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第96話 ちみっこと隣国の王子 その7

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 アタシ達は王都でも人気のスイーツ店に来ていた。

 このお店は1時間限定の食べ放題システムを導入している。料金先払いのビュッフェ形式になっていて、食べたいモノを自分で選んでお皿に盛り付けする。時間内であればいくら食べても良い。 

 最初の方こそ、落ち込んでるアリシアを慰めるという名目で、みんなしてアリシアに気を遣っていたが、さすがは人気のスイーツ店。どれを食べても美味しいので、次第に食う方が楽しくなって来た。当初の目的をすっかり忘れて楽しんでしまった。

 アリシアも少しずつ明るさを取り戻しつつある。やっぱ女の子にとって甘いモノは正義だね! そろそろ頃合いということで、シルベスターとそっと目配せする。何気無い風を装おって、二人でお皿を持ってスイーツの補充に行くフリをしながらバックれる!

 良し! 上手く行った! アリシア、エリオット二人とも気付いてない! お二人さん、後はごゆっくり~♪ってことでアタシ達はそっと店を後にした。

「いやぁ、上手く行ったね~♪ アリシアも元気になったし、これであの二人がラブラブになれば言うことないよね~♪」
 
「そ、そうだね...」

 ん? シルベスターの顔がやけに赤いね? もしかして、あの二人がラブラブになるのを想像して興奮しちゃったのかな?

「あ、あのさ、ミナ! 今度はボクと二人っきりで、デー」

「キュイ~♪」

「ありゃ!? ナギ!? お前、こんな所でどうしたの!?」

「ミナお嬢様、申し訳ございません。ナギがお嬢様の帰りが遅いので、出迎えに行くと言って聞かず...」

「あぁ、そうだったんだね。マリー、手間を掛けさせてゴメンね。こらナギ! マリーを困らせたらダメでしょ!」

「キュイ...」

「全くもう...あ、シルベスターもゴメン。それでなんだっけ?」

「なんでもない...」

 そう? ならいいんだけど。


◇◇◇


 翌日、ライオネル王子は休みとのこと。やっぱりまだ元に戻ってないのかなと思って、お昼休みに食堂で殿下に聞いてみたところ、

「姿は元に戻ったんだが、メンタルがまだ戻ってないんだ」

 とのこと。俺様王子のクセにお豆腐メンタルなのかな? まぁでも、姿は元に戻ったんなら一安心だよね。アリシアもちょっとはホッとして...って、そんなに睨むなよ...恋のキューピット役を買って出てあげたんじゃないか。余計なことしやがって! みたいな目で見るなよ...エリオットと二人っきりになりたかったクセに~♪

 ん!? 気のせいかな!? 今、柱の影から猫耳が見えたような!? 気のせいじゃない! ライオネル王子!? そんな所でなにやってんの!?

 
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