藤堂正道と伊藤ほのかのおしゃべり

Keitetsu003

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55:実は仲良し?

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「忙しいときに悪いね、正道、伊藤さん」
「何かあったのか?」
「作業の依頼っすか?」
「いや、違う。二人が最近ね、仲違いしているって聞いてるから、ちょっと話をしようと思って」
「……お節介が過ぎるぞ」
「……過干渉ですよ、橘先輩」
「うん、ごめんね。でも、作業やプライベートにも支障が出ているでしょ? 僕もね、二人には仲良くしてほしいわけ。友人としてね」
「……分かった」
「……分かりました」


「ちょうどいい機会だし、お互いさ、これは直してくれっていうのある? そういうの知っておくと、やりやすくなるんじゃない?」
「確かに」
「そうですね」
「なら、お互い、紙に書いてくれる? 先に言った言わなかっただと、もめるし、言いたいことも変わっちゃうかもしれないし」
「異存ない」
「私もです」
「それなら、このノートの紙切れに書いて」
「……書けた」
「……書けました」
「よし。それなら、その紙をお互い交換して。僕が合図したら、一緒に紙の内容を見ること」
「……」
「……」


「紙は交換したね? それなら……せ~の!」
「……」
「……」
「どう? お互いの意見を聞いて、二人に足りないものが何か分かった? 実はこの方法はね……」
「おい、左近」
「橘先輩」
「なに? えっ? 紙を見ろって? どれどれ……『制服をちゃんとしろ』、『制服を注意しないで』」
「「……」」
「ええっと……これは……」
「見たまんまだ。風紀委員としてちゃんとしろってことだ」
「先輩がいちいちうるさいんです! みんな短いじゃないですか! 私だけ注意するのはおかしいです!」
「お前が風紀委員だからだ! それと生徒手帳に書かれているだろ! スタート丈の長さが! 短いスカートを履きたかったらプライベートの時に履け! だがな、学校に来るときはやめろと言っているんだ!」
「おしゃれなんです! それに私だけ長かったら、そっちのほうが恥ずかしいし、第一、ダサい! それに、スカート、スカートってしつこい! どこ見てるんですか、変態!」
「はぁ……いつもそれだ。こっちは真面目に校則を守っているのに、校則を守っていないお前らはいつも被害者ぶる。気に入らないのなら、校則のゆるいところに入学しろ! 入学する前に校則の説明があって、それを知って学校に来てるんだろうが! なのに、ダサいからって理由で破るとか、勝手すぎるっていってるんだ!」


「ちょーい待ち! 落ち着きなよ、正道、伊藤さん。確かに、制服の規定はあるけど、目くじらを立てて言うことでもないでしょ? あからさまに風紀委員や先生方に挑発するような服装はアウトだけど、それ以外は大目に見るのもね……」
「そうです! 先輩は頭が固すぎです! 少しは橘先輩を見習って融通を利かせたほうがいいと思いますよ~。でないとモテませんよ」
「モテるために風紀委員やってるんじゃあねえんだよ! 左近、お前が甘やかすから伊藤がつけあがるんだ! 伊藤と抜き打ちの服装検査をしてみろ。隣に校則違反者いとうがいたら、生徒に注意しても、説得力がないだろ! 恥ずかしいんだよ……伊藤と抜き打ちテストするのが……」
「ひどい! 先輩、そんなふうに私を見ていたんですか!」
「見るだろ! 少しは風紀委員の自覚を持ってくれ! 俺は仕事がしたいんだ!」
「なら、言わせてもらいますけど、先輩の言い方は直接的で命令口調なんです! あんな人の勘に障る言い方したら、誰だって反抗したくなりますよ! だから、私がオブラートに包んで、相手に寄り添って悟らせてフォローしてるんですよ! 先輩のやり方だと敵を作るだけです!」
「どうして、校則違反者に下手にでなきゃならないんだ! 嫌なら校則を守れ!」
「先輩だって、喧嘩ばかりして、校則破ってるじゃないですか!」
「だったら、黙って殴られろって言うのか? カツアゲされているヤツを無視するのか? 言葉だけで解決するなら警察いらねえんだよ!」


「待ったぁああああああああああああ! 喧嘩しないで! 二人が仲良くするために話し合ってるんだよ。これじゃあ、本末転倒じゃない」
「左近が甘やかすからだろうが!」
「橘先輩はどっちの味方なんですか!」
「えっ……ええ~……僕が悪いの?」
「「もういい! コイツとはやってられない!」」


「……」
「……」
(はぁ……かなりこじらせているな……日頃の鬱憤がたまっているみたいだね。さて、どうするか……二人とも、スマホ見て、顔を合わせようともしない)
「……ちっ!」
「……なんですか、先輩。舌打ちするなんて態度、悪いですよ」
「……すまん。嫌なニュースを見つけてな」
「……どれですか?」
「これだ」
「んん~なになに? 『小学校女子トイレに小型カメラ発見! 犯人は同学校の教師!』。先輩……」
「そんな目で見るな。ニュースサイトのページを見たら、これが出てきたんだよ。ったく、最低な教師だな。犯罪を阻止する側が犯罪を犯してどうするんだ」
「ですね。動機が見たかったからって……男って最低ですね」
「やめろ。こんな変態と一緒にするな。風評被害だ。どうして、ひとくくりにするんだろうな、世間は」
「ですよね~。女子高生が援交してるってテレビでやってたら、私達もやってるって見られちゃいますからね。それに、風紀委員だからって、教師の犬とか思われるのもおかしいですよね?」
「納得いかないよな」
「いきませんよね」
「「はぁ……」」


「あっ、先輩。盗撮で思いだしたんですけど、スパイカメラの件、どうします?」
「……ああっ、あったな。眼鏡式小型カメラで授業の内容や学校の様子を撮影している疑惑のある男子生徒の件だな。スパイカメラを手に入れて、スリルを楽しんでいるだけだろ。今のところ授業内容や休憩時間を撮影しているだけで犯罪には使っていないらしいが、エスカレートする可能性もある。確か、情報提供者は伊藤の友達だったな?」
「そうなんですよ。私も力になりたいと思うんですけど……」
「それなら、調査するか?」
「ありがとうございます。でしたら、まず情報提供者かおりんに話を聞いて、一気に取り押さえましょうか? 眼鏡をかけているときが撮影している現場ですし」
「そうだな。ただ、暴れたりしたら面倒だから、俺が対応する。伊藤は事情聴取をたのむ」
「任せてください!」
「いくか?」
「いきますか?」


「はぁ……あの二人。本当は仲がいいでしょ? 似たもの同士っていうのかな? 心配して損した。夫婦喧嘩は犬も食わないっていうけど、豚でも食わないよね」
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