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05:降水確率

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「先輩、先輩、今日も雨ですね……ですね……ですよね……」
「テンション低いな、伊藤」
「いい加減読者様も飽きるでしょ、この入り方。それに今日は降水確率がゼロだったのに雨が降るなんて、気象庁は何をやっているんですかね。まさにスポーツ新聞の見出しと気象庁はあてになりませんね!」
「いや、降水確率がゼロでも雨は降るぞ」
「えっ? おかしくないっすか? ゼロですよ? とんちですか?」
「伊藤、降水確率の定義は知っているか?」
「確か、予報区内で一定の時間内に降水量にして1mm以上の雨が振る確率ですよね? 100回予報して、30回1mm以上の雨が振れば30%、50回降れば50%、100回降れば100%、0回なら0%。ほら、0回だから0%じゃないですか~」
「それならば55回なら何パーセントだ?」
「えっ? それは……55パーセント?」
「天気予報に一の位の数字を見たことがあるか?」
「あれ? 言われてみればないですね。ま、まさか……」
「お察しの通り四捨五入だ。55回なら60%だな。4%なら?」
「……0%……っていうか、詐欺じゃん!」
「まあ、暗黙の了解でやっていることだからな。降水確率が100%でも、雨は降らないときもある。気象庁はそれでいいかもしれないが、その予報を聞く側にとってはあまりいい気はしないだろうな。0%で雨が降っても、予報は外れたことにはならないのだから」
「ずるいです! これだから大人は汚いんです! 不景気なのも、汚職が絶えないのも、私のお小遣いがあがらないのも、みんな大人が悪いんです!」
「お前のお小遣いは関係だろうが……いや、厳密に言えば、伊藤の両親が悪いって事になるのか……」
「えっ、先輩……冗談で言っただけなんですけど、まさか賛同いただけるとは……」
「いや、待て。働きもせずにお小遣いを上げてもらおうだなんて、厚かましくないか? 俺だってバイトをして進学費と小遣いを稼いでいるのに……」
「んん?」
「納得いかない。これはお仕置きが必要だな」
「しょ、しょえぇえ~! 超意味不明な理屈で私がお仕置きされるハメに……あぎゃあああああああああああああ!」
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