして今日もアリシアはミナの部屋へと向かう。マリーが笑顔で迎えてくれる。
「ミナ~♪」
「アゥッ!」
「だからアリシアっ! 何度も言わせんなっ! 抱き着いてくんなっ!」
ミナから受ける愛のムチ(透明になった土壁バリヤーに弾かれること)は今やご褒美だ。
「だって~♪ ミナが可愛いんだもん~♪」
「気色悪いわっ! 近付くなっ!」
「アゥッ!」
こうしてアリシアは、ミナ信者及び変態さん達への仲間入りを果たしたのだった。
その日、アリシアはいつもようにのミナの部屋へ遊びに来ていた。お互いが転生者であることを打ち明け合って以来、毎日ミナの所で他愛も無い話をして過ごしている。
もちろん、マリーが側に居る時は前世云々の話はしないようにちゃんと心掛けている。そんなちょっとした緊張感が、秘密を共有している同士みたいに感じられて、ミナと一緒に居る時はとても楽しい。
そして何よりミナは可愛い。前世では一人っ子だったこともあり、兄妹、姉弟、姉妹と言った関係に憧れていた。こんな可愛い妹が居たら最高だろうなぁと思っていた。
もっとも、前世の年齢を加味すれば、ミナの方が遥かに歳上になるのだが、アリシアは今生きているこの時を大事にしているので、そんなことは関係なかった。
「あ、いっけない。忘れ物」
ミナの部屋を後にしてすぐ、ノートを忘れたことに気付いた。今日はミナに勉強を教わっていたのだ。
「ごめん、ミナ、忘れ物を!?...」
ドアをノックもしないで開けたアリシアも悪いが、それよりも目にした光景に目を奪われた。
「ペロペロ、チュパチュパ、ゴクゴク、ゴックン」
ミナが飲み残した紅茶のカップをマリーが舐め回し、残った紅茶を美味しそうに飲んで恍惚の表情を浮かべていたからだ。そしてアリシアに気付いたマリーと目が合った。
「あぅ...」
普段、表情を全く変えないマリーが、驚愕の表情を浮かべ、声にならない悲鳴を上げて固まった。
「アリシア~? ごめ~ん、今トイレ~」
ミナの声がトイレから響いて我に返ったアリシアは、
「あ、あぁ、うん。大丈夫。ノートを忘れただけ。だから気にしないで...」
まだ呆然としたままのマリーを置いて、そそくさと部屋に戻った。
◇◇◇
その日の夜遅く、マリーがコッソリとアリシアの部屋を訪ねて来た。
「......」
なかなか話し出さないマリーに取り敢えず紅茶を勧める。
「どうぞ。マリーさんが淹れた紅茶よりは美味しくは無いと思うけど」
「...ありがとうございます...その...今日の件はどうかご内密に...」
紅茶を一口飲んだマリーは、やっと口を開いた。最初はシャロンの指示でミナに仕えたこと、だがミナに会ってすぐにその魅力の虜になったこと、ミナの素晴らしさは天使のようだということを、堰を切ったかの如く懇懇と語り始めた。そう、まるで信者が教祖を語るように。
最初は引いていたアリシアだったが、熱くミナの魅力を語るマリーの姿に次第と引き込まれて行った。思えばこれがミナ信者へと達するキッカケだったのだろう。
結局その日はマリーのお願い通り、他言しないことを約束して、この日はお開きになった。ベッドに入ったアリシアは悶々としてなかなか寝付けなかった。
◆◆◆
その後、マリーとはミナの部屋で顔を合わす度にミナのことを語り合うような仲になった。だがまだこの時点では、アリシアはミナと普通に相対しているつもりでいた。
ただ、ふとしたミナの仕種や表情を目で追っている自分に気付いた。そして決定的だったのが舞踏会の日だ。
普段と違い、可愛いらしいピンクのドレスを纏ったミナの姿に一瞬で見惚れた。髪をポニーテールに纏めたミナの項にドキッとした。そう、まるで恋する乙女のように。傍らに立つマリーも恍惚の表情を浮かべていた。
その前の日、ナケナシの勇気を振り絞って、前世のイチオシであるエリオットに舞踏会でのパートナーを申し込んだ時のドキドキはすっかり冷めていた。今はミナのことだけで頭が一杯になった。
パートナーであるエリオットも、そしてミナのパートナーを務めるシルベスターも、自分と同じような目をしてミナを見詰めていることに気付いた。
あぁ、ミナの虜になったのは自分だけじゃないんだとアリシアは確信した。
ダンスを踊っている最中も、ミナを目で追っていた。パートナーであるシルベスターのことが心底羨ましかった。それはエリオットも同じだったようで気付けば二人の近くで踊っていた。
その後、アルベルトがミナを拉致った時は殺意が芽生えた。ドレスを着ていたが、構わず身体強化を掛けて追い掛けた。そして追い付いて叩きのめした。ミナを取り戻し優しく告げる。
「さ、ミナ。靴を脱いで。痛かったでしょう? ヒールを掛けてあげるわ」
「あ、あぁ、うん。それは有難いんだけど、殿下が...」
優しいミナはボロボロになったアルベルトのことを気にしているようだ。あんなバカ王子放っておけばいいのに。
「いいからいいから気にしないで。痛いのはここね?」
「あぁ、うん。でも殿下が...」
やっと追い付いて来たシャロンが、更にボコボコにしているバカ王子なんて気にしなくていいのに。本当にミナは天使のように優しい子だなんだなと改めて思った夜だった。
◆◆◆
その後、マリーを介してシャロンとも交流を深めた。ミナの素晴らしさを語り合う仲間が増えたのは嬉しかった。同士という感じがした。
「フフッ、アリシアさんが加わってくれて嬉しいわ。これから楽しみましょうね」
「アリシア様は毎日、ミナお嬢様の元に来られます。もうすっかり同士ですね」
「まぁ、そうなの。羨ましいわ。私も王子妃教育が無ければ毎日一緒に居たいのに」
「え、えぇ、まぁ...その...よろしくお願いします...」
だが、コレクションと称してミナの使用済み下着を見せられた時は、前世のブルセラショップを思い出してさすがにドン引きした。
「あぁ、この香り~♪ 堪りませんわ~♪」
「ミナお嬢様~♪」
ヨダレを溢さんばかりに恍惚とした表情を浮かべる二人に恐怖すら覚えた...のだが、甘い香りに誘われてちょっとだけ吸ってみた。
「あぁ~♪」
アリシアが完全に墜ちた瞬間だった。
◆◆◆
墜ちたとはいえアリシアは、シャロンほど積極的にミナへアプローチをすることは躊躇われた。やはりまだ気恥ずかしさが先に立って「仲の良いお友達」という立ち位置に留まっていた。
寧ろ、毎日の着替えや入浴の補助をしているマリーが、良く理性を保っていられるなと感心しているくらいだ。そこら辺をマリーに聞いてみると一言、
「気合いです」
とのことだった。
だがあの温泉宿で火照ったミナの肢体を見た瞬間、アリシアの慎みもマリーの理性もふっ飛んだ。気が付けば、二人掛りでミナをたっぷりと堪能してしまった。
やっちまった! と思ったがもう遅い。涙目になったミナには、これから塩対応されることになるだろうが、アリシアは後悔していない。
そして今、アリシアの目の前にはシャロンとマリーが横たわっている。ミナの使用済み水着を巡る攻防戦は結局、話し合いや交渉では結論は出ず、最後は力業での勝負となった。
キャットファイトの末、勝利したアリシアが水着を勝ち取った訳だが、なんだろう、今まで戦って来たどんな魔獣よりも、この二人の方が強かった気がするのは。
「ウィィィンッ!」
アリシアは右手を高々と上げてガッツポーズした。水着を握り締めなから。
◆◆◆
そして今日もアリシアはミナの部屋へと向かう。マリーが笑顔で迎えてくれる。
「ミナ~♪」
「アゥッ!」
「だからアリシアっ! 何度も言わせんなっ! 抱き着いてくんなっ!」
ミナから受ける愛のムチ(透明になった土壁バリヤーに弾かれること)は今やご褒美だ。
「だって~♪ ミナが可愛いんだもん~♪」
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