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第65話 ミナの日常 その7

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 学園祭当日がいよいよ明日に迫った。

 アタシのクラスでは衣装合わせを行っている。

「ミナちゃんのはこれね?」

 衣装班の娘が渡してきたのは猫耳メイドの衣装だった。ご丁寧に尻尾まで付いてる。仕方なく着ると、

「「「「 か、可愛い~♪ 」」」」

 衣装班が総出で誉め上げる。アタシは死んだ魚の目をしていると思う。

「ミナちゃん、ミナちゃん! にゃん♪ やって! にゃん♪」

「...にゃん...」

「そ~じゃなくて~! もっとこう、猫っぽく可愛いらしく!」

「にゃーん」

「頭の上に両手を上げて、にゃん♪ にゃん♪ って!」

「絶対断る!」

「やってやってやってやってやってよ~! 一回だけでいいから! ねっ?」

「ハァッ...仕方ないな...一回だけだぞ...」

「にゃん♪ にゃん♪」「お~い、そろそろ着替え終わったか~?」

 エリオット!? なんでよりによってこのタイミングで!?

「 ブッホォォォッ! 」

「「「「 キヤァァァッ! 」」」」

 エリオットが鼻血を吹き出すのと、衣装班の連中が悲鳴を上げたのは、ほぼ同時だった。えっ? 今のどこに鼻血案件があった?


◇◇◇


 衣装合わせも無事? 終わったので、他のクラスを見て回ることにした。殿下達のクラスは執事喫茶やるって言ってたな。

「お帰りなさいませ、お嬢様」 

 執事姿の殿下が出迎えてくれた。普段下ろしてる髪をオールバックにして、口調まで変えてるその様は全くの別人のようで思わず、

「セバスチャン...」

「誰だよそれ?」

「是非ともあのセリフを...」

「言わないからな!? これはコスプレであって、俺はあくまで王子なんだからな!?」

 はい! 頂きました! ありがとうございます!

「あ、ミナ!? 見に来てたんだ!?」

「アリシア、それってディアンドル?」

「うん、可愛いでしょう~♪ どう? 似合ってるかな?」

「とっても可愛いよ。良く似合ってる。ところで、手に持ってるのはもしかしてノンアルコールビール?」

「そうだよ、良く分かったね?」

 女子高生がディアンドル着てノンアルコールビールを持って...それってまるで、

「くろもりみね...」

「STOP! ミナ! それ以上は色々とヤバいって!」

「アリシア! お願い! これだけ言わせて! ぱんつのあほ...」

「だからミナ! ヤバいからダメだったら!」

「やってやるやってやるやってやる...フゴゴッ!」

「もう黙れ!」


◇◇◇


 ハッ! アタシはどうしたんだろう? しばらく意識が飛んでた。まるで誰かが乗り移ったかのように。気が付くとシルベスターのクラスの前に居た。

「あれ? ミナ? 見に来たんだ」

「シルベスター、これがお化け屋敷?」

 なんだか日本風の雰囲気がある。古い日本家屋みたいな。

「そうだよ。ここから東に遠く離れた島国に残る民話をモチーフにしてるんだ。古い屋敷に鬼が棲み着いて居てね。知らずに入って来た人を食べちゃうっていう怖い話」

「えっ? それってきめつの...」

「STOP! ミナ! それ今一番ヤバいヤツだから!」

「でも、たんじろ...」

「シルベスターだから!」

「お願い! せめて、ねず...」

「頼むからもう黙って!」
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