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第138話 ちみっことエルフの里 その5
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儀式の行われる場所には巨大な魔法陣が描かれていた。
そして魔法陣の真ん中に、火の見櫓みたいな物が作られていて、それを昇った所で祈りを捧げるらしい。いつの間にやら周りには、エルフの里の連中が沢山集まっていた。
誰にというか何に対して、どんな祈りを捧げるのかと聞いたら「竜神様、どうかこの地をお守り下さい」だそうだ。
竜神様? アタシは思わずナギを見るがナギは「キュイ?」と首を捻るだけで、どう見ても神様っぽくない。まぁその祈りとやらを捧げて、何も起こらなけりゃここの連中も違うって分かってくれるだろう。
不安げなマリーに「大丈夫だから」と囁いて、アタシは一人で火の見櫓を昇る。一番上まで昇った所で膝を突き、目を閉じて祈りを捧げるポーズを取った。どうせ何も起こりゃしないだろうから適当に。取り敢えず、早く帰りたいと願ってみた。
すると周りが騒がしくなる。なんだろう? と思って目を開けてみると、魔法陣が淡い光を放っていた。すると、
「キュイ~!」
ナギの体が大きくなって宙に浮いた。そう、いつもの乗り物サイズに。それを見たエルフの連中は口々に、
「おぉっ! なんと神々しい!」「竜神様が顕現なされた!」「ありがたやありがたや!」
などなど勝手に敬っているが、アタシからすればいつもの光景なんで別段珍しくもなんともない。それよりナギが大きくなれたので、これで帰れるなと胸を撫で下ろしていた。
やがて魔法陣の光が収まると、ナギの体はまた元に戻ってしまった。アタシは再びナギを抱っこしながら聞いてみる。
「ねぇ、ナギ。もう一度大きくなれそう?」
「キュイ...」
無理っぽい。どうやら何かの条件を満たさないと、ここではナギの能力が発揮できないようだ。というより、何かがナギの能力を阻害しているようだ。
それは精霊の力も同様で、精霊王様が言っていた通り、このエルフの里には何か秘密があるみたいだ。これからどうするべきかアタシが考えていると、
「巫女様~!」「竜の巫女様~!」「なんと可憐な!」「神々しい!」
などなど。勝手に騒ぎ出した。いやだから巫女様じゃないってばさ! 巫女服着てる時点で説得力がないのは自分でも分かるけどさ!
アタシが火の見櫓から降りると、長老さんや族長さん含め、その場に居た全員が跪いた。いや本当にマジで止めて!
「やはりあなた様は竜の巫女様! お待ち申しておりました!」
だから違うって! アタシはどうしていいか分からず辺りを見回した。するとあのルークって人だけは、相変わらずアタシのことを睨み付けていたのだった。
そして魔法陣の真ん中に、火の見櫓みたいな物が作られていて、それを昇った所で祈りを捧げるらしい。いつの間にやら周りには、エルフの里の連中が沢山集まっていた。
誰にというか何に対して、どんな祈りを捧げるのかと聞いたら「竜神様、どうかこの地をお守り下さい」だそうだ。
竜神様? アタシは思わずナギを見るがナギは「キュイ?」と首を捻るだけで、どう見ても神様っぽくない。まぁその祈りとやらを捧げて、何も起こらなけりゃここの連中も違うって分かってくれるだろう。
不安げなマリーに「大丈夫だから」と囁いて、アタシは一人で火の見櫓を昇る。一番上まで昇った所で膝を突き、目を閉じて祈りを捧げるポーズを取った。どうせ何も起こりゃしないだろうから適当に。取り敢えず、早く帰りたいと願ってみた。
すると周りが騒がしくなる。なんだろう? と思って目を開けてみると、魔法陣が淡い光を放っていた。すると、
「キュイ~!」
ナギの体が大きくなって宙に浮いた。そう、いつもの乗り物サイズに。それを見たエルフの連中は口々に、
「おぉっ! なんと神々しい!」「竜神様が顕現なされた!」「ありがたやありがたや!」
などなど勝手に敬っているが、アタシからすればいつもの光景なんで別段珍しくもなんともない。それよりナギが大きくなれたので、これで帰れるなと胸を撫で下ろしていた。
やがて魔法陣の光が収まると、ナギの体はまた元に戻ってしまった。アタシは再びナギを抱っこしながら聞いてみる。
「ねぇ、ナギ。もう一度大きくなれそう?」
「キュイ...」
無理っぽい。どうやら何かの条件を満たさないと、ここではナギの能力が発揮できないようだ。というより、何かがナギの能力を阻害しているようだ。
それは精霊の力も同様で、精霊王様が言っていた通り、このエルフの里には何か秘密があるみたいだ。これからどうするべきかアタシが考えていると、
「巫女様~!」「竜の巫女様~!」「なんと可憐な!」「神々しい!」
などなど。勝手に騒ぎ出した。いやだから巫女様じゃないってばさ! 巫女服着てる時点で説得力がないのは自分でも分かるけどさ!
アタシが火の見櫓から降りると、長老さんや族長さん含め、その場に居た全員が跪いた。いや本当にマジで止めて!
「やはりあなた様は竜の巫女様! お待ち申しておりました!」
だから違うって! アタシはどうしていいか分からず辺りを見回した。するとあのルークって人だけは、相変わらずアタシのことを睨み付けていたのだった。
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