上 下
143 / 176

第143話 アリシア視点  ミナ捜索隊 その2

しおりを挟む
「とにかく、男性陣にもすぐ知らせましょう! アリシアさんはレムに呼び掛け続けて!」

「分かりました! レム! レムってば!」

 私とシャロン様はレムに呼び掛けながら女子寮を出た。男子寮の前でエリオットとシルベスターが待っていた。

「エリオット! シルベスター!」

「アリシア、おはよう。どうしたんだい? そんなに慌てて?」

「シャロン様まで。おはようございます。何かあったんですか?」

「「 ミナ(さん)が居なくなったのよ! 」」

「「 な、なんだってぇ~! 」」

 私達は掻い摘んで説明した。

「なんてことだ...それでレムはまだ?」

 エリオットが青い顔をしている。

「起きないのよ! この寝坊助が! レム! さっさと起きろ!」

 私は思わず叫んでいた。

「ねぇ、ところでアルは?」

 シャロン様がシルベスターに尋ねる。

「殿下はまだお休みかと...いつも遅刻ギリギリですから...」

 シルベスターが言い辛そうにしている。

「全くもう! いいわ、叩き起こして来る!」

「あっ!? ちょ、待っ!? シャロン様~!」

 シルベスターが止める間もなく、シャロン様は男子寮に入って行ってしまった。その時だった。

『う~ん...なによぉ...うるさいわねぇ...ふわぁ...zzz』

「あぁっ! やっと起きた! レム! しゃんとして! ミナが居なくなったの! マリーさんもナギちゃんも!」

『な、なんですってぇ! どうしてそれを早く言わないのよ!』

「アンタが中々起きないからでしょうがぁ! 何度呼び掛けても全然起きないでぇ!」

 私はついにぶち切れた。

『そ、そうだったの...そ、それはゴメンなさい...』

「それで! ミナ達の居場所は分かるの!? 分かんないの!?」

『ちょ、ちょっと待って頂戴...あぁっ! なんてこと! 精霊王様から着信が入ってたわ!』

「スマホか!」

 エリオットとシルベスターが「スマホって?」という顔してるけど、取り敢えず今は無視する。

『本当にゴメンなさい...マナーモードにしてたから気付かなかったわ...せめてバイブにしておけば...』

「だからスマホか! それで! 着信があったのは何時?」

『昨日の午後...』

「ハァァァッ!?」

 私は思わず呆れ返ってしまった。

『...ゴメンなさい...』

「...アンタに対する説教は精霊王様に任せるとして、精霊王様何かメッセージとか残してないの!?」

『...そ、その...あ、ある場所に監禁されているから、た、助けて欲しいと...』

「バッカも~ん! そんな大事なメッセージを今まで放っておいたなんてぇ!」

『ご、ゴメンなさ~い!』

 私は頭を抱えるしかなかった。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

裏切られた令嬢は死を選んだ。そして……

恋愛 / 完結 24h.ポイント:1,576pt お気に入り:5,996

もふもふの王国

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:7pt お気に入り:437

25歳のオタク女子は、異世界でスローライフを送りたい

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:14pt お気に入り:510

処理中です...