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第173話 ちみっこと新しい生活 その10

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 その後は何事もなく放課後を迎えた。

「ウインディ、お疲れ様。どうでした? 学園での初日を終えた感想は?」

「ウム、多少疲れはしたが心地よい疲れではあるな」

「そうですか。私達はこれから訓練を行うんですが、ご覧になります?」

「訓練とは?」

「闇の精霊に対抗するため、自らの力を高めるべく魔法や剣技などの研鑽に勤しんでいるんです」

「なるほど。是非とも見学させて貰おう」

 アタシはウインディを連れて訓練場に向かった。


◇◇◇


 今日はアタシとアリシア、シルベスターとエリオット、殿下とシャロン様がそれぞれペアを組む。

 そんなアタシ達をウインディは静かに見守っていた。

「ミナお嬢様」

「あぁ、ナギを連れて来てくれてありがとうマリー」

 今日はナギに乗っての空中戦も予定しているので、マリーにナギを連れて来て貰った。ついでにメルも。

「アリシア、最初は地上戦で行くよ」

「オッケー! どんと来い!」

 アタシはいつものように離れた位置からスタートしたアリシアに向かって、ブーメランを投げ付ける。

 アリシアもいつものようにブーメランを華麗に躱さ...なかった。

「セイッ!」

 アリシアが正拳を宙に放つ。するとブーメランが見えない壁に当たったかのように地面に落ちた。

「アリシア、凄い! 今のって飛ぶ打撃?」

「そうだよ! 風の力を纏ったパンチだから、離れた所に居る敵にも攻撃が届くんだ!」

「アリシアもついに飛び道具を手にしたんだね!」

 まさしく鬼に金棒、虎に翼だね!

「それだけじゃない! 行っくよ~!」

 アリシアがダッシュして向かって来る。

「は、速い!」

 足にも風の力を纏っているのか、飛ぶような速さで走って来る。アタシは慌ててシールドを張った。

「ウリャアッ!」

 アリシアの拳がシールドに当たる。今までならシールドに絡め取られていた拳が、シールドを突き破ってアタシの目前まで迫る。

「ウッヒャアッ!」

 アタシは慌ててゴーレムを盾にする。ゴーレムを2、3体突き抜けた所で、やっとアリシアの拳が止まった。

 拳の先はアタシの目と鼻の先にまで迫っていた。

「ビビッた...拳がメチャクチャ重くなってるね...」

「うん、これも風の力が上乗せされてるからね」

「なるほど...良く分かった...それじゃあもう一本お願い」

「オッケー!」

 アリシアがスタート位置まで戻る。

 風の力の加護が強力なのは分かった。今度はそれを踏まえた上で対策を講じる。いつまでもアリシアの好きにはさせない。

 アタシは気合いを入れ直した。
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