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第66話 ちみっこと学園祭 その1

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 学園祭当日の朝になった。

 
 実家から弟のカイルがやって来る予定なので、門の所まで迎えに行く。門には派手な装飾で学園祭の文字が彩られており、否が応にも学園祭気分を盛り上げてくれる。

「姉ちゃん! 久し振り~!」

「姉上と呼べと言ってるだろうが! このバカ者!」

「痛ってぇ~!」
 
 相変わらずの礼儀知らずなので取り敢えず殴っておいた。しかもまだ10歳なのにアタシの背を越えやがった。それにもムカついた。

「いいこと!? アンタの態度が悪いと私が恥掻くんだからね!? ちゃんとそこんとこ分かってる!?」

「わ、分かってるよ~」

「じゃあまずは私のクラスに案内するから。ほら、行くよ」

「い、いやその姉ちゃ...じゃなかった姉上! 手を繋ぐのはちょっと恥ずかしいかなと...」

「なに一丁前に色気付いてんのよ!? アンタまだ10歳の子供なんだからね!?」

「いやでも背は俺の方がもう高...」

「なんか言った!?」

「なんでもないです...」

 姉の権限で生意気盛りの弟を黙らせてから教室に向かう。ドアの所にはアニマル柄の装飾が施されていて、誰が見てもアニマル喫茶だと分かるだろう。

「へぇ~ 話には聞いてたけど、本当にアニマル喫茶やるんだね~」

「うん、まだ開店前だけど、クラスのみんなに紹介するから入って」

「お邪魔しま~す」

 教室に入った途端、早速例の四人組に囲まれる。

「ミナちゃん、おはよ~! この子が言ってた弟さん?」

「うん、弟のカイル。ほら、みんなに挨拶して」

「ど、どうも。カイルです」

「うわぁ! 可愛い~♪」

「ミナちゃんに似てるね~」

「やっぱり姉弟なんだね~」

 お前ら、既に着替えて開店準備万端だな。ウサギ、トラ、シマウマ、ライオンか。食物連鎖的にそれでいいのか? あと弟よ、ちやほやされてデレデレすんな! 

「じゃあ私も着替えて来るから、この子お願い。カイル、良い子にしてんのよ?」

「子供扱いすんなよな~」

 いや、お前子供だからな!?


「ミナちゃん、おはよ~♪ さぁさぁ着替えて着替えて♪」

 衣装部屋に入った。衣装班は今日も朝からテンション高い。

「はぁ~...やっぱりこれ着るんだ...」

「往生際悪いよ~♪ ほらほら早く早く~♪」

 仕方無く猫耳メイドに着替える。

「ミナちゃん、にゃんやってにゃん♪」

「開店してからね」

「あ~ん、いけず~」

 衣装班の声を無視して部屋を出る。あんなこっ恥ずかしい真似を開店前からやってられるか!


 着替えて教室に戻ると、弟はクラス中から注目されていた。さすがに居心地悪そうだ。

「カイル、お待たせ。ん? どうした?」

 弟が顔を真っ赤にしている。

「姉ちゃん、可愛い♪」

「だから姉上と呼べ! それと頭撫でようとすんな!」

「へぶしっ!」

 弟に鉄拳制裁を加えていると、ちょうど開店時間になった。
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