風紀委員 藤堂正道 -最愛の選択-

Keitetsu003

文字の大きさ
229 / 545
十八章

十八話 ニゲラ -とまどい- その二

しおりを挟む
「というわけで、舞台監督、演出家、舞台製作その他諸々を引き受けてくださった園田千秋先輩です」
「よろしくね」
「……」
「……」

 私は獅子王さんに連絡し、園田先輩と顔合わせするために空き教室に集まっていた。橘先輩とは演劇部の部室で別れた。演劇部部長と話があるみたい。
 獅子王さん達の前に強力な助っ人を呼んできたんだけど……。
 あ、あれ? 獅子王さんと古見君の反応がかんばしくない。

「よろしく、獅子王先輩」

 園田先輩が獅子王さんに手を差し伸べるけど、獅子王さんは……あっ!
 獅子王さんは園田先輩の手を払いのけた。ひ、酷い!

「獅子王さん!」
「コイツからは嫌なにおいがする。気に入らねえ」

 で、でたー! 理不尽大魔王! 子供なんだから、獅子王さんは。初対面の園田先輩の何が気に入らないのかな? 理解できないよ。
 園田先輩は気にせずに、今度は古見君に向き合う。

「よろしくね、古見君」

 パシッ!

 古見君に差し伸べた手を獅子王さんがまたはたいた。

「し、獅子王さん?」
「馴れ馴れしく触るな」

 おおおっ! でた! まるで少女漫画の男の子っぽい! BL、素晴らしー! でも、やっぱり人としてダメな行動だよね。
 園田先輩は酷い仕打ちを受けているのに、ニコニコとしている。園田先輩の器って大きい。すごいっす!
 そう思っていたら、獅子王さんが私を指さして尋ねてきた。

「ほのか、一ついいか?」
「なんでしょう、獅子王さん?」

 獅子王さんが不機嫌そうに私を睨んでくるけど、何か怒られることしたのかな?

「人任せすぎないか? 舞台監督、演出家、舞台製作その他諸々って……お前は何をするんだ?」
「何って、決まってるじゃないですか? 脚本です。もう一度、チャンスを下さい!」
「「却下だ。却下!」」

 えええ~! なんで? 二人して却下してくるなんて。
 二人の反応に、園田先輩は一人だけのけ者にされたと思っているのか、少しむくれながら私に耳打ちしてきた。

「ほのっち、何したの?」
「別に何も。ちょっと、私が自作した小説をみせただけで」
「へえ、面白そうだね。見せて」

 私はとっておきの小説を書いたノートを渡した。
 それを見て、園田先輩は……。

「ゴミね」

 ぽいっと捨てられてしまった。
 えええええええええっ! まさかのゴミ扱い! 納得いかない!
 私は園田先輩に食って掛かる。

「な、なんでですか! どこがですか! 魔王と勇者の夜の舞踏会、見てくれました! おかしいですよね、その感想!」
「いや、夜の舞踏会とか意味分からない」

 おっかしいな……絶対に女の子なら喜んでもらえると思ったのに。イケメンパラダイスなのに。

「はいはい。時間がないからすぐに準備始めるわよ!」

 園田先輩が手をぱんぱんと叩いて、注目を集める。
 私はノートをぎゅっと抱いて、少しいじけたような表情で園田先輩を睨みつける。園田先輩は私の視線を無視して、ホワイトボードをバンバンと叩く。

「この私が来た以上、半端な劇は許さないわ! 例えど素人集団でもね」
「ど素人だと? おい、そこの女。この俺様を誰だと思ってる?」
「知らないわよ、そんなこと。劇に関しては私の意見が絶対なの。おわかり?」

 ひぃ!
 獅子王さんが今にも殴り掛かりそうな勢いで園田先輩を睨みつけてる。園田先輩は挑戦的な目つきで逆に睨み返している。
 古見君がさりげなく獅子王さんの手を握っているから問題ないと思うけど。

「そんな顔をするな、ほのか。暴力はなしにしてやる」

 ほっ……。
 喧嘩にならなくてよかったよ。
 以前の獅子王さんなら怒って手を出していたかもしれない。私の言うことなんてきいてくれなかった。でも、今は私の意見、私の嫌がることは避けてくれている。
 獅子王さん、本当に変わったよね。

「成長しましたね、獅子王さん。あっ……涙がつい……いけませんね、最近、涙もろくて……獅子王さんの成長が嬉しくもあり、寂しくも……ぎゃああああああああ!」

 私は獅子王さんにアイアンクローされたまま、持ち上げられた。私は必死にタップする。

「何するんですか!」
「てめえがふざけたのこと抜かすからだろ。俺様は慈悲深いんだよ」

 いやいやいや! 暴力はなしと言っておきながら、アイアンクローしてくるし、すぐにキレるし!
 私の感動をかえして!
 そんな私と獅子王さんのやりとりを園田先輩は完全に無視し、またホワイトボードを叩く。

「会議を始めましょう。この劇で足りないもの……いや、足りているものを探す方が無理か。まずは人手を集めないと」
「それなら問題ないです。人手についてはあてがあります。それより、問題があります、園田先輩!」

 勢いよく手を挙げる私に、園田先輩は笑っていた。

「……問題しかないと思うけど、何なのほのっち?」
「まだ、エントリーしていません!」

 時が止まったようにみんなが動かなくなった。
 エントリーとは、青島祭で何をするのか申告すること。これがないと、青島祭に参加できない。

「……」
「……」
「……」

 て、てへぺろ!
 ピシッ!

「あいた!」
「一番大事なことでしょ! しておきなさいよ!」

 ううっ、そんなに怒らなくても……。
 デコピンされたおでこをさすりながら、私は言い訳をする。

「だ、だって……どんな劇をするのか決まってないですし……」
「そんなもん、適当に申請して、後で変更をかければいいの! 題名(仮)でいいでしょうが! 早くエントリーしないと場所と時間、とられるわよ! 後のことは私に任せて、さっさとエントリーシート出してきなさい!」

 そんなこと知らないですから! 私、初めてなんだよ、青島祭。ちょっとくらい大目に見てくれてもいいのに。
 嘆いていても仕方ない。エントリーシートについて確認しなきゃ。

「ど、どこに出せば? それに書き方が分からないんですけど……」
「私にエントリーシート、貸しなさい!」

 私は恐る恐るエントリーシートを渡すと、園田先輩は殴り書きするようにシートの欄を埋めていく。
 書き上げたシートを私に押しつけてくる。

「これ持って、青島祭実行委員長に持っていきなさい!」
「ぶ、青島祭実行委員長? それって誰……」
「いいからいけ!」
「は、はぃいい~!」

 私は逃げるようにして風紀委員室を出た。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

【R18】幼馴染がイケメン過ぎる

ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。 幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。 幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。 関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

幼馴染

ざっく
恋愛
私にはすごくよくできた幼馴染がいる。格好良くて優しくて。だけど、彼らはもう一人の幼馴染の女の子に夢中なのだ。私だって、もう彼らの世話をさせられるのはうんざりした。

俺様上司に今宵も激しく求められる。

美凪ましろ
恋愛
 鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。  蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。  ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。 「おまえの顔、えっろい」  神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。  ――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される

奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。 けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。 そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。 2人の出会いを描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630 2人の誓約の儀を描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

手が届かないはずの高嶺の花が幼馴染の俺にだけベタベタしてきて、あと少しで我慢も限界かもしれない

みずがめ
恋愛
 宮坂葵は可愛くて気立てが良くて社長令嬢で……あと俺の幼馴染だ。  葵は学内でも屈指の人気を誇る女子。けれど彼女に告白をする男子は数える程度しかいなかった。  なぜか? 彼女が高嶺の花すぎたからである。  その美貌と肩書に誰もが気後れしてしまう。葵に告白する数少ない勇者も、ことごとく散っていった。  そんな誰もが憧れる美少女は、今日も俺と二人きりで無防備な姿をさらしていた。  幼馴染だからって、とっくに体つきは大人へと成長しているのだ。彼女がいつまでも子供気分で困っているのは俺ばかりだった。いつかはわからせなければならないだろう。  ……本当にわからせられるのは俺の方だということを、この時点ではまだわかっちゃいなかったのだ。

処理中です...