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第47話 ちみっこと水竜の卵 その3
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結局、嫌々ながらも依頼を受けることにした。
ヒルダさんに告げると「ありがとう」とホッした顔で言って、依頼の受注処理を行う為に部屋を出て行った。残されたアタシ達は、嫌なことはさっさと済まそうってことで、翌日、学園を休んで現地に向かおうと決めた。そこへシルベスターが待ったを掛ける。
「ちょっと待って下さい。これから向かう大湿原『アルデバラン』には厄介な敵が居ます。その対策をしておかないとマズいと思います」
「厄介な敵?」
「はい、まず『ザハギン』半魚人とも呼ばれます。その名の通り水中戦を得意としていますので、コイツに水の中へ引き摺り込まれると危険です」
確かに...水の中じゃ息出来ないし動き辛いし危ないね。
『それなら大丈夫よ~ 私が守ってあげるわ~ エリオット~ 前に出て~』
ウンディーネが突然言い出した。訝しみながらもエリオットが前に出る。すると、
「な、なんだこれ!? シャボン玉!?」
エリオットの体の周りにシャボン玉ような透明な膜が張られた。アタシのと似てるな。
「ミナが張るバリヤに似てるね」
アリシアが呟く。そりゃあんたは毎日突っ込んで来るんだから良く知ってるわな。
『ミナのとは違うわよ~ これは水に沈んだりしないわ~ 中の空気が無くなることも無いからずっと中に入ってても大丈夫よ~』
おぉっ! それは凄いな! これがあれば水の中でも怖くないね! あれ? でもこれって...
「ウンディーネ、有難いけど、僕一人だけじゃどうにも...」
そう、助かるのはエリオットだけだもんね。それじゃウチらはどうにもならないよね。そう思ってたら、
『大丈夫よ~ 他のみんなも守ってあげるわ~』
それを聞いて全員が「おぉっ! 凄い!」と称賛した。すると、
『ぼ、ボクだって役に立てるよ! シルベスター、前に出て!』
今度はノームが叫んだ。なんだ!? 精霊達が競い合ってる!? 役に立つアピール合戦!?
「こ、これは!?」
シルベスターの足元が土色に染まった。若干キモい...
『これで湿地に足を取られることなく歩けるよ! もちろん全員が!』
再び全員が「おぉっ! 凄い!」と称賛した。すると、
『わ、私だって負けないんだからね! シャロン! 前に出て!』
今度はシルフが叫ぶ。いや、勝ち負けとかそういう問題じゃないんだが...なんだかやけにヒートアップしてるな...
「大丈夫なんでしょうね...」
シャロン様が不安そうに呟く。普段のシルフを見てるから無理もないね...
『それ~! 行くよ~!』
シルフが叫ぶとシャロン様の足元に風の渦が生まれた。いやでもそれって...
「ちょ、ちょっと待ってシルフ! 私、今制服!」
『これで水の上でも浮いて歩けるようになるよ! もちろん全員ね!』
いや、得意気に言うのはいいんだけど、シルフよ、シャロン様の惨状を見ろや...パンツ丸見えだぞ...
「いやーん! モーレツゥ!」
ん? なんか静かだな? これって鼻血案件じゃないのか? をいっ! 野郎共、なんで目を反らしてんだ! 真っ赤になって踞ってるシャロン様に失礼だろ!
◇◇◇
フゥッ、やっと静かになったな。精霊のアピール合戦はこれで終わり...ってあれ? でもなんか忘れてるような!? なんだっけ!?
「...おい、お前はなんかないのか?」
『......』
あぁ、イフリートを忘れてたね。うん、イフリートは今日も安定のマイペースだね。
「え、えっと、それからもう一つ厄介な敵が居ます。『セイレーン』これは状態異常を放って来ます。耐性が無いと危険な相手です」
『問題ないわ。私が居れば全員守れるから』
レムが言うと全員が納得した。そりゃそうだよね。今まで散々お世話になってるから一番説得力があるよ。
「えっと、以上です...あ、水の中に落ちると魔獣じゃないですが、ピラニアが棲んでます。注意が必要なんですが、これなら問題無さそうですね...」
シルベスターが最後を纏めて精霊のアピール合戦は終了となった。
ヒルダさんに告げると「ありがとう」とホッした顔で言って、依頼の受注処理を行う為に部屋を出て行った。残されたアタシ達は、嫌なことはさっさと済まそうってことで、翌日、学園を休んで現地に向かおうと決めた。そこへシルベスターが待ったを掛ける。
「ちょっと待って下さい。これから向かう大湿原『アルデバラン』には厄介な敵が居ます。その対策をしておかないとマズいと思います」
「厄介な敵?」
「はい、まず『ザハギン』半魚人とも呼ばれます。その名の通り水中戦を得意としていますので、コイツに水の中へ引き摺り込まれると危険です」
確かに...水の中じゃ息出来ないし動き辛いし危ないね。
『それなら大丈夫よ~ 私が守ってあげるわ~ エリオット~ 前に出て~』
ウンディーネが突然言い出した。訝しみながらもエリオットが前に出る。すると、
「な、なんだこれ!? シャボン玉!?」
エリオットの体の周りにシャボン玉ような透明な膜が張られた。アタシのと似てるな。
「ミナが張るバリヤに似てるね」
アリシアが呟く。そりゃあんたは毎日突っ込んで来るんだから良く知ってるわな。
『ミナのとは違うわよ~ これは水に沈んだりしないわ~ 中の空気が無くなることも無いからずっと中に入ってても大丈夫よ~』
おぉっ! それは凄いな! これがあれば水の中でも怖くないね! あれ? でもこれって...
「ウンディーネ、有難いけど、僕一人だけじゃどうにも...」
そう、助かるのはエリオットだけだもんね。それじゃウチらはどうにもならないよね。そう思ってたら、
『大丈夫よ~ 他のみんなも守ってあげるわ~』
それを聞いて全員が「おぉっ! 凄い!」と称賛した。すると、
『ぼ、ボクだって役に立てるよ! シルベスター、前に出て!』
今度はノームが叫んだ。なんだ!? 精霊達が競い合ってる!? 役に立つアピール合戦!?
「こ、これは!?」
シルベスターの足元が土色に染まった。若干キモい...
『これで湿地に足を取られることなく歩けるよ! もちろん全員が!』
再び全員が「おぉっ! 凄い!」と称賛した。すると、
『わ、私だって負けないんだからね! シャロン! 前に出て!』
今度はシルフが叫ぶ。いや、勝ち負けとかそういう問題じゃないんだが...なんだかやけにヒートアップしてるな...
「大丈夫なんでしょうね...」
シャロン様が不安そうに呟く。普段のシルフを見てるから無理もないね...
『それ~! 行くよ~!』
シルフが叫ぶとシャロン様の足元に風の渦が生まれた。いやでもそれって...
「ちょ、ちょっと待ってシルフ! 私、今制服!」
『これで水の上でも浮いて歩けるようになるよ! もちろん全員ね!』
いや、得意気に言うのはいいんだけど、シルフよ、シャロン様の惨状を見ろや...パンツ丸見えだぞ...
「いやーん! モーレツゥ!」
ん? なんか静かだな? これって鼻血案件じゃないのか? をいっ! 野郎共、なんで目を反らしてんだ! 真っ赤になって踞ってるシャロン様に失礼だろ!
◇◇◇
フゥッ、やっと静かになったな。精霊のアピール合戦はこれで終わり...ってあれ? でもなんか忘れてるような!? なんだっけ!?
「...おい、お前はなんかないのか?」
『......』
あぁ、イフリートを忘れてたね。うん、イフリートは今日も安定のマイペースだね。
「え、えっと、それからもう一つ厄介な敵が居ます。『セイレーン』これは状態異常を放って来ます。耐性が無いと危険な相手です」
『問題ないわ。私が居れば全員守れるから』
レムが言うと全員が納得した。そりゃそうだよね。今まで散々お世話になってるから一番説得力があるよ。
「えっと、以上です...あ、水の中に落ちると魔獣じゃないですが、ピラニアが棲んでます。注意が必要なんですが、これなら問題無さそうですね...」
シルベスターが最後を纏めて精霊のアピール合戦は終了となった。
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