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やがて大司教様が現れ植樹祭が始まった。
大司教様を初めとした偉い人達のスピーチが終わった後、いよいよ記念樹の植え込みが始まる。
私とカルロ、そして大司教様の意見が一致したのは、賊が狙うとしたらここだろうと言う事。
植木業者は信頼のおける所を選んでいるが、そこの従業員一人一人までは管理が行き届かないだろう。
ましてや今日はかなり大掛かりな式典だ。日雇いの者を雇っている場合もあるだろう。しかも鍬やスコップなど武器になる物を堂々と持ち込める。
大司教様を囲うようにして警護している神殿の神兵達に緊張が走る。私はカルロに目配せする。カルロは公爵家の力を利用して大司教様のすぐ隣の位置を確保していた。
大司教様が植木業者からスコップを受け取ろうとした時だった。
「死ねぇ!」
記念樹の側で作業していた男が鍬を片手に襲い掛かって来た。
「フンッ!」
それをカルロがしっかりと剣で受け止める。するとその男の仲間と思われる連中が何人か、スコップや鍬を手に襲い掛かって来た。
その連中を神兵とカルロの私兵が難なく制圧する。集まった観衆が騒然となり、それぞれ避難を開始した。
そんな中で一人だけ、人の波に逆らうように違う方向へ逃げ出す者が居た。もちろんマナだ。私はマナの行く手に立ちはだかった。
「マナ様、どちらへ行かれるおつもりですか?」
「んなぁっ!? あ、アンタ!? ど、どこだっていいでしょ! そこを退きなさいよ!」
「いいえ、逃がしませんよ? ちゃんと罪を償って貰うまでは」
「な、なんの話よ!」
「惚けないで下さいな。あの連中を雇ったのはアナタでしょう?」
「な、なに言ってるのよ! し、知らないわよ!」
「シラを切っても無駄ですよ? あの連中が吐けばアナタは終わりです。もう観念した方が良いんじゃないですか?」
「こ、このぉ! 言わせておけば調子に乗ってぇ! アンタなんか殺してやるぅ~!」
逆上したマナが隠し持っていた小刀を右手に構えて襲って来た。私は痴漢撃退用の目潰しスプレーをシューっと...掛けようと思ってたら、
「エイッ!」
「ひぃぎゃあああっ! 痛だだだだっ! 折れる折れる~!」
「えっ!? ララ様!?」
ララがマナの右手を捻り上げて地面に組伏せていた。
「聖女様に手出ししようなんて百万年早いですわよ! この小娘が!」
「あ、ありがとうございます...ララ様、お強いんですね...」
私が逆に守って貰っちゃったよ...
「あら? このくらい侯爵令嬢の嗜みですわよ?」
いや絶対ウソだろ!
大司教様を初めとした偉い人達のスピーチが終わった後、いよいよ記念樹の植え込みが始まる。
私とカルロ、そして大司教様の意見が一致したのは、賊が狙うとしたらここだろうと言う事。
植木業者は信頼のおける所を選んでいるが、そこの従業員一人一人までは管理が行き届かないだろう。
ましてや今日はかなり大掛かりな式典だ。日雇いの者を雇っている場合もあるだろう。しかも鍬やスコップなど武器になる物を堂々と持ち込める。
大司教様を囲うようにして警護している神殿の神兵達に緊張が走る。私はカルロに目配せする。カルロは公爵家の力を利用して大司教様のすぐ隣の位置を確保していた。
大司教様が植木業者からスコップを受け取ろうとした時だった。
「死ねぇ!」
記念樹の側で作業していた男が鍬を片手に襲い掛かって来た。
「フンッ!」
それをカルロがしっかりと剣で受け止める。するとその男の仲間と思われる連中が何人か、スコップや鍬を手に襲い掛かって来た。
その連中を神兵とカルロの私兵が難なく制圧する。集まった観衆が騒然となり、それぞれ避難を開始した。
そんな中で一人だけ、人の波に逆らうように違う方向へ逃げ出す者が居た。もちろんマナだ。私はマナの行く手に立ちはだかった。
「マナ様、どちらへ行かれるおつもりですか?」
「んなぁっ!? あ、アンタ!? ど、どこだっていいでしょ! そこを退きなさいよ!」
「いいえ、逃がしませんよ? ちゃんと罪を償って貰うまでは」
「な、なんの話よ!」
「惚けないで下さいな。あの連中を雇ったのはアナタでしょう?」
「な、なに言ってるのよ! し、知らないわよ!」
「シラを切っても無駄ですよ? あの連中が吐けばアナタは終わりです。もう観念した方が良いんじゃないですか?」
「こ、このぉ! 言わせておけば調子に乗ってぇ! アンタなんか殺してやるぅ~!」
逆上したマナが隠し持っていた小刀を右手に構えて襲って来た。私は痴漢撃退用の目潰しスプレーをシューっと...掛けようと思ってたら、
「エイッ!」
「ひぃぎゃあああっ! 痛だだだだっ! 折れる折れる~!」
「えっ!? ララ様!?」
ララがマナの右手を捻り上げて地面に組伏せていた。
「聖女様に手出ししようなんて百万年早いですわよ! この小娘が!」
「あ、ありがとうございます...ララ様、お強いんですね...」
私が逆に守って貰っちゃったよ...
「あら? このくらい侯爵令嬢の嗜みですわよ?」
いや絶対ウソだろ!
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