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十八章
十八話 ニゲラ -とまどい- その二
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「というわけで、舞台監督、演出家、舞台製作その他諸々を引き受けてくださった園田千秋先輩です」
「よろしくね」
「……」
「……」
私は獅子王さんに連絡し、園田先輩と顔合わせするために空き教室に集まっていた。橘先輩とは演劇部の部室で別れた。演劇部部長と話があるみたい。
獅子王さん達の前に強力な助っ人を呼んできたんだけど……。
あ、あれ? 獅子王さんと古見君の反応が芳しくない。
「よろしく、獅子王先輩」
園田先輩が獅子王さんに手を差し伸べるけど、獅子王さんは……あっ!
獅子王さんは園田先輩の手を払いのけた。ひ、酷い!
「獅子王さん!」
「コイツからは嫌なにおいがする。気に入らねえ」
で、でたー! 理不尽大魔王! 子供なんだから、獅子王さんは。初対面の園田先輩の何が気に入らないのかな? 理解できないよ。
園田先輩は気にせずに、今度は古見君に向き合う。
「よろしくね、古見君」
パシッ!
古見君に差し伸べた手を獅子王さんがまたはたいた。
「し、獅子王さん?」
「馴れ馴れしく触るな」
おおおっ! でた! まるで少女漫画の男の子っぽい! BL、素晴らしー! でも、やっぱり人としてダメな行動だよね。
園田先輩は酷い仕打ちを受けているのに、ニコニコとしている。園田先輩の器って大きい。すごいっす!
そう思っていたら、獅子王さんが私を指さして尋ねてきた。
「ほのか、一ついいか?」
「なんでしょう、獅子王さん?」
獅子王さんが不機嫌そうに私を睨んでくるけど、何か怒られることしたのかな?
「人任せすぎないか? 舞台監督、演出家、舞台製作その他諸々って……お前は何をするんだ?」
「何って、決まってるじゃないですか? 脚本です。もう一度、チャンスを下さい!」
「「却下だ。却下!」」
えええ~! なんで? 二人して却下してくるなんて。
二人の反応に、園田先輩は一人だけのけ者にされたと思っているのか、少しむくれながら私に耳打ちしてきた。
「ほのっち、何したの?」
「別に何も。ちょっと、私が自作した小説をみせただけで」
「へえ、面白そうだね。見せて」
私はとっておきの小説を書いたノートを渡した。
それを見て、園田先輩は……。
「ゴミね」
ぽいっと捨てられてしまった。
えええええええええっ! まさかのゴミ扱い! 納得いかない!
私は園田先輩に食って掛かる。
「な、なんでですか! どこがですか! 魔王と勇者の夜の舞踏会、見てくれました! おかしいですよね、その感想!」
「いや、夜の舞踏会とか意味分からない」
おっかしいな……絶対に女の子なら喜んでもらえると思ったのに。イケメンパラダイスなのに。
「はいはい。時間がないからすぐに準備始めるわよ!」
園田先輩が手をぱんぱんと叩いて、注目を集める。
私はノートをぎゅっと抱いて、少しいじけたような表情で園田先輩を睨みつける。園田先輩は私の視線を無視して、ホワイトボードをバンバンと叩く。
「この私が来た以上、半端な劇は許さないわ! 例えど素人集団でもね」
「ど素人だと? おい、そこの女。この俺様を誰だと思ってる?」
「知らないわよ、そんなこと。劇に関しては私の意見が絶対なの。おわかり?」
ひぃ!
獅子王さんが今にも殴り掛かりそうな勢いで園田先輩を睨みつけてる。園田先輩は挑戦的な目つきで逆に睨み返している。
古見君がさりげなく獅子王さんの手を握っているから問題ないと思うけど。
「そんな顔をするな、ほのか。暴力はなしにしてやる」
ほっ……。
喧嘩にならなくてよかったよ。
以前の獅子王さんなら怒って手を出していたかもしれない。私の言うことなんてきいてくれなかった。でも、今は私の意見、私の嫌がることは避けてくれている。
獅子王さん、本当に変わったよね。
「成長しましたね、獅子王さん。あっ……涙がつい……いけませんね、最近、涙もろくて……獅子王さんの成長が嬉しくもあり、寂しくも……ぎゃああああああああ!」
私は獅子王さんにアイアンクローされたまま、持ち上げられた。私は必死にタップする。
「何するんですか!」
「てめえがふざけたのこと抜かすからだろ。俺様は慈悲深いんだよ」
いやいやいや! 暴力はなしと言っておきながら、アイアンクローしてくるし、すぐにキレるし!
私の感動をかえして!
そんな私と獅子王さんのやりとりを園田先輩は完全に無視し、またホワイトボードを叩く。
「会議を始めましょう。この劇で足りないもの……いや、足りているものを探す方が無理か。まずは人手を集めないと」
「それなら問題ないです。人手についてはあてがあります。それより、問題があります、園田先輩!」
勢いよく手を挙げる私に、園田先輩は笑っていた。
「……問題しかないと思うけど、何なのほのっち?」
「まだ、エントリーしていません!」
時が止まったようにみんなが動かなくなった。
エントリーとは、青島祭で何をするのか申告すること。これがないと、青島祭に参加できない。
「……」
「……」
「……」
て、てへぺろ!
ピシッ!
「あいた!」
「一番大事なことでしょ! しておきなさいよ!」
ううっ、そんなに怒らなくても……。
デコピンされたおでこをさすりながら、私は言い訳をする。
「だ、だって……どんな劇をするのか決まってないですし……」
「そんなもん、適当に申請して、後で変更をかければいいの! 題名(仮)でいいでしょうが! 早くエントリーしないと場所と時間、とられるわよ! 後のことは私に任せて、さっさとエントリーシート出してきなさい!」
そんなこと知らないですから! 私、初めてなんだよ、青島祭。ちょっとくらい大目に見てくれてもいいのに。
嘆いていても仕方ない。エントリーシートについて確認しなきゃ。
「ど、どこに出せば? それに書き方が分からないんですけど……」
「私にエントリーシート、貸しなさい!」
私は恐る恐るエントリーシートを渡すと、園田先輩は殴り書きするようにシートの欄を埋めていく。
書き上げたシートを私に押しつけてくる。
「これ持って、青島祭実行委員長に持っていきなさい!」
「ぶ、青島祭実行委員長? それって誰……」
「いいからいけ!」
「は、はぃいい~!」
私は逃げるようにして風紀委員室を出た。
「よろしくね」
「……」
「……」
私は獅子王さんに連絡し、園田先輩と顔合わせするために空き教室に集まっていた。橘先輩とは演劇部の部室で別れた。演劇部部長と話があるみたい。
獅子王さん達の前に強力な助っ人を呼んできたんだけど……。
あ、あれ? 獅子王さんと古見君の反応が芳しくない。
「よろしく、獅子王先輩」
園田先輩が獅子王さんに手を差し伸べるけど、獅子王さんは……あっ!
獅子王さんは園田先輩の手を払いのけた。ひ、酷い!
「獅子王さん!」
「コイツからは嫌なにおいがする。気に入らねえ」
で、でたー! 理不尽大魔王! 子供なんだから、獅子王さんは。初対面の園田先輩の何が気に入らないのかな? 理解できないよ。
園田先輩は気にせずに、今度は古見君に向き合う。
「よろしくね、古見君」
パシッ!
古見君に差し伸べた手を獅子王さんがまたはたいた。
「し、獅子王さん?」
「馴れ馴れしく触るな」
おおおっ! でた! まるで少女漫画の男の子っぽい! BL、素晴らしー! でも、やっぱり人としてダメな行動だよね。
園田先輩は酷い仕打ちを受けているのに、ニコニコとしている。園田先輩の器って大きい。すごいっす!
そう思っていたら、獅子王さんが私を指さして尋ねてきた。
「ほのか、一ついいか?」
「なんでしょう、獅子王さん?」
獅子王さんが不機嫌そうに私を睨んでくるけど、何か怒られることしたのかな?
「人任せすぎないか? 舞台監督、演出家、舞台製作その他諸々って……お前は何をするんだ?」
「何って、決まってるじゃないですか? 脚本です。もう一度、チャンスを下さい!」
「「却下だ。却下!」」
えええ~! なんで? 二人して却下してくるなんて。
二人の反応に、園田先輩は一人だけのけ者にされたと思っているのか、少しむくれながら私に耳打ちしてきた。
「ほのっち、何したの?」
「別に何も。ちょっと、私が自作した小説をみせただけで」
「へえ、面白そうだね。見せて」
私はとっておきの小説を書いたノートを渡した。
それを見て、園田先輩は……。
「ゴミね」
ぽいっと捨てられてしまった。
えええええええええっ! まさかのゴミ扱い! 納得いかない!
私は園田先輩に食って掛かる。
「な、なんでですか! どこがですか! 魔王と勇者の夜の舞踏会、見てくれました! おかしいですよね、その感想!」
「いや、夜の舞踏会とか意味分からない」
おっかしいな……絶対に女の子なら喜んでもらえると思ったのに。イケメンパラダイスなのに。
「はいはい。時間がないからすぐに準備始めるわよ!」
園田先輩が手をぱんぱんと叩いて、注目を集める。
私はノートをぎゅっと抱いて、少しいじけたような表情で園田先輩を睨みつける。園田先輩は私の視線を無視して、ホワイトボードをバンバンと叩く。
「この私が来た以上、半端な劇は許さないわ! 例えど素人集団でもね」
「ど素人だと? おい、そこの女。この俺様を誰だと思ってる?」
「知らないわよ、そんなこと。劇に関しては私の意見が絶対なの。おわかり?」
ひぃ!
獅子王さんが今にも殴り掛かりそうな勢いで園田先輩を睨みつけてる。園田先輩は挑戦的な目つきで逆に睨み返している。
古見君がさりげなく獅子王さんの手を握っているから問題ないと思うけど。
「そんな顔をするな、ほのか。暴力はなしにしてやる」
ほっ……。
喧嘩にならなくてよかったよ。
以前の獅子王さんなら怒って手を出していたかもしれない。私の言うことなんてきいてくれなかった。でも、今は私の意見、私の嫌がることは避けてくれている。
獅子王さん、本当に変わったよね。
「成長しましたね、獅子王さん。あっ……涙がつい……いけませんね、最近、涙もろくて……獅子王さんの成長が嬉しくもあり、寂しくも……ぎゃああああああああ!」
私は獅子王さんにアイアンクローされたまま、持ち上げられた。私は必死にタップする。
「何するんですか!」
「てめえがふざけたのこと抜かすからだろ。俺様は慈悲深いんだよ」
いやいやいや! 暴力はなしと言っておきながら、アイアンクローしてくるし、すぐにキレるし!
私の感動をかえして!
そんな私と獅子王さんのやりとりを園田先輩は完全に無視し、またホワイトボードを叩く。
「会議を始めましょう。この劇で足りないもの……いや、足りているものを探す方が無理か。まずは人手を集めないと」
「それなら問題ないです。人手についてはあてがあります。それより、問題があります、園田先輩!」
勢いよく手を挙げる私に、園田先輩は笑っていた。
「……問題しかないと思うけど、何なのほのっち?」
「まだ、エントリーしていません!」
時が止まったようにみんなが動かなくなった。
エントリーとは、青島祭で何をするのか申告すること。これがないと、青島祭に参加できない。
「……」
「……」
「……」
て、てへぺろ!
ピシッ!
「あいた!」
「一番大事なことでしょ! しておきなさいよ!」
ううっ、そんなに怒らなくても……。
デコピンされたおでこをさすりながら、私は言い訳をする。
「だ、だって……どんな劇をするのか決まってないですし……」
「そんなもん、適当に申請して、後で変更をかければいいの! 題名(仮)でいいでしょうが! 早くエントリーしないと場所と時間、とられるわよ! 後のことは私に任せて、さっさとエントリーシート出してきなさい!」
そんなこと知らないですから! 私、初めてなんだよ、青島祭。ちょっとくらい大目に見てくれてもいいのに。
嘆いていても仕方ない。エントリーシートについて確認しなきゃ。
「ど、どこに出せば? それに書き方が分からないんですけど……」
「私にエントリーシート、貸しなさい!」
私は恐る恐るエントリーシートを渡すと、園田先輩は殴り書きするようにシートの欄を埋めていく。
書き上げたシートを私に押しつけてくる。
「これ持って、青島祭実行委員長に持っていきなさい!」
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