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第109話 ちみっことドワーフの村 その11

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 アタシが呆気に取られていると、ライオネル王子は顔を赤く染めながら、

「その...ミナと一緒に居るとな、心の中がなんて言うかこうポカポカとしてだな...番を見付けた時とはまた違った感情が湧いて来て...これはきっと恋だと思うんだ!」

「はいぃ!?」

 なに言っちゃってんのこの王子は!?

「ミナ! 俺様と結婚を前提に付き合ってくれ!」

「お断りします」

「ガーーーンッ! そ、即答!?」

 即答に決まってるわ!

「アリシアを正妻に、私を妾にでもするおつもりなのでしょうが」

「ち、違う! 妻にしたいのはミナだけだ!」

「ではアリシアは? 番はどうするんです?」

「それはその...俺様の勘違いってことで...」

「はぁっ!?」

 アタシは呆れてしまった。

「勘違いであんなに大騒ぎしたと? みんなを振り回したと? アリシアの心を散々掻き乱したと? 舐めてんですか?」

「あぐっ!...そ、それはだな...」

「言い訳は聞きたくありません。アリシアに謝ってボコボコに殴られて下さい。訓練は今日で終わりです。さようなら」

「み、ミナ! ま、待ってくれ!」

 待たない! アタシは振り返ることなく、その場を後にした。少しはマシになって来たかと思ってたのに...この俺様王子はやっぱり最低な野郎だったよ...残念だ...


◇◇◇


 二週間経った。今日は出来上がったであろう武器を手にすべく、再度ドワーフの村へと向かう。空の旅にもみんな慣れたもんだ。

 ちなみに、あれからライオネル王子とは顔を合わせていない。アリシアにも何も言っていない。アタシの口から言うべき事じゃないと思ったからだ。だからちょっとアリシアとは顔を合わせ辛い。

 そんなアタシの心境には関係なく、ドワーフの村に到着すると、これまた顔を合わせ辛いシルバ君が出迎えてくれた。うん、今日もまた涙目だね。

「よう来なさった! お主らの武器は出来上がっておる! さあ、手に取って見てくれ!」

 族長のガルムさんがアタシ達の新しい武器を持って来てくれた。黒っ! 真っ黒じゃん! なんかカッコ良い!

「おぉっ! 黒い剣か! なんか強そうだな!」

「黒い槍っていうのも中々オツなもんだな...ちょっと禍々しい気もするが...」

「こ、これは殴り甲斐がありそうですわね!」

「黒いメリケンサックってなんか中二病っぽいわね...」

 ま、まぁ、みんなそれぞれ概ね好評ってことで...アタシの黒いブーメランはカッコ良い思うけどな。

「みんないいな~...」

 シルベスターが一人いじけてるけど、それはしょうがないよね。アタシ達がお礼を言おうと思っていると、

「さあ、では試練を受けて貰おかの!」

 ガルム族長がそんなことを言って来た。

 試練って!? 何の事だ!?
 
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