上 下
77 / 176

第77話 ちみっこと魔法競技大会 その1

しおりを挟む
 試験が終わってホッとするのも束の間、すぐ次のイベントが控えていた。


 魔法競技大会である。読んで字の如く魔法力を競い合う大会である。対戦形式のトーナメント戦で学年に関係なく戦い、学園No.1の座を賭けて争うものらしい。

「良っしゃあ! 学力が無いなら私でもイケる!」

 おバカな子、アリシアが気合いを入れてる。まぁ確かに魔力なら学年1位だったもんね。無理もないか。

「あ、あのさ、アリシア...」

「なに? シルベスター?」
 
「非常に言い辛いんだけど...エントリー出来るのは、火、水、風、土の4属性のみなんだよね...」

「ガーンッ!」

 あらら、聖属性のアリシアが崩れ落ちちゃったよ。可哀想に。希少な属性持ちだから仕方ないね。相手居ないんだもん。応援ヨロシク。

「シルベスターはどれにエントリーするの?」

 シルベスターは4属性持ちだからね~ どれにもエントリー出来るから悩み所だね~

「まだ迷ってる。土か火か」

 あぁそういや、精霊の加護は土のノームだけど、得意なのは火魔法だって言ってたっけ。

「土にしなよ。ボコボコにしてやるから!」

 アタシじゃなくてゴーレムがね!

「怖いよ~...」

「だったら火で俺と対戦するか?」

 殿下、余計なことすんな!

「殿下とですか? う~ん...そうしようかなぁ...」

「土にしときなよ!」

 可愛がってあげるからさぁ!

「ミナさん、強制はいけませんわ。シルベスター、風もありますわよ?」

「そうだぞミナ、決めるのはシルベスターだ。ところで水もあるぞ?」

 シャロン様とエリオットまで加わったよ! シルベスター大人気だね! でも土にしとけ!

「あははは、良く考えて決めます...」

 シルベスターの笑顔が引き攣ってる。

「いいな...私も出たい...」

「アリシアは応援団長ね。みんなの応援頼むよ? チアやってチア!」

「ヤダよ、恥ずかしい! それに団長なら学ランじゃん!」

 いやこの世界に学ラン無いだろ。まぁそれ言ったらチアの衣装も無いか。テヘペロ♪


◇◇◇


 そんなこんなで大会の日を迎えた。結局、シルベスターは土で出るみたいだ。当たったらボコボコにしてやんよ! トーナメント表を見ると、アタシとシルベスターは決勝まで勝ち進まないと当たらない。

「シルベスター、決勝で会おう!」

「うん! 頑張ろう!」

 アタシの1回戦の相手は3年生の女子だ。いきなり先輩が相手だけど、負ける気は全くしない。気合いを入れる。

 良~し! やったるぞ!

 こうして魔法競技大会の幕が上がった。

 


しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

裏切られた令嬢は死を選んだ。そして……

恋愛 / 完結 24h.ポイント:1,569pt お気に入り:5,996

もふもふの王国

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:7pt お気に入り:437

25歳のオタク女子は、異世界でスローライフを送りたい

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:14pt お気に入り:510

処理中です...