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その日もいつも通りカルロの馬車で帰ることになっていた。
カルロがちょっと遅れるとのことで、私は先に馬車乗り場に向かっていた。ほんの少しだけ一人っきりになってしまった。
その隙を狙われた。
「うぐっ!?」
誰かに後ろから押さえ付けられ、顔に布のような物を押し付けられた。そして私は意識を失った...
◇◇◇
どれくらい意識を失っていたんだろう? 目を覚ました私は、まだフラフラする頭を抑えながら辺りを見回す。
窓が無い部屋だ。地下室だろうか? 地下牢という感じじゃなく普通の狭い部屋みたいだ。現に私はベッドに寝かされている。手足も拘束されていない。
まだフラ付く頭に聖女の力を使って自身を回復する。立ち上がってドアノブをガチャガチャと回すが、当然ながら鍵が掛かっている。
私は力無くベッドに座り込みながら歯噛みする。油断していた。それに尽きる。あれだけカルロに決して一人にならないよう言われていたのに...
カルロに申し訳ない気持ちになったのと、聖女の力や人の心の声を聞ける能力があったところで、こうやって暴力に訴えられたら自分は無力なんだと改めて実感した。遅きに失した感は否めないけど..
きっと今頃カルロは血眼になって私を探していることだろう。後悔するのは後回しにして、まずはどうにかしてこの部屋から抜け出す手段を探すことにした。
だがこの部屋にはベッド以外何も無い。部屋中を隈無く探したが武器になりそうな物は何も無い。オマケに窓も無いので外の状況が分からない。ここがどこなのかも分からない。
さてどうしたものかと思案している時だった。いきなりドアが開いて誰か入って来た。身構えた私の目に映ったのは...
「ルイス王子...」
「やぁ、リタ。久し振りだね」
いつもの王子スマイルじゃなく歪んだ笑みを浮かべて、ルイス王子は近寄って来た。私は部屋の隅に逃げた。
「逃げても無駄だよ? この部屋に抜け穴なんてないからね」
「...なんでこんな真似を?」
「君が悪いんだよ。ずっと私を避けるから。私はどうしても君が欲しい。カルロなんぞには勿体ない。だから本意では無いが、無理矢理にでも既成事実を作らせて貰うことにしたんだ。手荒な真似はしたくないから、出来ればあんまり抵抗しないでくれると助かるな」
そう言ってルイス王子は上着を脱ぎながら近付いて来る。私は本気で腹が立った。ふざけるな! 絶対にこのクサレ王子の好きになんかさせるもんか! こんなケダモノに汚されて堪るか!
私は身構えながら、近付いて来るこのケダモノを睨み付けた。
カルロがちょっと遅れるとのことで、私は先に馬車乗り場に向かっていた。ほんの少しだけ一人っきりになってしまった。
その隙を狙われた。
「うぐっ!?」
誰かに後ろから押さえ付けられ、顔に布のような物を押し付けられた。そして私は意識を失った...
◇◇◇
どれくらい意識を失っていたんだろう? 目を覚ました私は、まだフラフラする頭を抑えながら辺りを見回す。
窓が無い部屋だ。地下室だろうか? 地下牢という感じじゃなく普通の狭い部屋みたいだ。現に私はベッドに寝かされている。手足も拘束されていない。
まだフラ付く頭に聖女の力を使って自身を回復する。立ち上がってドアノブをガチャガチャと回すが、当然ながら鍵が掛かっている。
私は力無くベッドに座り込みながら歯噛みする。油断していた。それに尽きる。あれだけカルロに決して一人にならないよう言われていたのに...
カルロに申し訳ない気持ちになったのと、聖女の力や人の心の声を聞ける能力があったところで、こうやって暴力に訴えられたら自分は無力なんだと改めて実感した。遅きに失した感は否めないけど..
きっと今頃カルロは血眼になって私を探していることだろう。後悔するのは後回しにして、まずはどうにかしてこの部屋から抜け出す手段を探すことにした。
だがこの部屋にはベッド以外何も無い。部屋中を隈無く探したが武器になりそうな物は何も無い。オマケに窓も無いので外の状況が分からない。ここがどこなのかも分からない。
さてどうしたものかと思案している時だった。いきなりドアが開いて誰か入って来た。身構えた私の目に映ったのは...
「ルイス王子...」
「やぁ、リタ。久し振りだね」
いつもの王子スマイルじゃなく歪んだ笑みを浮かべて、ルイス王子は近寄って来た。私は部屋の隅に逃げた。
「逃げても無駄だよ? この部屋に抜け穴なんてないからね」
「...なんでこんな真似を?」
「君が悪いんだよ。ずっと私を避けるから。私はどうしても君が欲しい。カルロなんぞには勿体ない。だから本意では無いが、無理矢理にでも既成事実を作らせて貰うことにしたんだ。手荒な真似はしたくないから、出来ればあんまり抵抗しないでくれると助かるな」
そう言ってルイス王子は上着を脱ぎながら近付いて来る。私は本気で腹が立った。ふざけるな! 絶対にこのクサレ王子の好きになんかさせるもんか! こんなケダモノに汚されて堪るか!
私は身構えながら、近付いて来るこのケダモノを睨み付けた。
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